君がいるから呼吸ができる

尾岡れき

文字の大きさ
上 下
1 / 72

プロローグ

しおりを挟む

 雑音。
 単なるノイズ。だったんだと思うよ。
 今から考えれば、みんな未熟で。感情に翻弄されて、衝突したり受け入れられなかったり。許容できなかったり。
 それは自分自身もそうで。
 今更、誰を責めようとか、そんなことは思っていないよ。
 苦しかったし、辛かったよ。確かにね。それは事実だもん。
 でもね、でもね、嬉しいこともあって。
 聞いてる?
 うん、分かってる。君はいつも聞いてくれているもんね。
 でもね、大事なことだから、何度でも聞いて欲しいの。
 良い?
 辛かったし、苦しかったけれど。
 君に会えたから。
 君がいてくれたから。

 こら。

 目を逸らさないでよ。私だって恥ずかしいんだからね。
 でもね、でもね。
 これだけは言わせて欲しいの。




 私ね。
 ――君がいるから、呼吸ができたんだよ?
しおりを挟む

処理中です...