飼い犬によって異世界に転生された際、用意されたのはマッチ棒と美少女でした。

ルルル

文字の大きさ
4 / 4

4話 変人

しおりを挟む
 その後、無言で空を飛んでいる、俺はずっと周りを見渡している。

「ほんまにすごいことになってるな」

 彼女が先ほどと同じ方角に指を指す、そちらをみると今見ている風景と全く違った。

「ん? 遠くてよく見えんけど光だよな?」

 米粒以上に小さい光が見えた。

「もうすぐ着くから」

 目を凝らして遠くを見ても光ってるのはそこだけだ。

「あそこしか光ってない、なんでや?」

 どんどん光っているところに近づく。

「あそこは確か」

 そう言いながら何かを手にした。

〈ガイドブック〉

「......あのー、あなた様はこちらの住民ではなくて?」

 すると明らかにスピードが落ちた、動揺しているのだ。

「疲れたか?」

 再びスピードが上がる。

「え、大丈夫へいき!」

(口は残念だが顔は可愛いな)

 そう思いながら浮かれていると何やら先程とは違うテンションで話しかけて来た。

「えっと、お名前は確か」

 何やら言いにくそうだ。

「扇原 廉だけど?」

 俺もさっきスピードが落ちた時気になったことがある。

「俺からも一つ、君はどこから来たの? ちなみに俺は日本から来た」

 再びスピードが落ちる、何やら彼女大事なことを隠してる気がする。

「へーそうなんですか、私は、」

 その続きは何も言わずに話が切り替わる。

「あっ! そろそろ着陸します」

 着陸の準備に入る。

(明らかにおかしいよな、何かを隠している、もしかして俺と一緒か前に転生された人か? だってガイドブックなんて見てたぜ?)

 いきなり急降下する。

「しっかりつかまってて」

 俺は思ったもう手遅れだと。
 俺はそこから振り落とされまっ逆さまに落ちる。

「うおおお、最初と同じ展開じゃねえか」

〈ぐしゃ!〉

(あっこの音明らか終わったわ)

 そう思っていると彼女の声が聞こえた。

「もしもーし、あっ死んでるのか、ほっていこー!」

 俺はすぐに立ち上がり助けを求める。

「ほっていこー! じゃねえだろ! 少しは心配しろ! ほんまに死ぬかと思ったわ!」

「あっ生きてた、でしたら良かった殺人にならなくて」

(顔は可愛いのに口が悪いな)

 どんどん光の方に近づく、すると兵士らしき人が出て来た。

「バードか!」

 バードとは街を荒らしていた敵のことだ。
 俺はすぐに否定した。

「違います人間ですよ」

 だが俺は思った彼女はさっきまで翼を広げて飛んでいた、もしかしたら翼を広げっぱなしだと。
 俺はすぐに横を見るがしっかりと翼をしまっていた。

「ふう!」

 兵士の人に剣を突きつけられた。

「えっと、なんですか?」
「この変人目!」

(ちょっと横見ただけだろ!)

 そう思ったが剣を離してくれる様子はないので彼女に助けを求める。
 が彼女は俺を捨てた。

「この人、変人なんです! 助けてください!」

 そんな可愛い顔で言われると嘘でも信じられる。

「やっぱり! 貴様ついてこい!」

 俺は別の兵士に両手を括られて中に連れていかれた、その時の彼女の顔はなんと愉快な。

(ポメと一緒にぶっ倒してやる)

---

 小さな家に連れていかれた、中には椅子が置かれていた。

「俺をどうするつもりだ?」

 彼女は兵士の後ろにずっと付いていてこちらを見て嘲笑っている。
 するとどこからか聞き覚えのある声が聞こえた。

「お! 来たか、廉とゆ、ユーリア」

 その姿をみると俺は頭に血が一瞬で登って来た。

「あ! お前ええ!」

 見張りの兵士に剣を突きつけられる。

「まあまあ両手を自由にさせてあげて」

 俺の両手は自由になり奴に近づく。

「待て待て! ポメどういうつもりだよ?」

 詰め寄っていると背後から声が聞こえた。

「ただ今帰りました! マキです!」

 その声にも聞き覚えがある、あの時の。

「バードを撃破しました!」

 俺はその言葉を聞いてすぐに言い換える。

「おい! 倒したのは俺やぞ! お前が倒したみたいになるじゃないか!」

 俺に気づいたマキが変な目で見つめてくる。

「いやだ! 変人がいる!」

 再び兵士が近寄って来た。

「やはりこの男!」
「大丈夫やで、その人は変な人だけど優しい人だから」

 みんなが集まったのか、小さな手で手を叩く。

「はい! みんな集まったところで、ジャーキー持って来て!」

 彼女がすぐに渡しに行く。

「ありがと、ゆ、ユーリア」

 名前を呼び時少し変だ、そう思いながら話を聞く。

「アスカラがバードによって崩壊された、状況は未だに悪い、だが心配はない、なぜならこの二人が来てくれたからね」

 俺たちに視線が集まる。

「この美少女と変人がですか!」
「変人じゃねえよ!」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...