ブラックな国は最強レベルアップで滅ぼそう~5人の仲間と異世界に!ゴブリン男とバカにされただ一人追い出された先のダンジョンが何気にチートだった

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16 新たな拠点はスロベール

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 王都で追放されてしまったミサキを捜しに出た俺達とダークウルフのココアは町を出て、森の奥で彼女を見つけた。
 
 常宿の夢いろ亭まで転移して一泊し、隣の町を目指すことになったんだ。
 その町はマーレ山の東にあるというので、前に行ったマーレ山方面のセーブポイントまで転移で飛んだ。

  「トレーニングも兼ねて魔物を倒しながら町を目指そうか ?」

 「うん、頑張るわね !」
 「うん… 」
 
 「ケンタロー君 ? その槍に刺したお肉はなあに ?」

 「釣りだよ釣り。この前たまたまこのバッファローの肉でワイバーンが釣れたからさ !!」

 「えー ? 釣りって魚の釣りでしょう。そんなので釣れるわけないじゃんかぁ。無理無理 !!」
 「うんうん !」
 
 そんなことを行っている矢先に、背後から敵の気配がした。俺は十分に引き付けてから風魔法のウインドウアローを放った。

 その魔法は見事にワイバーンの翼に命中し、ワイバーンの飛行を不安定にした。そして縮地で一気に近付いて斬り裂き、ワイバーンを倒した。

 「えええええーーー ???? ホントに釣れた。って何でやねん !!」

 「ほらなっ !?」

 「すごい… 」

 ワイバーンは手早くアイテムボックスにしまった。
 ミサキはここのワイバーンはアホじゃないかと思ってあきれてしまった。

 この辺りはゴブリンが少なく、ウルフやヤマネコ系が多くて、この前倒したグレートレッドパイソンの下位種で普通のレッドパイソンなどが良く現れた。

 素早い敵にミサキはかなり戸惑っていた。
 ゴブリンやコボルトくらいなら軽く倒せるようだけど、ウルフ系やハイゴブリン以上の魔物だと一対一では少し厳しいようだ。それでも戦いに慣れる為にも前面に出て戦ってもらったんだ。もちろんサポートは頑張ったよ。

 ミサキは新しい町で付与術で小遣い稼ぎをしながら冒険者としてやっていきたいと言っていた。これくらいの魔物退治はできるようにならないと厳しいだろうからね。

 ナターシャはヘビが苦手そうだからその時は俺が倒してあげたんだよね。そしてなんと、ワイバーンがもう1体釣れた。

 最初のうちはかなり四苦八苦しながら戦っていた。 
「こんなはずがない」「キツイわ !」などと苦痛のセリフを吐きながらも、2つ3つとレベルが上がると少しずつ動きも良くなってきて、疲れるとナターシャが回復魔法で支援して次第に足取りも軽くなっていった。

 そして何とか無事スロベールの町に到着することができた。

 「やったー ! 到着ー ! レベルも上がって嬉しいよ。ケンタロー、ナターシャ、ありがとうね !!」

 「おう !」
 「うんうん !」
 「バウーー !」

 二人と一匹は仲良く喜びを分かち合っていた。俺はそういうのは見守る方でいこうかな ?

 考えてみれば俺とミサキの相性がまあまあで、俺とナターシャもまあまあだと思ってるんだ。

 だったらミサキとナターシャもまあまあなのかな ? 三人共、陰キャ寄りだからね、ハハハ… !

 「さあ、まずはギルドでミサキの登録だよ !」
 「はーい」
 「うん… 」
 
 結構大きな町だ。 人に聞いてギルドに辿り着いた。ギルドには良い思い出が無いんだよな。心配だ……

 少し警戒しながらドアを開けた。

 すると、やはり何人かがこちらを振り向いて、見ない顔だがお前ら何者だ ! この若造が女連れで ? 新人か ? という感じの反応をしている。

 俺は気にせず受付に向かう。
  
 すると、やはりお決まりのパターンが始まるようだ。もう、勘弁してもらえませんかねえ、ホントに。

 三人の男がこっちに来た。
 鑑定すると、やっぱりレベル20足らずの雑魚だね。相場は決まっているんだろうね。

 「お前、ガキのくせに可愛い姉ちゃん二人も連れてなかなか良いご身分じゃねえか ? おい」

 面倒だけどミサキはこの町で生活するから下手はできないぞ !

 可愛いは…… まあ認めても良いとしても、姉ちゃんてのは違うよね。妹的だし !

 「はあーー 」
 「何だ ? ビビって声も出ねえのか ?」

 「ビビって無いな。 俺はこう見えてもお前らでは足元にも及ばないほど強い。関わらない方が良いぞ !!」

 「ケンタロー君、そんなこと言って大丈夫なの ? 初めてなんだからもう少し控え目にした方が良いんじゃない ?」

 「「「ワーハッハッハ !!」」」

 「彼女が心配してるぜー 僕ちゃん !」

 うわぁー、しまった。ミサキは俺達の実力知らないからなぁ。あーもう、こんな雑魚にバカにされて悲しいなぁ !!

 遠巻きの観客もクスクス笑っている。ギルド職員も我慢できないようだ。

 「あ~あ、失敗した。もう良いわ。誰がやるんだ ? 三人まとめてでも良いぞ ! めんどくさい。あーめんどくさい。俺もコイツも一応Bランクだからな ! クソっ !!」

 その瞬間ギルドがシーンと、一瞬静まり返った。えっ ? 何 ? なに ? ヤバッ、なんか変なこと言ったか俺 ?

 「おいおいちょっと待ってくれよ。兄さん本当にBランクなのかい ?」
 「ああ。 ギルドカード見るか ?」

 三人組に見せてやった。
 「ハッ ハハハハハハハハハハハッ 先に言っておくれよケンタローさん ! 人が悪いなぁ。じゃあ俺達はこれで ! 失礼しましたーーーー !!!!」

 彼らは急に態度を変えて大慌てでギルドから飛び出して行った。

 「王都のギルマスが役に立つこともあるって言ってたけど、本当に役に立ったなぁ。ラッキー !! 奇跡的に三人と和解したしな ! ギルドカードありがたいぜ !」
 「うんうん !」
 「良かったねー !」


 「ケンタローさんとやら、意地悪したんですか ? それとも弱い冒険者をいたぶって楽しんでいるのですか ? 良い趣味とは思えませんが…… ?」

 少し機嫌が悪そうにオレに意見してきたのは今の出来事を最初から最後まで見ていて、途中、我慢しきれずクスッと笑いをこぼしていたギルドの受付嬢だった。

 「ええー ? 今の俺が悪いの ?」

 「だってBランクなんてもったいぶって、最初に言えば済むことでしょうに !!!」
 
 「絡んできたのはあっちだろ ? 俺からすりゃあふりかかる火の粉をはらうだけのことだぜ。それに俺はまだランクが上がったばっかりでこういうの慣れて無いんだよ ! 」

 「はいはい ! そうですか…… あっご用はどちらでした ?」
 
 うわっ、このお姉さんの心証がメチャクチャ悪いぞ。他の優しい受付の方に代わってもらえないかな ? 恐いなぁ。
 
 「あっ あのー  この子の登録と、ワイバーンの買い取りを頼むよ !」
 「では、ギルドカードをお願いします」

 彼女はギルドカードを確認した。
 「あら、本当 ! 登録したのもまだ最近なのね。ごめんなさい。冷たい事言ってしまって…… 私はスーザンと言います。遅れましたが、宜しくお願いします」

 「分かってもらえれば良いですよ ! 君も冒険者の事を思って言った事だろうしね」

 「はい、本当に申し訳ありませんでした。では手続きを始めさせて…………」

 買い取りも登録も無事に終わった。良かったーーー ! 恐かったぁ ! 冒険者より受付嬢こわっ !

 ワイバーンは120万ギル(日本円で約120万円)と100万ギルで、合計220万ギルになった。ありがたい。

 オマケにスーザンさんに家を借りる手配も頼んだ。
 現物を見てから、築20年の5部屋+ダイニングキッチン、5DKで一年70万ギルの一軒家を契約した。

 ちょっと古くて別にかっこ良くはないけど、ボロボロでもないし、割とキレイにしてあったのが気に入った。

 日本の田舎くらいの値段かな ? ワイバーンと赤ヘビの臨時収入があったし、お値打ちなのでさっさと決めた。

 外で軽く食事をして、軽く買い物をして家に入った。古くても拠点を構えると、ここからがスタート地点だ、というような気がしてくるな。
 もう、すっかり暗くなってしまったので、この日はここに泊まることにした。外よりはマシだろう。

 「ケンタロー君、何から何までありがとう ! この家のお金は必ず返すから……」
 
「お金なんていらないよ。この家はここの一部屋だけは使わせてくれ。後の部屋は好きにして良いよ。そもそもお前、お金いくらあるんだ ?」

 「銀貨2枚くらいね」
 「おーーい、なんだそりゃー、お前飢え死にするぞ !」
 20万ギルを取り出して、ミサキに渡した。

 「これ使ってくれ。もっと渡しても良いけど、パアッと使っちゃうとやばいから、とりあえずこれだけな ! 返さなくて良いぞ。俺は余裕あるから。見ただろ ? ワイバーン。あれ1体で日本円換算で100万円だぜ !」

 「そんなあ ! でも正直、助かるわ。ありがとう ! 体で払おうか ?」
 「ムムムッ… !!!」

 「じゃあお願いしますっておーーい ! 全年令だからダメだろ ?」
 「冗談、冗談、フフッ」

 それからナターシャにも20万ギル渡した。
 「ナターシャはとりあえずの報酬な。必要ならもっと出すぞ !」
 「これで良い…」
 
 「それと、しばらくナターシャを預かってくれないか ? 
 ココアを返しに王都まで戻ってイチカにミサキを見つけたよって伝えないといけないしな」

 「ワウッ !」
 「えええええっ… ? 手切れ金… ?」
 「んなわけ無いだろっ ! 逆によくそんな言葉知ってたな ?」

 「私は、ナターシャ強いから居てくれた方が助かるよ」

 「そう ! 二人なら戦える ! ナターシャは独立する訓練になる ! 一石二鳥だろ ? 必ず迎えに来るからさ。できるか ? ナターシャ !」

 「ううう… みっか…」
 「そうか ? 三日間だけならできるんだな !」

 「う うっ うん… 」
 こうしてオレたちの新たな生活と新たな試みが始まることになった。
 
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