丘の上のお姫様~姫島 皐月の場合~

よしき

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丘の上のお姫様~姫島皐月の場合~14

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  結婚式当日。
  私は別宅のとある部屋で、式が行われるその時を、純白のドレスを着て待っていた。
  思えば、色々と有ったけれど。でも、やっと今日と言う日を迎えることが出る。そんなことを思っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「あら、素敵ですわよ、珠子さん。」
  ノックの主は皐月さんだった。淡いグリーンのワンピースが、一段とよく似合っている。
「ありがとう、来てくれたんですね。」
  私が笑顔を見せると、皐月さんは私の所までやってきた。
「お礼をするのは、私たちの方ですわ。昨日、あなたたちお二人が気転を効かせてくれなかったら、どうなっていたことか・・・」
  「本当に。私も昨日は、月島さんと皐月さんがどうなるものかと、ハラハラしたけれど。本当に両思いになれてよかった・・・」
  私は、皐月さんに少しだけ呟くように話しかけた。
「だってお義母様が、私に『皐月さんに月島さんは、絶対に合うだろうから、お見合いをさせなさい』って言われて。月島さんに連絡したら、お見合いを進めてほしいって言われて。ああ、これなら上手くいきそうって思ったんですよ。なのに・・・」
  皐月さんは、少し照れながらその話を遮った。
「私は、てっきり月島・・・正隆さんが別の人とお見合いをするんだとばかり思い込んでしまったのです。」
「それがまさか、昨日のプロポーズになるなんて・・・」
  私達はお互いの顔を見ながら、笑いあった。本当に昨日起きた出来事は、ハラハラドキドキした。しかし結果的には、月島さんと皐月さん、そして私達二人にもいい出来事であった。
  こうして、安心して弘毅さんの花嫁になれるのだから。
「これからも、仲よくしてくださいね、皐月さん。」
  私が、少しシンミリして、そう言うと、
「珠子さんは、私の人生の先輩ですわ。生意気な口をきいてしまうかもしれませんけれど、」
  皐月さんは、ふざけたようにウインクをした。
  その直後、
  コンコンコン。
  再びドアをノックが聞こえた。
「失礼いたします。そろそろお式が始まります。」
「分かりました」
  私が、そう返事をすると、皐月さんが私の手を握りしめた。
「では、私も会場で待っていますわ」
  皐月さんは、いつものように颯爽とハイヒールを履いて、部屋から出ていった。私は、それを見送りながら、いよいよやって来る結婚式に思いを馳せたのである。

  
  
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