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35話
しおりを挟む[うめ]
「警察がロビー前にいっぱい来てる! 大丈夫かい みんな?」
「大丈夫よ! 捕まらないでね。 マッチョ」
それからマッチョの返事は無かった。
「あんたは誰なのね?」
「僕? 誰だろね。」と笑いながら私から8メートル離れた状態で向かい合った。
すると急にナイフが何本か飛んできた。
「うっそ! 」しゃがんで避ける。 飛んでくるナイフを1本サッと掴み、相手に投げ返した。
だが刀で弾かれた。
「うっそ! ダメかよ。」
すると急に無線機から「ねぇ! 無線機じゃなくてグループ通話でいっぱい話して!」となぎが話した。
「なんでだよ、こんな時に」めんどくさそうにテニス野郎が答えた。
「いいから!」
そう言われ、サッとスマホを取り出しグループ通話のボタンを押した。
「あ、そうだ! 敵の見た目ってどんな感じ?」
「おれは、スーツ着た中年って感じのおっさん。 特に武器持ってなくて、めっちゃ武闘派。」
(めんどくさがる癖に、乗り気じゃんね。)と少し心の中で呆れた。
「私はスーツは着てるけど、忍者みたいな武器持ってるね! なぎは?」
「あっぶな! ギリギリ避けれた! うるさい! 懐かしいでしょ! みんなの声!」
「よっしゃ! ラケットで相手の頭思いっきり当てたったわ! てかお前何言ってんの?」
(彼女? 懐かしいでしょ? 何言ってんのなぎ!)
すると目の前にいた男が刀を持って、低姿勢で向かってきた。
「久しぶりにみんなの声聞けて懐かしいでしょ? 何も思わないの?」
「思うわけないでしょ。」となぎの声。
私は咄嗟に真後ろの机に置いていたコーヒーメーカーを掴む。
そして相手が至近距離で刀を振ろうとした瞬間に、コーヒーメーカーを腕に力を入れて上から下に凄い勢いで振り下ろした。
「ガギンッ!」と刀が硬いものに当たり、折れた音がした。
「嘘だろ。」刀を折られ驚愕の顔をしていた。
「あんたに、時間取ってる余裕ないのね。」と右手に持っていたナイフで目の前の首をシャッと斬った。
斬られた傷口から血がブシャーと飛び出す。
「ふぅー! かっこいい!」とテニスがおちょくってきた。
「うるさいね! でも私は首斬って倒したわ。 テニス野郎はどうなのね?」
「おりゃあ!」バギッ……とテニスラケットがぶっ壊れる音が聞こえた。
「凄い音がしたけど、どうしたの?」
「思いっきり相手の頭にラケットをぶつけたんだよ。 てかラケット壊れやがった。 クソが!」
「なぎはどうなのね?」
「みんなのおかげでなんとか! あっぶな!」
「どうしたの! さっきから誰かと話してるみたいやけど!」
「いいから! 終わったらマッチョを助けてあげてよ! さっきからマッチョの声が聞こえないのよ!」
「りょうかーい。」
「分かった! 気をつけてね!」
「あんたには関係ないでしょ! またみんなと話したいなら今すぐこんなの辞めて!」
懐かしい声がわずかだが電話越しに聞こえてきた。
「さっきから誰と喋ってんの?」
「後で話す! これ切っていいよ。」
そう言われ、私は電話を切った。
(不安だけど信じるしかないね。 でもなんか聞いた事ある声。)
殺した死体を背後に、マッチョを助けに行こうとエレベーターに乗った。
[なぎ]
「なに、呑気にみんなと電話なんかしてたの?」
「懐かしいでしょ! あなたが鍛えた人らだよ? こんなことせずに私たちを手伝ってよ!」
「言ったでしょ。私にとってあの社長が恩人なの」
「そう思わせられてるだけだよ!」
「うるさいわね。」ギラッとした目つきで私を見て凄いスピードで襲ってきた。
これも避けれた! 次第にスピードに慣れてきていた。
(よし! ちょっとずつ慣れてきたけどやり返す余裕がない! でも早くなんとかしないと。)
そして彼女が8メートル離れた所で止まり、振り返るとまた物凄いスピードで襲ってきた。
これも横にギリギリ避けた。 だが横をサッと通り過ぎた瞬間、背中の服を捕まれそのまま後ろに凄い勢いで引っ張られ、思いっきり地面に叩き付けられた。
倒れないように抵抗したが、抵抗出来ずにそのまま尻から地面に叩きつけられた。
「いった! 無理だよこんなの。 倒せない。」
「なに弱気になってんのよね? なぎにしては珍しいじゃんね!」
「相手が相手なのよ。」
うめが相手の顔を見て、驚いた顔をした。
「嘘でしょ、何でここにいるの?」
「あら? あなたも来たのね。 久しぶり。」
彼女がうめに向かってにこやかに微笑みながら、手を振った。
「2人でかかっておいで。 昔みたいに相手してあげる」
(続く)
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