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【番外】勇者編 我々は〝賭け〟に勝ったのだ
2.歓迎される
しおりを挟む『は、80万・・・・・・!?それに、もう一人の方は100万ですって・・・・・・素晴らしい、素晴らしいです勇者様!!』
つい先程聞いた歓声の嵐を思い出し、金髪の青年は笑いを堪えていた。その傍には茶髪の青年もいる。
──魔道具である水晶の判定の結果、金髪の青年は80万、茶髪の青年は100万ともはや人外の域に達したような数値が出た。
ありえない数値に水を打ったように静まり返る空間。その静寂を破ったのは玉座に佇んでいた王だった。
思わず立ち上がると、荒い鼻息で興奮気味に手を叩く。
『素晴らしい!! まさかこれ程までとは・・・・・・いやはや、驚いた!! これでこの国も安泰、世界も平和となるだろう!!』
『勇者様もお疲れでしょう。お部屋をご用意しておりますので、ごゆっくりお寛ぎ下さい。詳しい説明は明朝に行いますね』
そうして案内された部屋がこれまた豪華な客室。二人一部屋ではあるが、それでも広いと感じる程である。
「なぁ見たか、あのおっさん。鼻息荒いのなんのって、すげーキモかったわ」
「おっさんじゃなくて王様でしょ・・・・・・もう、失礼だってば。こんな豪華な部屋まで用意してくれてるのに」
「いーのいーの、どうせ勇者には頭上がんないんだからさ。ある程度は許してくれるって。──それよりもさ、同じ勇者同士だし簡単な自己紹介でもしよーぜ」
柔らかなベッドの上で胡座をかく青年。これからも、この青年に苦労させられるだろうともう一人の青年は頭を抱えた。
それも気にせずに金髪の青年は自己紹介をし始める。
「俺は佐藤章。高3の18歳だ」
「・・・・・・僕は城ヶ崎正人。同じく18歳だけど・・・・・・」
「んじゃ、マサトって呼ぶわ。俺のこともアキラでいーよ」
「う、うん・・・・・・」
これから頑張ろうな! と明るい表情のアキラとは違い、マサトは暗い顔で俯いている。理由を聞くと、どうやら見知らぬ土地での今後の生活が心配らしい。
「なんだよ、そんなことかよ」
「そんなことって・・・・・・アキラは、いきなりこんな所に連れてこられて驚いてないの?」
「そりゃ驚いたけどさ、勇者になっちゃったもんは仕方ないじゃん? ま、これからのことはここの人たちに頼りゃーいいんだよ」
「そ、そうだよね・・・・・・深く考えすぎだよね」
生活から戦闘訓練まで全面的にサポートすると王女から説明されたことを思い出し、どこか安心した表情でマサトは頷いた。小国とはいえ、王がバックについているなら安心出来る。
「それに、魔王を倒したら帰れるみたいだしね。今は魔王を倒すことだけ・・・・・・」
「帰れねーよ?」
「え?」
「だーかーらー帰れねーって」
「いやでも、王女様は帰れるって・・・・・・」
「ウソに決まってんだろ。例え帰れたとしても、なんだかんだ理由を付けて帰らせてくれねーよ」
こんなでかい戦力なんか帰してくれねーだろ普通、とアキラが続けて言うと絶句したまま固まるマサト。王女の言葉をそのまま信じていただけにその反動は大きかった。
確かに、わざわざ召喚した戦力を簡単に帰してくれるかと問われれば疑問が残る。
「え、じゃあ僕らは・・・・・・」
「ここで暮らすしかねーの」
「・・・・・・、そんな」
アキラから告げられた言葉。楽観的に考えている彼とは違い、マサトにとってはあまりにも受け入れたくないものだった。
不意に思い出したのは、一緒に下校していた一人の親友。
(大丈夫かなぁ・・・・・・直哉くん。巻き込まれてないといいけど・・・・・・)
◇◇
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