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【番外】勇者編 我々は〝賭け〟に勝ったのだ
1.召喚される
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──某刻アチェレッタ王国、玉座の間にて。
「どうか魔族を退け、私たち・・・・・・いえ、この世界をお救いくださいませ!!」
学生服姿の二人の青年の目の前で、煌びやかなドレスを身に纏った王女が懇願する。三人の周りには疲弊しきった魔術師たちが整列していた。
少し離れた玉座では、この国の王と思われる人物が静かに鎮座している。
──この王国では数日前から『勇者召喚』と呼ばれる古代儀式を試していた。
魔術師数十人で行う召喚儀式は莫大な魔力を使い、中には生命を落とす者もいるという。当然、成功よりも失敗の方が多い。
他国でも成功した例は稀だと言われているが、召喚された異世界人は例外なく強大な力を持っており、英雄として崇められている者もいた。
──つまり、異世界人がいるだけでその国は他国よりも優位に立てたのである。
まさにハイリスクハイリターン。ここアチェレッタ王国でも、度重なる議論の末に行うことが決定された。
戦力としても重要な魔術師を犠牲にしても、異世界人の強大な力を欲したのだ。
結果、数人の魔術師の生命は犠牲となったが、二人の召喚の成功という前代未聞の偉業を成し遂げたのだった。
「──ですから、お二人には魔王を倒していただきたいのです」
「ちょっ、ちょっと待ってよ。何で僕が・・・・・・」
そう答えたのは茶髪の青年。顔立ちは整っており、王子様のような甘い雰囲気が数多の女性を魅了する。実際、目の前で懇願する王女もこの青年を見て頬を赤らめていた。
そんな彼が困惑するのも無理はない。友人との下校中、激しい光に包まれかと思えば、いつの間にかこんな所にいたのだから。
対するもう一人の青年は、所々跳ねた金髪で耳には四つのピアスとかなり軽い印象である。
茶髪の青年とは違い、彼は慌てることもなく落ち着いた様子で、この状況を受け入れていた。膝を立てニヤリと笑うと、興奮気味に隣の青年に話しかける。
「つまり俺らは勇者ってことだよ、鈍いやつだな!! ほら、ラノベではよくある展開だろ? まさか知らねーの?」
「うん、まあ・・・・・・あまり読んだことなくて」
「はぁーお前なんか、まんまテンプレじゃんかよ・・・・・・ま、いいや。とにかく俺らには強大な力が眠ってる勇者ってこと!! 魔王討伐とかマジ楽勝ってワケ、んでその後は英雄としてハーレム三昧ってことよ」
金髪の言葉に押されるように、なるほど、ともう一人の青年も納得する。自分の力さえ有ればどんな敵でも勝てると。それだけの力を持っている、と。
それには目の前の女性も嬉々として賛同する。ゆっくりと立ち上がると、玉座のそばに置いてあった二つの水晶を手に取り、二人の前にそれぞれ置いた。
「ええ、貴方様方にはとてつもない力が眠っております。それは、この魔道具が証明してくれることでしょう」
マジックアイテム? と聞き慣れない言葉に疑問符を浮かべたのは茶髪の青年だった。そんな彼に、もう一人の青年は呆れたようにため息をつく。
「お前、まさかRPGとかしたことねーの? まさか、魔法を知らないってことはねーよな・・・・・・?」
「魔法ぐらいは知ってるさ。ファンタジーとかでよく使われるやつだろ?」
「まーそうだな。これはその力が道具化したものだって考えりゃーいい」
「ふーん・・・・・・すごい便利なんだね」
いまいち気のない返事に、ほんとにわかってんのか、と金髪の青年は心配になった。順応が早いのはありがたいが、本当に理解をしているのかは定かではない。
二人の会話が終わったと判断したのか、王女が笑顔で説明に入った。両手で二つの水晶を指し示す。
「この魔道具には、触れた者の魔素量が数値化されるという魔法が込められております」
「へぇー・・・・・・じゃ、普通はどんくらいなワケ?」
「貴様っ!! 王女様に向かって何という言葉遣い・・・・・・」
「いいのです、お下がりなさい」
青年の失礼な物言いに、待機していた兵士の一人が動いたが、王女自らがピシャリとそれを手で制した。柔らかな笑みを崩さぬまま、青年の言葉に応える。
「そうですね、一般男性で5000程度でしょうか。最高位であるSランク冒険者だと、10万以上はあるようです」
「へーえ、そんなもんなのか」
青年の反応は薄い。じゃあやってみるか、と軽いノリで目の前に置かれた水晶に視線を向けた。ほらお前も、と隣に声をかけると、そうだね、と茶髪の青年も改めて水晶を前にする。
「僕に本当にそんな強い力があるなら、魔族は・・・・・・悪はこの手で消し去らなきゃダメだよね」
「・・・・・・さっすが、テンプレ主人公。正義感がお強いことで」
ボソリと小声で金髪の青年が呟く。その強い正義感の裏で狂気じみたものが見えるのは気のせいか。
「ん? 何か言った?」
「いんや、何も。──それよりも早く試してみよーぜ」
目の前に置かれた二つの魔道具。二人は同時にそのつるりとした表面に──触れた。
「どうか魔族を退け、私たち・・・・・・いえ、この世界をお救いくださいませ!!」
学生服姿の二人の青年の目の前で、煌びやかなドレスを身に纏った王女が懇願する。三人の周りには疲弊しきった魔術師たちが整列していた。
少し離れた玉座では、この国の王と思われる人物が静かに鎮座している。
──この王国では数日前から『勇者召喚』と呼ばれる古代儀式を試していた。
魔術師数十人で行う召喚儀式は莫大な魔力を使い、中には生命を落とす者もいるという。当然、成功よりも失敗の方が多い。
他国でも成功した例は稀だと言われているが、召喚された異世界人は例外なく強大な力を持っており、英雄として崇められている者もいた。
──つまり、異世界人がいるだけでその国は他国よりも優位に立てたのである。
まさにハイリスクハイリターン。ここアチェレッタ王国でも、度重なる議論の末に行うことが決定された。
戦力としても重要な魔術師を犠牲にしても、異世界人の強大な力を欲したのだ。
結果、数人の魔術師の生命は犠牲となったが、二人の召喚の成功という前代未聞の偉業を成し遂げたのだった。
「──ですから、お二人には魔王を倒していただきたいのです」
「ちょっ、ちょっと待ってよ。何で僕が・・・・・・」
そう答えたのは茶髪の青年。顔立ちは整っており、王子様のような甘い雰囲気が数多の女性を魅了する。実際、目の前で懇願する王女もこの青年を見て頬を赤らめていた。
そんな彼が困惑するのも無理はない。友人との下校中、激しい光に包まれかと思えば、いつの間にかこんな所にいたのだから。
対するもう一人の青年は、所々跳ねた金髪で耳には四つのピアスとかなり軽い印象である。
茶髪の青年とは違い、彼は慌てることもなく落ち着いた様子で、この状況を受け入れていた。膝を立てニヤリと笑うと、興奮気味に隣の青年に話しかける。
「つまり俺らは勇者ってことだよ、鈍いやつだな!! ほら、ラノベではよくある展開だろ? まさか知らねーの?」
「うん、まあ・・・・・・あまり読んだことなくて」
「はぁーお前なんか、まんまテンプレじゃんかよ・・・・・・ま、いいや。とにかく俺らには強大な力が眠ってる勇者ってこと!! 魔王討伐とかマジ楽勝ってワケ、んでその後は英雄としてハーレム三昧ってことよ」
金髪の言葉に押されるように、なるほど、ともう一人の青年も納得する。自分の力さえ有ればどんな敵でも勝てると。それだけの力を持っている、と。
それには目の前の女性も嬉々として賛同する。ゆっくりと立ち上がると、玉座のそばに置いてあった二つの水晶を手に取り、二人の前にそれぞれ置いた。
「ええ、貴方様方にはとてつもない力が眠っております。それは、この魔道具が証明してくれることでしょう」
マジックアイテム? と聞き慣れない言葉に疑問符を浮かべたのは茶髪の青年だった。そんな彼に、もう一人の青年は呆れたようにため息をつく。
「お前、まさかRPGとかしたことねーの? まさか、魔法を知らないってことはねーよな・・・・・・?」
「魔法ぐらいは知ってるさ。ファンタジーとかでよく使われるやつだろ?」
「まーそうだな。これはその力が道具化したものだって考えりゃーいい」
「ふーん・・・・・・すごい便利なんだね」
いまいち気のない返事に、ほんとにわかってんのか、と金髪の青年は心配になった。順応が早いのはありがたいが、本当に理解をしているのかは定かではない。
二人の会話が終わったと判断したのか、王女が笑顔で説明に入った。両手で二つの水晶を指し示す。
「この魔道具には、触れた者の魔素量が数値化されるという魔法が込められております」
「へぇー・・・・・・じゃ、普通はどんくらいなワケ?」
「貴様っ!! 王女様に向かって何という言葉遣い・・・・・・」
「いいのです、お下がりなさい」
青年の失礼な物言いに、待機していた兵士の一人が動いたが、王女自らがピシャリとそれを手で制した。柔らかな笑みを崩さぬまま、青年の言葉に応える。
「そうですね、一般男性で5000程度でしょうか。最高位であるSランク冒険者だと、10万以上はあるようです」
「へーえ、そんなもんなのか」
青年の反応は薄い。じゃあやってみるか、と軽いノリで目の前に置かれた水晶に視線を向けた。ほらお前も、と隣に声をかけると、そうだね、と茶髪の青年も改めて水晶を前にする。
「僕に本当にそんな強い力があるなら、魔族は・・・・・・悪はこの手で消し去らなきゃダメだよね」
「・・・・・・さっすが、テンプレ主人公。正義感がお強いことで」
ボソリと小声で金髪の青年が呟く。その強い正義感の裏で狂気じみたものが見えるのは気のせいか。
「ん? 何か言った?」
「いんや、何も。──それよりも早く試してみよーぜ」
目の前に置かれた二つの魔道具。二人は同時にそのつるりとした表面に──触れた。
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