俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど

文字の大きさ
10 / 36

第十話……新しい洞窟に到着したんだが……

しおりを挟む
 洞窟Bは全部で出入口が三つ。俺達がまず向かうのは、当然三番口だ。次に二番、一番と続いていく。ただし、前にも言った通り、洞窟Bからは中に入って行かないと、モンスターに出会わないため、通常なら一つの出入口の討伐だけでも時間がかかる。
 しかし、リセラが見送り時に言った感じだと、おそらく『優秀者特別免除制度』が俺達に適用されるはずだ。

 そうこうしていると、すぐに三番口に着いた。そして、ママが監視官達と少し話しをしてから、俺達の所に戻ってきた。

「さて、ここからは私は後ろを歩くから、好きに進んでね。走る時は言って。明かりは、私が一つ持つから」
「分かった。油断せずに行こう!」
「はい!」

 それから、ディーズが明かりとして使った炎魔法を頼りに、洞窟内を進んで十分ほど経過したが、俺達の覚悟とは裏腹に、一向にモンスターは現れなかった。
 そんな状況を見て、後ろのママが口を開いた。

「うーん……。よし! 切り上げようか。二番口に行くよ」
「え、いいんですか⁉️ 一体も倒していないのに」

 案の定、ディーズが驚いたが、俺も流石に成果なしで戻るとは思わなかった。規定の文面ではもちろんその通りなのは分かっているが、実際にゼロになるのは、これまでなかったからだ。

「いつ現れるか分からないし、このまま進んでも待っていても時間の無駄だからね。それに、書類審査と教養面接で優秀であると判断されたパーティーは、短期切り上げも許されているから。元々、一体目で様子を見て、二体目で次に行く予定だったし」
「なるほど、ありがとうございます」

 そして、俺達は三番口を出て、二番口に向かった。
 三番口と同様に、ママが監視官達と話しをしている。

「あれって、何を話しているんでしょうか。雑談じゃないとしたら、何となく想像はできますけど」
「もちろん、雑談じゃない。洞窟内の分岐から、俺達と出会わないでモンスターが出入口まで来て、街まで誰も止められなかった時に、ママが直接対処できないから、その別手段や引き継ぎをどうするか確認してるんだよ。
 本当は、洞窟でどういうルートを進むかも共有したいんだが、同行時はパーティー任せだから、それもできないしな。それ以外を念入りに確認する必要があるわけだ。これも規定通り。規定に書いてあっても、必ず二重にも三重にも確認する。一つのミスで町や国が大変なことにならないように」

「ギルド規則は時間がある時に是非読んでみたいですね。覚えられるかは別にして」
「文字数は多いが、読んでみると結構面白いからな。『このギルド、最高かよ』と思えるし、オススメだ」

 ママが戻ってきたところで、俺達は洞窟内に入って行った。
 が、ここでもモンスターが現れず、ママの一声で一番口に向かった。

「洞窟Bでは前代未聞だよ、こんなことは。バクス、もっとやる気をなくしてもらわないと」
「俺のせいなのかよ⁉️ そんなやる気の有無で本当に変わるとも思えないんだが」

「今までもそうだったんだろ? まさか、洞窟Gの再来になるとはね。ディーズは、バクスからその話聞いてる?」
「あの、『その話』って秘密にしてることじゃないんですか? 魔法に関する会話の流れでバクスから教えてもらいましたけど、監視官からは世間に伝わってないですよね?」

「バクスには『秘密にしろ』とも『自慢しろ』とも言ってないからね。要は、本人の意志が無視されて、話が広がるのを抑えているだけだよ。
 ギルドとしては、あまり広めてほしくないけどね。有象無象が集まってきちゃうから。あ、ディーズは歓迎だよ」
「ありがとうございます。もちろん、私もその話を聞いた時、『広めたらいけないやつだ……』と思ったので、広めません」
「でもさぁ、洞窟Gの時って、俺そんなにやる気に満ちてたかなぁ」

「満ちてるどころか溢れてたでしょ。『ママに良いトコ見せるんだ。モンスターが来ても一瞬で全滅させるんだ。そして、良いコトしてもらうんだ』って言って」
「いや、真ん中以外は捏造だよな? 上手く言ってるけど、本人の意志が無視されてるよな?」

「半分合ってるでしょ。私が『モンスターを一匹残らず自分で討伐したら、何でもしてあげる』って言ったんだから。そしたら、期待に胸踊らせて、下半身から固いモノを反り立たせちゃって」
「半分合ってても、全部合ってなきゃ捏造なんだよなぁ……。俺は『別にいいよ、そんなことしなくて』って言ったんだから。しかも、追加で捏造された『固いモノ』は、洞窟Gで俺が構えた時の剣のことだし。もしかして、フォルはママに影響されたのか? その逆か?」

 ママと俺が望まない漫才をしていると、それを聞いていたディーズが笑った。

「ふふふっ、バクスの前だとママでも捏造したくなっちゃうんですね。既成事実化したいみたいな感じでしょうか。私は捏造したくても思い付きません」
「しなくていいぞ。仮にしても、俺達だけの時にしてくれ。一人でも他の誰かがいると、俺がその場で否定したにもかかわらず、勝手に切り取られて広められるから。そういうギルドだから」
「失礼な。バクスだけだから、変な噂が広まってるのは。じゃあ、ついでにバクスがディーズ達の初めてを奪ったっていう噂を流しておこうか」

「何がついでになんだよ! せめて『達』というのはやめろ! シーズが含まれてしまう」
「別にいいでしょ。フォルとの噂で、どっちもイケることが知られてるんだから」

「それはそうなんだが……。ほら、イメージがあるから。フォルなら『かわいいから仕方がないかな』って思われるが、シーズはガチだから。シーズも変なふうに思われるのは嫌だよな?」

 シーズはニッコリと親指を立てた。

「それはどういう意味なんだよ! ビーズだって嫌だろ?」
「あたしは別にかまわないよ。バクスが『夜にディーズも誘って俺の部屋に来い。複数じゃないと燃えないんだ。従わなかったら、ギルドのロビーで公開プレイをする』って毎日脅してきても。この際、色んな噂を流した方が、何が本当か分からなくなるから良いんじゃない?」
「なるほどね。やっぱり、バクスは普通じゃ満足できなくなっていたのか。公開プレイは私も脅されてることにしないとできないね。私がバクスに心も体も依存していて、それを知ったバクスが、『俺の言うことを聞かないと縁を切る。禁断症状に喘ぐママは見ものだな』と脅していることにしようか」

「なるほどね、じゃないんだよ! 設定も擦り合わせるな! ほら、着いたぞ! 仕事だ仕事。と言っても、すでに仕事だったんだが!」
「バクス、やる気は出さないでよ!」

「誰がやる気にさせてるんだよ!」
「ディーズ、あれは怒ってるんじゃないからね。むしろ、逆。このやり取りを楽しんでるってことだから」
「そうなんですか⁉️」

「まぁ実際、怒ってはいない。負の方向に感情的になっても損するだけだからな。仕事に影響しては元も子もないし」
「そうそう。私は例のごとく監視官の所に行ってくるから、ちょっと待ってて」

 そう言って、ママは逃げるように俺達から離れて行った。

「なんか……試験中とはとても思えない雰囲気ですね」
「いつも通りの力が出せるように、ってことだよ。その代わり、俺の評判が犠牲になってるんだが……」

「ふふふっ、ありがたいです。私は、どちらかと言うと緊張しやすいですから。特に、バクスの尋常ならざる動きの前では……」
「気後れするってことか? そんなの気にすることはないぞ。ただ、そう言っといて何だが、冒険者にとって緊張自体は悪いことではない。腑抜けるよりもずっと良い」

「確かに、そういう考えは大事ですね……。簡単に受け入れられるかどうかは別にして」
「知っておくだけでも違うさ。賢明であれば、あとで必ず役に立つ」

 俺達の抽象的な話が一段落すると、ママが戻ってきて、すぐに洞窟内に入って行くことになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...