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序章 云わば、これからの下準備
5.裏スキルとは何だ?
しおりを挟む《贈物スキル(裏)詳細》
《贈物スキル(裏)は対象者の希望するモノと相応の価値のお代を対象者から吸収し、スキル使用者に能力を加算する》
《※希望するモノに制限はなく、抽象的でも良い》
《※スキル使用には両者の同意が必要》
《※(無印)とは違い、(裏)は無償ではないので注意が必要》
《お代は主に、魔力・身体能力、動体視力及び視力、五感及び第六感、基礎魔素量、最大記憶量、身体の耐久値、寿命等を伸ばすものとする》
《※対象者のみでの支払いが不可能である場合、①対象者と繋がりがあり現在近くにいる者、②対象者の血縁者、③対象者と同種族、④その他──上記の順で不足分を補う事とする》
《※それでも足りない場合、エラーとなり希望するモノは現れない為注意》
《贈物スキルは魔法行使権を代償として使用する為、スキル使用者は属性魔法の一切の使用ができなくなる》
《※魔力操作のみ可能》
《スキル使用者はお代の〝先払い〟と〝後払い〟の選択が可能。後払いの場合、期限は24時間とする(24時間後には自動で吸収される)》
《※支払い後の返却及び払い戻しも可能。但し両者の同意が必要》
《もし支払い後に対象者の存在が消えた場合、希望したモノの持ち主はスキル使用者へと移行する》
《尚、スキル内容に関しては、対象者に話さなくて良い》
◇◇
数分かけてようやく読み終えた私は、紙束をそっと床に置くと、頭を手で押さえて大きくため息を吐いた。何故か頭が痛み出した気がする。
(・・・・・・これは反則だろこれは)
相手の希望にもよるが、思いの外、これも使えるスキルかもしれない。
贈り物と表現しながら対象者にお代を求める・・・・・・明らかにスキル名と合っていない。それに(裏)と付いただけで、もう売買(それもタチの悪い)の域へと達している。
特に見るべきなのは最後の文だ。
対象者にスキル内容を話さなくても良い──つまり、お代が何かなども教えなくても大丈夫だということである。ここまで言えばもう誰でも分かるだろう。
──何もいらないと偽ってからスキルを使っても良い。
(これは・・・・・・立派な詐欺師の誕生、か)
悪知恵の働く奴がこのスキルを手にしたら、世界は大変な事になるのだろうな。
私は全て読み終えたのを確認してから、紙束は読めないくらい細かく破き始める。・・・・・・もう必要ない上に、誰かに見られてしまっても困る。
続いて麻袋の中の青い石だが・・・・・・これは転移石と呼ばれるものらしく、大きさに応じた距離の場所へと瞬間移動ができるらしい。
女神からの書き置きの続きによると、送り出す場所はランダムな為、どうしようもない場合にコレを使えとのこと。
ランダムという言葉を見た瞬間に、私は再び大きくため息を吐いた。・・・・・・どうせ、これもランダムと書いて強制と読む──だとかの類いではなかろうか。私はもう信じないぞ。
そうなると、この石と地図はかなり重要な物になるだろう。麻袋の紐を腕にしっかり結びつけて無くさないようにする。
よし、と麻袋を大事に抱え立ち上がる。
──準備は整った。
途端、どこからともなく女神の声がする。姿は見えず、声だけが頭上から降ってくる。
『はいはぁーい、準備おっけーかなぁ? そろそろ出発するよぉ~』
その声に合わせて足元から光が溢れ出す。私は歯を食いしばり、ぎゅっと力強く瞳を閉じる。
・・・・・・さあ、行こうか。
期待と不安を胸にいざ異世界へ──
ドスンッ──そんな音共に頬に強い衝撃を受けたのは、残念ながらそれからすぐの出来事だった。
◇◇
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