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おしおきだべぇ〜!!
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ウラギールはやれやれといった表情で、壁際に置いてある『大人のオモチャ箱』へと歩み寄り、中を覗き込むとゴソゴソ探りながらぼやいた。
「あっしも、その子を組み伏せた覚えがあるんで、大きい事は言えやせんがね。こんな幼子を……しかも、ジュータさんの身内を苛めて泣かすなんて、いくらなんでもやり過ぎでさぁ……。ええと……あった、あった。これでいいや」
掴み出したのは、手錠と足枷だ。
それからシャルロットの前に立ち、こう言った。
「シャルロット隊長。この娘っ子が悪人なのは、間違いないんで?」
シャルロットは大威張りで頷く。
「ああ、そうだ! この私が尋問して突き止めた! 確かな事だぞ、ウラギール! ……それで拘束して、連行するつもりか?」
ウラギールは、シャルロットの剣を指差す。
「隊長。その剣、ちょっと貸してもらえやすか?」
「ん? ああ、いいぞ」
シャルロットから剣を受け取り、ウラギールはまたも言う。
「隊長。ここに跪いて、頭を床につけて、手を後ろに回してください」
「え? こうか?」
シャルロットは、ウラギールに言われるがままのポーズを取る。
すると、ガチャリ、ガチャリ。ウラギールは、シャルロットの手足を封じてしまった。
シャルロットの顔に困惑が浮かぶ、
「お、おい。……なにをする、ウラギール!」
ウラギールは、ひっくひっくとしゃくりあげてるマリオンを手招きして呼び寄せると、シャルロットの剣を握らせた。その刃先を自分の隊長の頭上にセットしてから、シャルロットに言う。
「隊長、もう一度、聞きやす。この娘っ子が悪人なのは、間違いないんで?」
シャルロットは、自信満々に大きく頷いた。
「ああ、間違いない! 大悪人だ! だって、自白したからな!」
ウラギールは問いかける。
「隊長。今、シャルロット隊長は、身動きが取れませんやね?」
「む? ああ、そうだな」
「この娘っ子は、刃先を下ろせば隊長を殺せますやね?」
「お? ああ、そうだな」
「この娘っ子が悪人だとしたら、とっくに隊長を殺してると思いやせんか?」
「……えっ」
シャルロットが、不安そうにマリオンを見る。剣はマリオンには重すぎるらしく、刃先はしゃくりあげる度にブルブルと震えて、今にも落ちてきそうだ。
普段から「くっ……殺せ!」が口癖のシャルロットだが、さすがにこの理不尽かつ一方的な状況には危機感を覚えたらしく、見る間に血の気が引いていく。
「え、えっ、え!? ……えっ、あの……えっと。……幼女よ! 私は、君の良心に期待したい! 私も正直、さっきは少しやり過ぎてしまったかなーと思っている。途中から剣をこう……ドカッと突き立てながら『意味がわかりませんッ!』って言うのが、なんだか気持ちよくなってしまってな……アレをやりたいがために、特に厳しく尋問してた面も、無きにしも非ずであった。そこは素直に認めようっ!
でも私は純粋に、平和を守らなくてはという使命感で幼女を尋問したのだ! だって物語の悪役は、いつも恐ろしい姿とは限らぬぞ!? 美しい姫や幼い子供に化ける事もあるのだ! 幼女だって本当は、見た目通りではないかも知れないじゃないかーっ!?」
おおっ? シャルロットめ……変なところで鋭いな!
マリオンは、何も答えない。剣も引かない。ただ、グスグスと鼻を鳴らしては、刃先をブルブル震わせる。
ウラギールが「少しは反省してくださいな」と呟いて頭を掻いて視線をずらし、シャルロットは陸に打ち上げられた魚みたいに、必死でのたうち回った。
ウラギールは、シャルロットに大甘な男である。
いざこざは自分が身代わりになって収めるし、シャルロットを助けるためには命も掛ける。
しかし、何事にも例外はある。王族や貴族に関するトラブルだけは、重大問題に発展するため、シャルロットにも反省させる傾向があった。シャルロットも王族や貴族には敬意を払っているが、如何せんアホなので、ごくたまにロクでもない展開になるのである。
まあ今回は、俺が貴族だからというよりも、やはり「マリオンが俺の身内だから」、シャルロットにお仕置きして反省させる事にしたようだが。
ウラギールが、俺をチラリと見る。キリのいいとこで、止めてくれというサインだろう。
しばらくしてから俺は、マリオンの肩をポンと叩き、優しい声で言う。
「なあ、マリオン……もう、いいだろ? こいつ、本当にしょうもないアホの子だけどさ……調子に乗りやすいだけで、悪気はないんだ。すっごく時々だけど、良いところもあるんだよ。……許してやってくれないかな?」
マリオンは小さくコクンと頷くと、剣を俺に渡す。
そして、ポツリと。
「疲れた……オレ、風呂入って寝るわ」
「おっ、おつかれさまっしたー!」
俺は慌てて直角におじぎして、その背を見送る。
今のマリオンは、肉体も精神もヘトヘトに疲れきっている。休ませてあげた方がいいだろう。
……ああ、それにしてもっ!
マリオンのライブ、本っっっ当に楽しかったなぁ!
俺、感動しちゃったよ!
最後はシャルロットのせいで、あんな終わり方になっちまったけど……もしかしたらマリオン、歌が好きなのかもな。すごく上手だったもんなー……よく鼻歌も歌ってるし。
今日のイベントは、一生の思い出にしよう!
またいつか、歌を聞かせてもらえるだろうか……?
それからふと、ガラスの砕け散った窓を見た。強い風がビュービュー吹き込む。そろそろ季節は秋なので、数枚の落ち葉がカサカサと風に踊っていた。剣を刺されて穴だらけになった床の上では、シャルロットがジタジタもがいてる。
それらを見て、俺は呟く。
「もはや、ここ……『開かずの間』でも、なんでもねえな……」
まともな部屋が、減っていく。
おい、いくら空き部屋だらけって言ってもよ……このペースだと、一年もせずに全部潰れるぞ!?
「あっしも、その子を組み伏せた覚えがあるんで、大きい事は言えやせんがね。こんな幼子を……しかも、ジュータさんの身内を苛めて泣かすなんて、いくらなんでもやり過ぎでさぁ……。ええと……あった、あった。これでいいや」
掴み出したのは、手錠と足枷だ。
それからシャルロットの前に立ち、こう言った。
「シャルロット隊長。この娘っ子が悪人なのは、間違いないんで?」
シャルロットは大威張りで頷く。
「ああ、そうだ! この私が尋問して突き止めた! 確かな事だぞ、ウラギール! ……それで拘束して、連行するつもりか?」
ウラギールは、シャルロットの剣を指差す。
「隊長。その剣、ちょっと貸してもらえやすか?」
「ん? ああ、いいぞ」
シャルロットから剣を受け取り、ウラギールはまたも言う。
「隊長。ここに跪いて、頭を床につけて、手を後ろに回してください」
「え? こうか?」
シャルロットは、ウラギールに言われるがままのポーズを取る。
すると、ガチャリ、ガチャリ。ウラギールは、シャルロットの手足を封じてしまった。
シャルロットの顔に困惑が浮かぶ、
「お、おい。……なにをする、ウラギール!」
ウラギールは、ひっくひっくとしゃくりあげてるマリオンを手招きして呼び寄せると、シャルロットの剣を握らせた。その刃先を自分の隊長の頭上にセットしてから、シャルロットに言う。
「隊長、もう一度、聞きやす。この娘っ子が悪人なのは、間違いないんで?」
シャルロットは、自信満々に大きく頷いた。
「ああ、間違いない! 大悪人だ! だって、自白したからな!」
ウラギールは問いかける。
「隊長。今、シャルロット隊長は、身動きが取れませんやね?」
「む? ああ、そうだな」
「この娘っ子は、刃先を下ろせば隊長を殺せますやね?」
「お? ああ、そうだな」
「この娘っ子が悪人だとしたら、とっくに隊長を殺してると思いやせんか?」
「……えっ」
シャルロットが、不安そうにマリオンを見る。剣はマリオンには重すぎるらしく、刃先はしゃくりあげる度にブルブルと震えて、今にも落ちてきそうだ。
普段から「くっ……殺せ!」が口癖のシャルロットだが、さすがにこの理不尽かつ一方的な状況には危機感を覚えたらしく、見る間に血の気が引いていく。
「え、えっ、え!? ……えっ、あの……えっと。……幼女よ! 私は、君の良心に期待したい! 私も正直、さっきは少しやり過ぎてしまったかなーと思っている。途中から剣をこう……ドカッと突き立てながら『意味がわかりませんッ!』って言うのが、なんだか気持ちよくなってしまってな……アレをやりたいがために、特に厳しく尋問してた面も、無きにしも非ずであった。そこは素直に認めようっ!
でも私は純粋に、平和を守らなくてはという使命感で幼女を尋問したのだ! だって物語の悪役は、いつも恐ろしい姿とは限らぬぞ!? 美しい姫や幼い子供に化ける事もあるのだ! 幼女だって本当は、見た目通りではないかも知れないじゃないかーっ!?」
おおっ? シャルロットめ……変なところで鋭いな!
マリオンは、何も答えない。剣も引かない。ただ、グスグスと鼻を鳴らしては、刃先をブルブル震わせる。
ウラギールが「少しは反省してくださいな」と呟いて頭を掻いて視線をずらし、シャルロットは陸に打ち上げられた魚みたいに、必死でのたうち回った。
ウラギールは、シャルロットに大甘な男である。
いざこざは自分が身代わりになって収めるし、シャルロットを助けるためには命も掛ける。
しかし、何事にも例外はある。王族や貴族に関するトラブルだけは、重大問題に発展するため、シャルロットにも反省させる傾向があった。シャルロットも王族や貴族には敬意を払っているが、如何せんアホなので、ごくたまにロクでもない展開になるのである。
まあ今回は、俺が貴族だからというよりも、やはり「マリオンが俺の身内だから」、シャルロットにお仕置きして反省させる事にしたようだが。
ウラギールが、俺をチラリと見る。キリのいいとこで、止めてくれというサインだろう。
しばらくしてから俺は、マリオンの肩をポンと叩き、優しい声で言う。
「なあ、マリオン……もう、いいだろ? こいつ、本当にしょうもないアホの子だけどさ……調子に乗りやすいだけで、悪気はないんだ。すっごく時々だけど、良いところもあるんだよ。……許してやってくれないかな?」
マリオンは小さくコクンと頷くと、剣を俺に渡す。
そして、ポツリと。
「疲れた……オレ、風呂入って寝るわ」
「おっ、おつかれさまっしたー!」
俺は慌てて直角におじぎして、その背を見送る。
今のマリオンは、肉体も精神もヘトヘトに疲れきっている。休ませてあげた方がいいだろう。
……ああ、それにしてもっ!
マリオンのライブ、本っっっ当に楽しかったなぁ!
俺、感動しちゃったよ!
最後はシャルロットのせいで、あんな終わり方になっちまったけど……もしかしたらマリオン、歌が好きなのかもな。すごく上手だったもんなー……よく鼻歌も歌ってるし。
今日のイベントは、一生の思い出にしよう!
またいつか、歌を聞かせてもらえるだろうか……?
それからふと、ガラスの砕け散った窓を見た。強い風がビュービュー吹き込む。そろそろ季節は秋なので、数枚の落ち葉がカサカサと風に踊っていた。剣を刺されて穴だらけになった床の上では、シャルロットがジタジタもがいてる。
それらを見て、俺は呟く。
「もはや、ここ……『開かずの間』でも、なんでもねえな……」
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