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第三十五話……かつて無能だった一流冒険者の女どもが俺の子種を希望してくるんだが……
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ディーズと一緒に『マリレイヴズ』に戻ってきた俺達は、個室で彼女のスキルについて聞くことにした。
いつもの通り、ママとラウラ達にも参加してもらっている。
「私のスキルの本質は、『具体化』でした。具体的な指示を分身前にしておくことで、遠隔でも分身体が自律的に動けるようになりました。また、分身前の想像力と、それにかける時間が大事で、条件さえ整えば、何体でも増やすことができます。
分身後でも、分身体に触れていれば、即座に再度具体化できます。
それまで抽象的すぎたんです。そして、分身体を一度作ったら、それを変えないように、同じ時間で同じ手順を踏んでいたので、いつまで経っても声まで具体化できなかったというわけです。それで何とかなっていたので、そこにはあまり興味がなかったのかもしれません。
あくまで分身がベースなので、人間以外には変身できません。
私がこの街に戻ってきて、そのまま離れようとしたのは、スキルアップしても、結局、指定重要機密スキルレベルではないんじゃないかという疑念と自信のなさが理由だったんです」
「なるほどな。一応、リストには『大量の労働力を提供できる』があるから、一番該当するとしたらこれだが、それこそ抽象的だし基準が分からないから、何とも言えないな……」
すると、ママが眉をひそめながら、待ったをかけるようなジェスチャーをした。
「いや、この場合は、それで申請しない方が良い。指定重要機密スキルリストには、申請すると不幸になるスキルも多く含まれてるんだよ。仮に、そのレベルに達していなくても、必ず召集されるだろうね。
コミュ達についても、そうならないように私が微妙に過小評価して、指定重要機密スキル保持者認定届を中央政府に提出したんだよ」
「そのまま申請しちゃうと、ほとんど国の奴隷になっちゃうってことだよね」
「一般公務員と何が違うかと言うと、寝る暇もないぐらい忙しい、国家支出という代わりがあるから使い潰される、やりがいがあるかどうかは場合によるけど、いずれにしても、肉体と精神の両方が病みそう」
ママ、ラウラ、クウラの警告を聞いて、俺は絶対にディーズをそんな境遇にさせないと決意した。
「ありがとう。じゃあ、申請なしで済ませるか。簡単に誤魔化せるし」
「いや、指定重要機密スキル保持者の登録者数が多ければ多いほど、政府に対する『マリレイヴズ』の発言権が増す。ここは、『離れた土地で一切のリスクなく活動できる』で認定しよう」
「でも、それだと諜報員として使われることになるんじゃないか? それに、発言権が増したら、危険分子扱いされて、解散させられる恐れもある」
「そこは、中央政府との法律化されていない密約があるんだよ。まず、解散の方だけど、既存の条文には、『我が国の政府は、国家認定最高ランクギルドに対して、当該ギルドが国家に重大な危機または懸念を生じさせる場合を除き、いかなる強制措置も行わない。逆に、国家認定最高ランクギルドは、我が国に対して、同様の場合を除き、極めて真摯に当該ギルドを運営する義務を負う』とある。
つまり、解散させられることはまずない。これを中央政府と合意しただけでも、結構すごいことなんだけど、その密約では、政府による危機や懸念の捏造、そして強制措置の兆候をギルドが捉えた時点で、ギルドから暗殺者を送り込んで、政府中枢を皆殺しにしていいことになっている」
「はぁ⁉️」
「そして、これも既存の条文にあるように、中央政府の日常的な政治活動には、国家認定最高ランクギルドは一切関与しないことになっているから、諜報員として召集されることはない。同じく密約では、これをギルドの預かり知らぬ所で行った場合、その管轄組織のトップを暗殺していいことになっている。
さっき言った労働力は、政治活動とは別としてみなされると反論できないから、召集されるってことね。
緊急事態、有事の時も別。これは、ギルド登録者としてよりも、国民として優先されることだから、徴兵を拒否できない」
「ちょっと待った! 前者の条文はともかく、後者の条文はそんな内容じゃなかったはずだ。むしろ正反対で、『国内の全ての冒険者ギルドは、我が国の政府からの要請に従う義務を負う』っていう基本原則的な条文で、一切変更できないみたいな感じだったぞ!」
「一年前まではね。私が変更させた。バクスの実力を確信して、その徴兵がほぼ確実なものになったことと引き換えにね。
『条文をそのままにしていたら、その武力を以て、ギルドを隠れ蓑に何らかの作戦行動をいつでも取ることができ、それをネタに、セントラル側から早期に戦争を仕掛けられては元も子もないから、逆を行くべきだ』って言って。
条文の変更についても公開しないで、興味がある人だけ知ることができるようにした。そうすれば、仮にセントラルのスパイが入り込んでいた場合に、何が国内で起きていて、このような変更をするに至ったか調査するだけの時間を稼げるから」
「中央政府がその条件をよく飲んだなぁ……。もしかして、ラウラが考えた鉱石採取の革新的方法もネタにしたのか? 天才が研究中で、そのぐらいの時期までに結果を出す、そうすれば間違いなく世界の覇権を握れる、とでも言って。
セントラルの崩壊予知も以降の交渉手段の一つに使えるか」
「流石パパ、その通り。その方法自体は、生まれてすぐに思い付いてたけどね」
「あ、もちろん私もね。お姉ちゃんからクイズを出されて即答できたよ」
「うーん、天才恐るべし……。
そうだ……ディーズに言わなければいけないことがあるんだ。今、俺の『徴兵』とか『時期』とかいう言葉が挙がっていたが、その経緯を説明したいと思う」
それから俺は、ディーズにこれまでのこと、これからのことを、俺の考えも含めて、正直に詳しく話した。
「ディーズには、このことを『仲間』以前に、一人の『人間』として考えてほしい。だから、どうするべきかは俺から言えない。加入届と同じように」
「もちろん、私も協力します。洞窟Aに分身体を送り込み、バクスと一緒にセントラルに行きますよ。それに、私という『人間』は、もう『誰よりも前へ』と切っても切り離せないようになっていますから」
「ありがとう、嬉しいよ。そう言えば、ディーズの出身については聞いていなかったな。仮に、セントラルで戦闘があった場合に、故郷が巻き込まれることはないと思っていいか?」
「はい。私の故郷は、セントラル西の『ウェルズ』地方の田舎ですから大丈夫です。バクスの噂を最初に聞いたのは、ウェルズ首都のギルドで、セントラルを経由する時も、その内のギルドの一つで聞きました」
「ディーズが冒険者登録する時も聞いたけど、私が思っているよりも、バクスの存在が広まってるんだよねぇ。その分、隠密行動は難しくなってるよ。名前と顔が一致した時点で、行動が筒抜けになる。ただでさえ、超絶イケメンが超絶美少女達を侍らせているだけで注目を浴びるのに」
「少なくとも女の子達は、パパの宝石に吸収させた方が良いね。この際、その宝石に名前を付けようか。『ゴッズドア』なんてどう? それぞれの区画は『ゴッズスペース』。会話で使うなら、単に『ドア』『スペース』でいいかな。
それぞれ別のスペースに吸収するより、全員まとめて一つのスペースに吸収させた方が良いから、条件付き吸収も合わせて、あとで試してみて。まぁ、間違いなく可能だと思うけどね。
私も一度吸収されてみたいな。そしたら、さらに何か分かるかもしれないし」
「よし。それじゃあ、お祝いパーティーの準備を始める前までに済ませておくか。セントラルへの出発は明後日にしよう。偽『誰よりも前へ』は五日後に洞窟Aに入る。
ディーズ、メンバーが多いが、出発までにメムを除く全員を具体化できそうか?」
「はい。二日あれば何とか。その分、みんなを観察させてください」
「じゃあ、今夜は私達の体の隅から隅まで、見せてあげるね」
「改めて見せるとなると、ちょっと恥ずかしいね。コミュは何も考えてないから、恥ずかしくないだろうけど」
「僕は元の姿にするよ。男の姿で冒険する必要もないし、バクス以外の男の身体を、まじまじと見たくはないと思うし」
「猫には変身できないから仕方がないとして、ディーズに見せるだけなら見せてもいいよね。もしかしたら、あとで役に立つかもしれないし。もちろん、余裕があれば、でいいよ」
「私の尻尾も再現できないってことだよね。服で隠せるから、その必要もないけど」
「まぁ、夜のことはさておき、優先順位を付けた上で、可能な部分は分担しながら、具体化していった方がいいな。どういう行動をすればいいかは、俺とイシスがリスト化するから、ディーズはまず見た目だけ考慮すればいい。
服や装備品も分身体の一部にすれば、別に用意する必要はないよな? ビーズやシーズはそうだったはずだ。物理的には微妙に不自然だったし、アイツらが何か一つでも脱いだところや、私服を着ているところを見たことがなかったから。剣だけは流石に用意したかな」
「はい、その通りです。そこまで見抜いていましたか。流石、私の大好きなバクスです。フレウの尻尾も同じように具体化できるとは思いますが、それに付随する能力までは、短時間では再現できません。まずは言われた通り、優先順位を付けて具体化したいと思います」
「じゃあ、これからはお祝いパーティーを楽しむか」
「パパはお祝いされる側だけど、パパも肉団子作ってみる? 私、負けないよ」
「クウラが肉団子マスターの俺に勝とうなんて十年早いぞ」
「肉体をほぼ自由に操れるようになった今の私に、時間なんて関係ないんだよ。肉親の子ども差別マスターさん」
「ほう……言うじゃないか。じゃあ、二人の完成品を混ぜて、みんなに評価してもらうか。俺が勝ったら、『私、バクスお兄ちゃんのお嫁さんになる! 絶対だからねっ!』って言ってもらおうかな」
「ゼロ歳児に賭けを持ちかけるのも含めて、シンプルにキモいよね。
じゃあ、私が勝ったら、『ラウラ、クウラ、セプト姉妹の腹の子、お前達は俺の実の娘。仮に男の場合は、男の娘。いずれにしても、俺の所有物だ。お前達の初めてを捧げるなんて当たり前。子どもだからと言って、おもちゃも不要。逆にお前達は一生、俺の性処理玩具だ。親はいつまで経っても親なんだからな。まぁ、お前もすぐに親になるかもしれないがな。ガハハハ!』って言ってもらおうかな」
「どういう願望なんだよ……。生後七ヶ月で、もう歪んでるじゃないか……」
「天才だからこそ、雑に扱われたいのかもしれませんね。私は天才ではありませんが、その気持ちは分かります。私も、『オラッ! 俺の子を孕むんだよっ!』と言われてみたいです。あの夜、限りなく近いことは言われましたが」
「いや、言ってないよな? 捏造だよな?」
「私も前に言われたよ。『コミュの身体は肉付きが良いな。なのに、なんでこんなに腹回りが引き締まってるんだよ。俺が大きくしてやろうか』って」
「いや、それは絶対に言ってないだろ!」
「そう言えば私も、『子どもができる仕組みを生物学的に分析できないのか? お前の腹で試せば分かるんじゃないか? これから毎日試してやる』って言われたなー」
「僕は『男同士では子どもができない? 俺とお前の底知れぬ愛を以てすれば可能だろ。仮にできなかったとしても、俺のムスコから出る大量の子どもをお前の腹の中に注ぎ込んでやる! 想像妊娠しろ!』って真面目な顔で言われた。そのあと、『だが、お前のムスコは俺の息子でもあるから、勝手な行動はさせるなよ。俺が全部管理するんだからな。約束を破ったら、罰としてあの時以上に、一生立てなくなるぐらいに搾ってやるぞ』って」
「…………」
「みゃーみゃーみゃーみゃー。みゃーみゃーみゃーみゃー」
「『人間とモンスターとの間に子どもなんてできるわけがないから、お前達は一生、俺の肉便器だ。仮に子どもができたとしても、人間じゃないし、人権もないから、やっぱり肉便器にしてやる。息子も娘もお前達も犯し尽くして、俺がお前達にとってのモンスターになってやる』って私達も……。
私は追加で、『人間の姿で蛇の卵を産めないか? あるいは、それを可能とする薬。そしたら、大量出産の産卵プレイができるじゃないか。成長も早そうだから、毎日が選び放題でヤリ放題だ。もちろん、お前は出産奴隷兼性奴隷だ』って……」
「バクス……。私やセプト姉妹を孕ませただけでは飽き足らず、そして口では子どもはまだいらないと言いつつ、そんな願望があったなんて……。
確かに、私も『ママを本当のママにしてやるよ! オラァ!』『今度は二児のママにしてやるよ! ダブルAランクだけにな! オラァァ!』って言われて、妊娠したけど……。
ラウラとクウラのことが大好きになったから、色々な女の子との子どもを今すぐにでも欲しくなったんだね。
三人目はまだ早いかなって思ってたけど、なんだったら、出発までに子作りしようか?
そして、これから毎年出産できるように計画を立てよう。フレウのスキルと薬があるから、出産リスクもゼロになるだろうし。神様の恩恵があれば、長命超大家族になるよ。
あ、待って! 神様が……お忍びで街を歩いていた時に、バクスからナンパされて、『私は神の使いですから』と誘いを断ったら、『俺は神に愛されている男だ。だから実質、俺が神の化身だ。孕め、神の子を!』って言われて、初めてなのにめちゃくちゃ乱暴にされた。でも最後は、『俺達で世界を創っていこう。最高の愛の世界を、俺達の愛で』って言われたから、何となく許した。その時は、もう気持ち良かったし……って」
「もしかして、あの時の美人シスターが……って、完全に捏造だろ! 『私と一つになることで、神への感謝と愛を示すことができます。断れば天罰が下ります。さぁ、高みを目指しましょう! 快楽のトリプルAランクを! さぁさぁ!』とか終始煽ってただろ! 神様まで捏造するのかよ!
いいから早く準備を始めろ! オラァァァァァァァァ!」
結局、それから二十分後に各検証を始めて、そのさらに二十分後にお祝いパーティーの『準備』が始まった。検証はすぐに終わったのにもかかわらず……。
これが俺の日常なんだよなぁ……。疲れるのも仕方がないよな……。
いつもの通り、ママとラウラ達にも参加してもらっている。
「私のスキルの本質は、『具体化』でした。具体的な指示を分身前にしておくことで、遠隔でも分身体が自律的に動けるようになりました。また、分身前の想像力と、それにかける時間が大事で、条件さえ整えば、何体でも増やすことができます。
分身後でも、分身体に触れていれば、即座に再度具体化できます。
それまで抽象的すぎたんです。そして、分身体を一度作ったら、それを変えないように、同じ時間で同じ手順を踏んでいたので、いつまで経っても声まで具体化できなかったというわけです。それで何とかなっていたので、そこにはあまり興味がなかったのかもしれません。
あくまで分身がベースなので、人間以外には変身できません。
私がこの街に戻ってきて、そのまま離れようとしたのは、スキルアップしても、結局、指定重要機密スキルレベルではないんじゃないかという疑念と自信のなさが理由だったんです」
「なるほどな。一応、リストには『大量の労働力を提供できる』があるから、一番該当するとしたらこれだが、それこそ抽象的だし基準が分からないから、何とも言えないな……」
すると、ママが眉をひそめながら、待ったをかけるようなジェスチャーをした。
「いや、この場合は、それで申請しない方が良い。指定重要機密スキルリストには、申請すると不幸になるスキルも多く含まれてるんだよ。仮に、そのレベルに達していなくても、必ず召集されるだろうね。
コミュ達についても、そうならないように私が微妙に過小評価して、指定重要機密スキル保持者認定届を中央政府に提出したんだよ」
「そのまま申請しちゃうと、ほとんど国の奴隷になっちゃうってことだよね」
「一般公務員と何が違うかと言うと、寝る暇もないぐらい忙しい、国家支出という代わりがあるから使い潰される、やりがいがあるかどうかは場合によるけど、いずれにしても、肉体と精神の両方が病みそう」
ママ、ラウラ、クウラの警告を聞いて、俺は絶対にディーズをそんな境遇にさせないと決意した。
「ありがとう。じゃあ、申請なしで済ませるか。簡単に誤魔化せるし」
「いや、指定重要機密スキル保持者の登録者数が多ければ多いほど、政府に対する『マリレイヴズ』の発言権が増す。ここは、『離れた土地で一切のリスクなく活動できる』で認定しよう」
「でも、それだと諜報員として使われることになるんじゃないか? それに、発言権が増したら、危険分子扱いされて、解散させられる恐れもある」
「そこは、中央政府との法律化されていない密約があるんだよ。まず、解散の方だけど、既存の条文には、『我が国の政府は、国家認定最高ランクギルドに対して、当該ギルドが国家に重大な危機または懸念を生じさせる場合を除き、いかなる強制措置も行わない。逆に、国家認定最高ランクギルドは、我が国に対して、同様の場合を除き、極めて真摯に当該ギルドを運営する義務を負う』とある。
つまり、解散させられることはまずない。これを中央政府と合意しただけでも、結構すごいことなんだけど、その密約では、政府による危機や懸念の捏造、そして強制措置の兆候をギルドが捉えた時点で、ギルドから暗殺者を送り込んで、政府中枢を皆殺しにしていいことになっている」
「はぁ⁉️」
「そして、これも既存の条文にあるように、中央政府の日常的な政治活動には、国家認定最高ランクギルドは一切関与しないことになっているから、諜報員として召集されることはない。同じく密約では、これをギルドの預かり知らぬ所で行った場合、その管轄組織のトップを暗殺していいことになっている。
さっき言った労働力は、政治活動とは別としてみなされると反論できないから、召集されるってことね。
緊急事態、有事の時も別。これは、ギルド登録者としてよりも、国民として優先されることだから、徴兵を拒否できない」
「ちょっと待った! 前者の条文はともかく、後者の条文はそんな内容じゃなかったはずだ。むしろ正反対で、『国内の全ての冒険者ギルドは、我が国の政府からの要請に従う義務を負う』っていう基本原則的な条文で、一切変更できないみたいな感じだったぞ!」
「一年前まではね。私が変更させた。バクスの実力を確信して、その徴兵がほぼ確実なものになったことと引き換えにね。
『条文をそのままにしていたら、その武力を以て、ギルドを隠れ蓑に何らかの作戦行動をいつでも取ることができ、それをネタに、セントラル側から早期に戦争を仕掛けられては元も子もないから、逆を行くべきだ』って言って。
条文の変更についても公開しないで、興味がある人だけ知ることができるようにした。そうすれば、仮にセントラルのスパイが入り込んでいた場合に、何が国内で起きていて、このような変更をするに至ったか調査するだけの時間を稼げるから」
「中央政府がその条件をよく飲んだなぁ……。もしかして、ラウラが考えた鉱石採取の革新的方法もネタにしたのか? 天才が研究中で、そのぐらいの時期までに結果を出す、そうすれば間違いなく世界の覇権を握れる、とでも言って。
セントラルの崩壊予知も以降の交渉手段の一つに使えるか」
「流石パパ、その通り。その方法自体は、生まれてすぐに思い付いてたけどね」
「あ、もちろん私もね。お姉ちゃんからクイズを出されて即答できたよ」
「うーん、天才恐るべし……。
そうだ……ディーズに言わなければいけないことがあるんだ。今、俺の『徴兵』とか『時期』とかいう言葉が挙がっていたが、その経緯を説明したいと思う」
それから俺は、ディーズにこれまでのこと、これからのことを、俺の考えも含めて、正直に詳しく話した。
「ディーズには、このことを『仲間』以前に、一人の『人間』として考えてほしい。だから、どうするべきかは俺から言えない。加入届と同じように」
「もちろん、私も協力します。洞窟Aに分身体を送り込み、バクスと一緒にセントラルに行きますよ。それに、私という『人間』は、もう『誰よりも前へ』と切っても切り離せないようになっていますから」
「ありがとう、嬉しいよ。そう言えば、ディーズの出身については聞いていなかったな。仮に、セントラルで戦闘があった場合に、故郷が巻き込まれることはないと思っていいか?」
「はい。私の故郷は、セントラル西の『ウェルズ』地方の田舎ですから大丈夫です。バクスの噂を最初に聞いたのは、ウェルズ首都のギルドで、セントラルを経由する時も、その内のギルドの一つで聞きました」
「ディーズが冒険者登録する時も聞いたけど、私が思っているよりも、バクスの存在が広まってるんだよねぇ。その分、隠密行動は難しくなってるよ。名前と顔が一致した時点で、行動が筒抜けになる。ただでさえ、超絶イケメンが超絶美少女達を侍らせているだけで注目を浴びるのに」
「少なくとも女の子達は、パパの宝石に吸収させた方が良いね。この際、その宝石に名前を付けようか。『ゴッズドア』なんてどう? それぞれの区画は『ゴッズスペース』。会話で使うなら、単に『ドア』『スペース』でいいかな。
それぞれ別のスペースに吸収するより、全員まとめて一つのスペースに吸収させた方が良いから、条件付き吸収も合わせて、あとで試してみて。まぁ、間違いなく可能だと思うけどね。
私も一度吸収されてみたいな。そしたら、さらに何か分かるかもしれないし」
「よし。それじゃあ、お祝いパーティーの準備を始める前までに済ませておくか。セントラルへの出発は明後日にしよう。偽『誰よりも前へ』は五日後に洞窟Aに入る。
ディーズ、メンバーが多いが、出発までにメムを除く全員を具体化できそうか?」
「はい。二日あれば何とか。その分、みんなを観察させてください」
「じゃあ、今夜は私達の体の隅から隅まで、見せてあげるね」
「改めて見せるとなると、ちょっと恥ずかしいね。コミュは何も考えてないから、恥ずかしくないだろうけど」
「僕は元の姿にするよ。男の姿で冒険する必要もないし、バクス以外の男の身体を、まじまじと見たくはないと思うし」
「猫には変身できないから仕方がないとして、ディーズに見せるだけなら見せてもいいよね。もしかしたら、あとで役に立つかもしれないし。もちろん、余裕があれば、でいいよ」
「私の尻尾も再現できないってことだよね。服で隠せるから、その必要もないけど」
「まぁ、夜のことはさておき、優先順位を付けた上で、可能な部分は分担しながら、具体化していった方がいいな。どういう行動をすればいいかは、俺とイシスがリスト化するから、ディーズはまず見た目だけ考慮すればいい。
服や装備品も分身体の一部にすれば、別に用意する必要はないよな? ビーズやシーズはそうだったはずだ。物理的には微妙に不自然だったし、アイツらが何か一つでも脱いだところや、私服を着ているところを見たことがなかったから。剣だけは流石に用意したかな」
「はい、その通りです。そこまで見抜いていましたか。流石、私の大好きなバクスです。フレウの尻尾も同じように具体化できるとは思いますが、それに付随する能力までは、短時間では再現できません。まずは言われた通り、優先順位を付けて具体化したいと思います」
「じゃあ、これからはお祝いパーティーを楽しむか」
「パパはお祝いされる側だけど、パパも肉団子作ってみる? 私、負けないよ」
「クウラが肉団子マスターの俺に勝とうなんて十年早いぞ」
「肉体をほぼ自由に操れるようになった今の私に、時間なんて関係ないんだよ。肉親の子ども差別マスターさん」
「ほう……言うじゃないか。じゃあ、二人の完成品を混ぜて、みんなに評価してもらうか。俺が勝ったら、『私、バクスお兄ちゃんのお嫁さんになる! 絶対だからねっ!』って言ってもらおうかな」
「ゼロ歳児に賭けを持ちかけるのも含めて、シンプルにキモいよね。
じゃあ、私が勝ったら、『ラウラ、クウラ、セプト姉妹の腹の子、お前達は俺の実の娘。仮に男の場合は、男の娘。いずれにしても、俺の所有物だ。お前達の初めてを捧げるなんて当たり前。子どもだからと言って、おもちゃも不要。逆にお前達は一生、俺の性処理玩具だ。親はいつまで経っても親なんだからな。まぁ、お前もすぐに親になるかもしれないがな。ガハハハ!』って言ってもらおうかな」
「どういう願望なんだよ……。生後七ヶ月で、もう歪んでるじゃないか……」
「天才だからこそ、雑に扱われたいのかもしれませんね。私は天才ではありませんが、その気持ちは分かります。私も、『オラッ! 俺の子を孕むんだよっ!』と言われてみたいです。あの夜、限りなく近いことは言われましたが」
「いや、言ってないよな? 捏造だよな?」
「私も前に言われたよ。『コミュの身体は肉付きが良いな。なのに、なんでこんなに腹回りが引き締まってるんだよ。俺が大きくしてやろうか』って」
「いや、それは絶対に言ってないだろ!」
「そう言えば私も、『子どもができる仕組みを生物学的に分析できないのか? お前の腹で試せば分かるんじゃないか? これから毎日試してやる』って言われたなー」
「僕は『男同士では子どもができない? 俺とお前の底知れぬ愛を以てすれば可能だろ。仮にできなかったとしても、俺のムスコから出る大量の子どもをお前の腹の中に注ぎ込んでやる! 想像妊娠しろ!』って真面目な顔で言われた。そのあと、『だが、お前のムスコは俺の息子でもあるから、勝手な行動はさせるなよ。俺が全部管理するんだからな。約束を破ったら、罰としてあの時以上に、一生立てなくなるぐらいに搾ってやるぞ』って」
「…………」
「みゃーみゃーみゃーみゃー。みゃーみゃーみゃーみゃー」
「『人間とモンスターとの間に子どもなんてできるわけがないから、お前達は一生、俺の肉便器だ。仮に子どもができたとしても、人間じゃないし、人権もないから、やっぱり肉便器にしてやる。息子も娘もお前達も犯し尽くして、俺がお前達にとってのモンスターになってやる』って私達も……。
私は追加で、『人間の姿で蛇の卵を産めないか? あるいは、それを可能とする薬。そしたら、大量出産の産卵プレイができるじゃないか。成長も早そうだから、毎日が選び放題でヤリ放題だ。もちろん、お前は出産奴隷兼性奴隷だ』って……」
「バクス……。私やセプト姉妹を孕ませただけでは飽き足らず、そして口では子どもはまだいらないと言いつつ、そんな願望があったなんて……。
確かに、私も『ママを本当のママにしてやるよ! オラァ!』『今度は二児のママにしてやるよ! ダブルAランクだけにな! オラァァ!』って言われて、妊娠したけど……。
ラウラとクウラのことが大好きになったから、色々な女の子との子どもを今すぐにでも欲しくなったんだね。
三人目はまだ早いかなって思ってたけど、なんだったら、出発までに子作りしようか?
そして、これから毎年出産できるように計画を立てよう。フレウのスキルと薬があるから、出産リスクもゼロになるだろうし。神様の恩恵があれば、長命超大家族になるよ。
あ、待って! 神様が……お忍びで街を歩いていた時に、バクスからナンパされて、『私は神の使いですから』と誘いを断ったら、『俺は神に愛されている男だ。だから実質、俺が神の化身だ。孕め、神の子を!』って言われて、初めてなのにめちゃくちゃ乱暴にされた。でも最後は、『俺達で世界を創っていこう。最高の愛の世界を、俺達の愛で』って言われたから、何となく許した。その時は、もう気持ち良かったし……って」
「もしかして、あの時の美人シスターが……って、完全に捏造だろ! 『私と一つになることで、神への感謝と愛を示すことができます。断れば天罰が下ります。さぁ、高みを目指しましょう! 快楽のトリプルAランクを! さぁさぁ!』とか終始煽ってただろ! 神様まで捏造するのかよ!
いいから早く準備を始めろ! オラァァァァァァァァ!」
結局、それから二十分後に各検証を始めて、そのさらに二十分後にお祝いパーティーの『準備』が始まった。検証はすぐに終わったのにもかかわらず……。
これが俺の日常なんだよなぁ……。疲れるのも仕方がないよな……。
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防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
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