俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど

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第三十三話……無能女(自称)を説得したいんだが……

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「みゃ~」
「は、初めまして……フレウ……です……」

 フレウを宝石に入れて、午前中に洞窟Aから帰還した俺達は、フレウの服を取り繕うために、途中で俺の家に寄ってから、『マリレイヴズ』に向かった。
 そして、ロビーで待っていたみんなに、早速メムとフレウを紹介した。

「そこで見かけて、これから『Aランク昇格&魔壁挑戦成功パーティー』をやるから、参加しないかって誘ったんだ。とりあえず、みんなに相談したいこともあるから、個室に行かないか?」

 ロビーには、まだ他の冒険者もいるので、フレウがモンスターであることは言えない。メムについては、ママが話しているはずだから、説明の必要はないだろう。

「よし。それじゃあ、私に付いてきて。ラウラとクウラも」

 ママが事情を察してか、俺達には何も聞かず、ギルド奥の個室に案内してくれた。流石だ。
 それから個室に入って、俺達とママが別れてから何があったのかを詳細に共有した。もちろん、俺達三人で色々と議論した内容も。

「大丈夫、想定内だよ。『コピーワン』の存在も含めてね。バクスの予想通り、セントラルで権力を握っている。ハッキリ言おうか。ソイツは、コピー元の人間を殺してすり替わり、セントラル内第一セントラル領国の宰相になった。セントラルの魔天井に繋がる塔を管理している国であり、五つある領国の中で最も権力を有する国ね。
 元々、その宰相も私達からすれば悪人だから、怒りに駆られることはないんだけど、ソイツのせいで、その国がさらにおかしくなったことは間違いない。
 実は、例のパーティーも、その影響を大きく受けてるんだよね。それもあって、彼ら彼女らはセントラルに怒り心頭で向かってるってわけ。これ以上は、勇者に言及せざるを得なくなるから言わないでおくよ」
「パパには、コピーワンを討伐してもらい、コミュには、その恩をセントラル全体に無理矢理着せるよう交渉してもらう。
 それよりも前に、フォルがコピーワンこと宰相に変身して思考を読み、周辺領国に対して、より有利な交渉に持って行くための機密情報があれば、それを入手。
 その後、セントラル最高評議会を開催し、ノウズ中央政府への割譲案を強制可決。フォルは宰相のままでもいいし、権力を持つ別の人に変身してもいい。いずれにしても、宰相の後任を選んだ上で、即総辞職する。
 念のため、本当にコピーワンかどうかは、メムとフレウに判定してもらう。もしかすると、その宝石で『宰相に変身しているモンスターを吸収しろ』と条件を付けて念じれば、その通りになって判定が不要になるかも。あとで検証してみて。
 仮にそれが可能だとしたら、代わりに二人には、宰相に与する、あるいは、それに匹敵する外道達を、毒で暗殺してほしい。例のパーティーには知られずに。要人の場合は、できれば自害したように見せて。
 おそらく例のパーティーは、彼らから命乞いをされたら殺さない。また問題が起こったら、その時に対処すればいいというスタンス。
 でも、例のパーティーがこの大陸にずっといる保証はない。パパ達がその都度、出向くのもリスクがあって効率が悪い。それなら、最初の内に悪の芽を取り除いておいた方が良い。とか言う私の方が外道かもしれないけど、今は考えないことにする。難易度が高いから、無理や深追いはしなくていいよ。
 流れはこんなところ。詳細は出発直前にしようか。色々なことがあると、忘れちゃうからね」
「お姉ちゃんが話したのは、あくまで例のパーティーが勇者管理組合を優先した場合ね。第一セントラル領国自体が優先の場合、こちらはその逆を行く。イシスの読みでは、その可能性は限りなく低いけど、あとで説明するから、念のため頭に入れておいてね」

「メムちゃんから聞いてたけど……すごいよ! ラウラちゃんもクウラちゃんも! 天才って本当にいるんだぁ……」
「フレウには媚薬も作ってほしいな」
「おい、待て! ラウラには早すぎる! もちろん、クウラもだ!」

「じゃあ、パパがディーズに使ってあげたら? もう宿屋にいるよ」
「おい、待て! それは本当か⁉️」

「昨日の午後にコミュが、ギルドを遠くから見てるディーズを見つけて、素知らぬ顔で声をかけたんだって。それからママの所に連れてって、『バクスが戻ってくるまで、これまで通りギルド宿舎で待ってるといいよ』ってママが言ったら、宿屋に泊まるって。所属ギルド変更届をもらってね。いつでもいなくなる気満々だね。
 でも、まだいる。何かを期待していないと、そうはならないよね。メッセージを伝えてもらうこともできたわけだし」
「バクス、私、ディーズに声かけて良かったんだよね? あの時、そのままにしてたら、ずっとギルドに入らない気がしたから……」
「ああ、よくやってくれた。今すぐディーズのところに行……」

 個室のドアノブに手をかけた俺は、嫌な予感がしてハッとすると同時に、イシスの方を見た。

「すごいね、バクス。その通り。このまま行くと、すれ違いになる。もちろん、それに気付かなくても、私が止めるつもりだったけど」
「フォルの言葉を思い出したんだ。見知らぬ人間で監視することができるなら、俺を避けるか誘導するかして、『マリレイヴズ』に所属ギルド変更届を提出しに来ることも可能だ。ここで待っていた方が良いのか、あるいは……」
「僕の名前が出たついでに、良いアイデアがあるんだ。僕がその陽動に乗るよ。見た目だけバクスに変身して。そして、ディーズには、あえて変更届を提出させる。その間に、バクスは街の門外で、ディーズが出てくるのを待つ。
 そこで思いの丈を、お互いに話せばいいよ。女の子にとって、ロマンティックな演出は大事だからね」

 改めて、コミュ、イシス、フォルには感謝だ。このギリギリの状況でも、冷静に考え、動いてくれた。
 俺も焦る気持ちと緊張を抑えよう。

「流石、『捏造のフォル』だ。俺では思い付かない考えだ」
「捏造してるのは僕だけじゃないよね⁉️ それならここにいる全員がその二つ名を得る資格があるよね⁉️」
「フォルは捏造量が異常だからねー。私みたいに、そこそこにしておかないと」
「いや、そこそこもダメだろ!」
「そうだよ。それは夜の話題だけにしておかないと。みんなが確認できないことを捏造するんだから」
「お前達……本人の前で開き直りすぎだろ! 前代未聞だよ、こんな捏造劇は」
「お、流石バクス。上手いね。夜の遊びだけに」
「いや、それも上手くないから!」
「流れるような上手いトリプルミーニングツッコミ。パパはもうトリプルMグランプリ優者を名乗っていいんじゃない?」
「流石、お姉ちゃん! トリプルミーニングを受けて、クアドラプルミーニングで返していくぅ!」
「クウラは実況するんじゃない! お前には早すぎるんだよ! メムとフレウは、その観客みたいに手を叩いて笑うんじゃない!」

 こうして、俺の平常心は保たれたのだった。

 ありがとう、みんな。
 待っていろ、ディーズ。

 まぁ、街の外で待つのは俺なんだが……。
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