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一章 云わば、慣れるまでの時間
番外 その頃の創造神②
しおりを挟む「それで……結局どうすのよぅ」
テオーリアも張本人故にこの件に関しては無視出来ないらしい。心配そうにデミアを見上げては、そわそわと落ち着かない様子だ。
そう言われたデミアは無言で俯く。鍵付きの世界に干渉する方法は、ない。入ることはおろか、中を覗くことさえ許されないのである。
テオーリアが干渉できたのは、その世界自体が放置されていたからだった。
しかし今は──
「うーん、問題はそこなんだよね……どうしよっか」
何の気まぐれか、かけられてしまった鍵。完全に閉鎖された箱庭に為す術もなく、デミアは困ってしまった。
──いや、術がないわけではない。しかしそれは鍵がかかる前に行っていなければ、意味が無いものだ。それに、コレを知っているのはデミアとアミアの2人だけだった。
「……、役に立つかわからないけどぉ」
その時、テオーリアがボソリと呟く。その言葉はこの状況を打開するものであり──諦めかけていた術。
「アミアの世界から取り出した存在ならいるわよぅ。彼らと交換した分だけ」
「交換の方が影響なさそうだったしぃ」と小声で言うテオーリアに、顔を顰めて悩ましげだったデミアの顔がぱっと明るくなる。
──鍵付きの世界でも唯一干渉できる存在。それは、元々その世界の存在記録がある者だった。
「……それらはどこに?」
「私の世界の中。スキル云々は外して世界に適応させてあるわぁ。……でも、存在番号が書き換えられた者を何に使うの?」
テオーリアが不思議そうに聞くのも無理はない。元々の仕組みを作り出した者以外には知られていない方法である。
「すぐに取り出して!! 念の為全員に監視を付けておいて──その後にボクの一部の力を移して操作する。書き換えられたとしても、世界自体に存在記録が残っているなら……入れる筈なんだ」
「でも、普通は最新の存在番号で認識される筈じゃあ……それに、そんなことして影響がでたらぁ……」
普通ならば、その世界に存在した瞬間に個人の存在番号は書き換えられる為、再度死んでリセットしなければ前の世界に戻ることは出来ない。別の世界に飛ばすことも同様だ。
だが、管理者の手によって無理矢理リセットし、別の世界へと送ったことにより世界に悪い影響が出てしまえば、それだけで罪となる。
「──ボクら2人限定の能力みたいなものなんだ、これは」
「能力?」
「そう、最新の存在番号だけを消す能力。間違えて飛ばした時に便利かなーって思って作ったものだから、時間の限定はあるんだけどね」
「じゃあ、それを使えばぁ……」
「中を覗くことができる。でも、それらを抜き出した後の世界に影響が出ると困るから、特別にボクの権限で複製を作って生活してもらう……これでいいよね?」
「私の方は問題ないわぁ……だけど、デミア貴方は」
管理者統括及び、他の上位神の同意なしに事を進めれば、いくら創造神といえど罰せられてしまう。堕とすまではいかないかもしれないが、それは厳しいものとなるだろう。
だが、数多いる神々の同意を全て集めるには時間が足りなかった。
「このままアミアを放置する方がボクは怖いよ。……彼にとって世界は一つの玩具に過ぎないんだ。楽しければそれでいいし、壊れたら新しいのを創るだけ。
──たとえ罰せられたとしても、アミアの本質は変わらないよ」
「……さっさと堕ちちゃえばいいのにぃ」
「アレでも中身は優秀だからね、規則の穴を見つけるのが上手いんだ。明確な理由がないと罰するのは難しいよ?」
諭すように言われ、そんな当たり前のことわかってるわよぅ、と口を尖らせテオーリアは言い返す。
「それよりも4名を送り込むんでしょう? ほら、監視はつけておいたからぁ」
「うん、あとはボクがやるよ」
「……もし、中にいなかったらぁ?」
「その時はその時だよ。一応、監視下に置く為に天界でも捜索は続けるしね」
そう、とだけ言って俯くテオーリア。そして何かを考える仕草の後に口を開く。
「私も見るわぁ……中を」
「え」
あれだけ中は嫌がっていた彼女の心変わりに、デミアは驚きを隠せない。
「操って見るだけよぅ、あくまでも間接的に見るだけ!! ……私だって今回のこと、少しくらいは反省してるんだからぁ」
「へえ……少し、ね」
なによぅ、と睨まれ素知らぬ顔で、別に、と返す。にっこりと笑って言った。
「なら早速準備しなきゃね──テオーリアおばさんの気が変わらないうちに」
◇◇
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