どうして僕が狙われるんだろう

mell0812

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34話 やってみないと分からない

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「任せたよ! 」

ブチギレてすごい勢いで敵に向かった2人にみさきは言ったが、返事がなかった。

みさきたちは、遠距離部隊から5.6人を残し先に向かった。



「おいおい、行かせるかよ」敵の1人がみさきらに向かって飛び出そうとする。

「おまえの相手は俺やぞ?」

友樹は男の肩を掴み、容赦なく相手の顔目掛けて殴った。

「ドガッ」といい音が鳴った。

「いいじゃんお前! ちょっと見直したわ!」と殴られてもなんともない感じだった。 むしろ笑顔だった。

すると右から顔目掛けて左手が飛んできた。

ギリギリしゃがんで避けたが、腹にものすごい衝撃が来た。「グハッ……」

すると、横腹にも同じようなトンカチのような硬い物で殴られた衝撃が来た。

「おいおい、おれの相棒をよく殴ってくれたな」と横で戦っていた男が言った。



 「そのセリフそのまま返すぜ!」と哲が目の前にいる敵の顔目掛けて、バットをフルスイングする。

 だがそれを簡単に片手で掴まれた。

「こんな物騒なもの人に向かって振ったら危ないだろ?」

「うるせえ。」

「お前はもう一人の奴と比べて大した事ないね。もう1人の方が良かったよ。 あとお前もうちょっと人生経験した方がいいよ。 お前しょぼい。」

「え、」

その時の哲は初めて他人から人を比べられ、しかも下に見られたせいで一気に自身を失くした。

「あれ、こんなんで自身失くしたの? やっぱり不良は大したことないね。」

「どけ!」友樹が先輩らといる時には見せない感情を見せ、目の前にいた男を腕、胸ぐらを片手ずつ掴み背負い投げする。 

そのまま大事な友達をバカにした奴に駆け寄り、横から横腹を殴った。

「おれの大事な友達をバカにすんなよ! 特攻服着たお前はどうなんだよ!」

哲は自信を失くしたのか、下を向いてぼーっと立っていた。



 手に手ごたえが来た。 「ングッ......いってえな!」右からメリケンサックを付けた右手が飛んできた。

だが友樹はそれを掴み、相手の頭に向かって頭突きをした。



ドゴッと硬い物同士がぶつかる重い音が響いた。

頭が割れるぐらいの痛みが来たが、アドレナリンでなんとか耐えれた。

頭痛を受けた男は、横によろけ左手を頭に触った。

「何してくれとんねん! 坊主なんやぞ!」とブチ切れた。



突然、「お前の相手はおれや! 人の喧嘩にちょっかいかけんな」

と背後から聞こえおれのリーゼントを掴んだ。

そして抵抗することも出来ず後ろに引っ張られ、そのまま足を引っ掛けられ後ろに倒れた。



 倒れている俺の前に立ち「これだけやと緊張感が出ねえな。」男はメリケンサックを付けたまま、腰に付けていたナイフを2本取り出した。



「やべえ、 おい! 哲! 目え覚めろ!」

すると背後から叫びながら誰かぎ俺を通り越した。

後ろにいた遠距離部隊1人が男に向かって飛び蹴りした。

すると一人が友樹に話しかけてくる。

「これ使え! メガネが作った武器だ」

「あざっす! 勇也さん!」

「後輩にばっか活躍されちゃ困る」

剣みたいな形したものを渡してきた。

友樹が先っぽを触ろうとすると、「やめとけ、先っぽは触るなって」

「どうなるんすか?」

「わかんねぇ、なんか火傷するらしい」

友樹は聞いても理解できなかった。

「よっしゃ、行くぞ!」



 一方哲の方は友樹が目の前で戦っていたり、友樹からの問いかけにも反応せずひたすら地面を見続けていた。

哲は普段から否定されたり、比較されてこなかったため耐性が無かった。 いわばメンタルが弱かった。

しかもこういう緊張感ある所でイカつい奴に言われると、余計に耐えることが出来なかった。



 奴は頭突きから立ち直り、ナイフを両手に持ち哲に近づく。 そして右大振りで刺そうとしたその時だった。

すると哲の目の前にいる敵がよろけた。



 原因は遠距離部隊の2人である。

もう一人は哲に武器を渡そうとし「おい哲! 目え覚ませ! みんなでやらねえとあいつは倒せねえよ!」

反応は無かった。

「おい! 置いとくぞ! 正気に戻ったらみんなを助けろ!」

と言い、加勢に向かった。



 武器を置いた雄二は、仲間二人が戦っている敵の背後に回り、腕で相手の首を力強く絞めた。

「ング......次から次へと来やがって。 鬱陶しいな!」

敵は首を絞めている雄二を背後で掴み、力ずくで持ち上げ前に投げた。

真正面で戦っていた2人は、上から凄い勢いで振り下ろされる雄二をギリギリで横に避けた。

「なんちゅう力だよ!」

雄二がコンクリートの地面に叩きつけられた瞬間「ドンッ!」とすごい音が響いた。

叩きつけられた雄二気絶してしばらくは動かなかった。



「よくも雄二さんを!」

「やるぞ! 竜也!」

「おけ! 龍斗!」

この2人はまだ高校1年生で、悠里の噂を聞き憧れてこの悠里の仲間に入った。

だからこの2人にしては、この敵は荷が重かった。 

しかも哲はこの2人よりも強く、1年の中で一番強かった。 メンタル以外は。 

だがこの2人は持久力とコンビネーションは誰にも負けなかった。



 2人の長年のコンビネーションを活かして、正義から貰った電気警棒を使いながら、息もつかせずにひたすら攻めた。

だが2人のコンビネーションをもってしても全然当たってる感じがしなかった。 しかもお互いナイフを相当食らっている。



5分以上休まずに攻めていると男は「ハアハア」と息切れが始まった。

「おい! 息切れし始めてるぞ!」

「このまま行くぞ!」

「クッソ!こいつら全然スピードが落ちねえじゃん!」

次第に男のスピードが落ち、隙が出てきた。

そして男の体に攻撃が入っているのが、手から全身に手応えが感じ始めてきた。

「いけるぞ!」

「クッソ、舐めやがって、ガキが!」

すると男がこの状況から逃げるために、突然後ろにステップして下がった。

だがこれが2人にとって極め付けだった。

「俺に任せろ!」

男が後ろに下がる瞬間、龍斗は足にグッと力を入れ、力強く地面を蹴った。 勢いよく男の腹に右足で思いっきり前蹴りをした。



 蹴りがもろ入った時のあの手応えが足から伝わってきた。

そして腹に直接食らった男は、衝撃と痛みで目をひん剥き、バランスを崩し後ろに倒れた。



「まだだぜ!」

後ろに吹き飛んだ男に対して、先回りしていた竜也が倒れた男の顔に向かって、ボールを蹴るのと同じフォームで勢いよく蹴り上げた。

 

 足の甲が男の横っ面に「ボゴッ」と気持ちよく入る。

男は泡を吹きだしながら気を失っていた。



 「サッカーをなめんな!」と男に吐き捨てた。

「よっしゃ! やったぞ! 達也!」

「そうだな。 小学校からサッカーやってたのがここで活かしたわ。」

龍斗と達也は二人とも小学3年から一緒のクラブチームで、体力を特に使うポジションのボランチを一緒にやっていた。



 すると「お前らやり過ぎやぞ。 死んでまうぞ」と友樹。

二人が声のする方へ振り返ると、特攻服を着た男が倒れていた。

その周りに勇也と友樹がボロボロになりながら立っていた。

「そっちも勝ったんすか?」

「見たら分かるだろ。逆にお前ら時間掛けすぎや。」と勇也。

「でも勇也さんがいなかったら、おれ死んでました。 さすが悠里さんと同じ3年生すよ」

「言い過ぎや友樹」



 だがみんなアドレナリンで限界を超えていたのか、気が抜けみんなバタッと倒れた。



すると血だらけの剛士を担いだみさきがドアを開け入ってきた。

「嘘でしょ。 みんな倒れちゃった。」

そこにはボーッと自信を失くした哲以外はみんな倒れていた。



(続く)
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