Cランク魔術師からSSランク魔術師を目指す!

ルルル

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29話 油と水

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 相手は、確実に始末できたと思い込み、ウルク先生と戦うことに集中する。

「やっぱり子供だなあ、対応が悪いぞ? しっかり指導しているのか? 偽先生」

 挑発には乗らない、落ち着いて話す。

「お前は昔から何事も適当だよな」

 こいつはシャル達を倒せたと思い込んでいる、そこがこいつの弱点でもある。

「そうか? お前が真面目すぎるんじゃないか?」

 まだ気づいていない、シャルたちが回避したことに。

「まあいい、お前を倒す、「火炎剣(フレイムソード)」

 炎がまとわりついている、剣。
 敵は炎系の魔法により余裕を見せつつも、少し警戒している。

「炎か、それで俺の身体を貫くことができるのか?」

「さあな、試してみるさ」

 敵の足元までダッシュする、その間も敵の攻撃は緩まない、逆に強くなっている。
 その攻撃は私にとってスローに見える、当たることはほぼないだろう。
 そのまま股の下に入り込む。

「くそ、やはり、この攻撃じゃ見切れるか!」

 両手で持っている、「火炎剣(フレイムソード)」を敵の股を狙うように振り落とした。
 岩に当たると、一瞬で炎が敵を覆う。
 だが、効いていない、想定内だ。

「おいおい、やっぱり効かないじゃないか、「岩石槍(ロックランス)」」

 炎は消えず燃え続けているが、気にせず能力を使う。
 鋭い岩石槍がこちらに向かってくる。

「当たったら死ぬぜ!」

 さすがストーンガン、能力を磨きに磨いている、今までの能力よりも威力が違う。
 一度後ろに避けて、回避するが、Uターンして戻ってきた、それには避けることができず、火炎剣でカード。

「さすがに無理か」

 カードをしている上から踏み潰しに来た。

「これなら無理だな」

 だが焦る必要はない「あいつらがいるから」。

「壁(ウォール)」

 私の頭上に壁が形成される、それを踏みつける。

「あー、生きてたのか、まあいいや!」

 壁をつぶすように、踏みつけだが、ヒビさえ入らない。
 それには驚いた様子だ。

「先輩、さすが!」

 発動したのは私たちではなくSSランクの先輩だからだ。

「こんな強い魔力ほかに使える奴がいるなんて」

 私たちを甘く見ていたようだ。
 こちらに再び岩石星を発動させるが無意味だ。
 私たちは壁を作ることもなく、全て防いだ。

「どういうことだ!」

 先生を助けるようにユアンが流水を放つ。

「清らかな水よ、私の手に集え! 流出!」

 敵に向かわず、岩石槍に当てる。
 それにより威力を下げて、岩石槍を食い止めることができた。

「ユアン、ありがと」

 ユアンは先生に手をグーにして答えた。
 敵は焦っている、次はこちらに岩石槍を発動させた。

「何がどうなってるがわからんが、これなら!」

 先ほどよりも威力を増しているが、関係ない、すごい音を立てて弾いた。

「なに! 見えない壁が」

 岩石星を発動された時、ギリギリに先輩が「空間防御(スペースディフェンス)」を発動させて、私たちの周りだけを守っている。
 私たちが攻撃する際は、一部開き、そこから発動されている。

 先生はその間に距離を置く、すると先輩と目配せをする。

「行くぞ!」

 その掛け声とともに、魔法を発動させる。

「火油(ファイアーオイル)」

 また初めて聞いた魔法だ。
 先輩も準備に入った。

「真の水よ! 我の手に集いたまえ! 真水(フレッシュウォーター)」

 敵めがけて同時に発動される。
 それを見てイオリはとても驚いている。

「これって!」

「おいおい、水と火で攻撃したら逆効果だぜ?」

 相手は余裕そうだが、先生は確信を持っている。

「お前はこれで終わりだ」

 その一言により表情が変わる。

「何言ってるんだ? 火と水だぜ?」

 先生がしたいことを先輩は分かっていた、状況判断、流石だ。
 振り返り、少し下がるように指示を出す。

「下がって、伏せろ!」

 私たちは姿勢を低くし、待つ。

「楽しかった、また戦おう」
「何言ってんだ? 俺は負けてねえぞ?」

 敵はまだ気づいていない、先生が解説を始める。

「お前は気づいていないようだな」

 眉間にシワが寄った気がした。

「どういうことだ」

 勝つことを確信させる言い方で話す。

「俺が放ったのは火油だ、そしてフェリックスは水だ、この意味がわかるだろう?」

 火と水は相性が悪い、だが油となれば話は別だ、しかし相手が得意な属性、ダメージを与えることができるのか。

「油、油......」

 何かを思いつき、焦り始める、今から避けても避けきれない。

「そういうことか!」

 高温の油に水が入ると、水が急激に膨張し、油を弾き飛ばす、水蒸気爆発。
 それで油が飛び散り、炎が巨大化する。
 先生と先輩の実力じゃ、この効果は、得意としても、耐えることができないだろう。

「じゃあな!」

 敵に命中し、すごい爆発が起きた。
 先生はすぐに私たちの方に寄っていて、助かるが、敵はその大爆発を直撃で受けた、その爆発から体についていた、岩が落ちて行くのがわかる。

「くっそ!」

 炎の中から悔やむ声が聞こえた。

「次は、次は、勝つからな!」

 最初の爆発よりもでかい爆発が起きる。
 すごい爆風で、飛んでいきそうになるが、中は安全だ。

 爆発が終わり、敵がいたところを見つめると、焦げ焦げになったストーンガンが倒れている。
 そこに先生が近づく。

「お前の欠点は油断だと何度も言っていたはずだ」

「......ふ」

 完全に意識が飛ぶ、悲しいが、もう彼とは戦うことはないだろう。
 私たちは空間から出てきて先生のところに行く。

「先生、さすがです!」
「私もヴイちゃんとさっきみたいな、連携やってみたい!」
「助かりました」

 先輩はウィデア先生を抱えて、こちらにきた。

「ウルク、次が問題だぞ」

 先生は今のことより後のことを考えている。

「ああ、分かっている、サキュアはこいつらより、何倍も強い、だが俺は勝つ、そのためにはお前たちのカバーも必要だ、頼んだぞ」
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