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転生の章 幼児篇
第8話 期待の子
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次の日、ブタン将軍率いるオーク族が砦にやってきた。コボルド族の二倍の数。ブタン将軍はでっぷりと肥えた体を輿にのせ、8人のオーク兵に担がせていた。
ブタン将軍は砦に入り、ずかずかと司令室の席に座ると責任者のゴールド隊長とシルバー隊長を呼んでこう言った。
「砦はワシらが守る。そちたちは砦を出て野営せい。」
と。体よく追い払われたのだ。そしてことあれば真っ先に前線にでて戦わなくてはならないだろう。
ゴールド隊長とシルバー隊長はこれからのコボルド族の行く末を思い悲しんだ。
コボルド族は全員砦を引き払い砦から1キロメートル地点にある粗末な林の中に集落を作った。そこがブタン将軍にあてがわれた土地。しかし野営はお手の物だ。すぐさまテントを張り、中央にみなで食事を取れる大きなテーブルを作った。傷病兵は革製品や畑を早速作りとにかくこの土地に馴染もうと努力した。
続いてブラウン将軍無き今、新たなるリーダーを選ばなくてはならない。みんなブラウン将軍の一粒種であるチャブチに目を向けた。だが無理だ。幼すぎる。結果、年長で功績高いシルバー隊長を族長にすることとした。
シルバー隊長は早速、主な戦士たちを集めた。
「これから我々は不遇な時を過ごすことになるだろう。しかしブラウン閣下が将軍になる前は山野の獣と同等の生活だった。それに比べればまだましだ。戦功をあげればまた一族から将軍がでることだろう。その日を待つんだ」
「おう……。でもどうやって……」
シルバー隊長は尚も続けた。
「我々はブラウン将軍と言う一族の宝を失った。しかし、もう一つの宝は失っていない」
みんな、顔を見合わせてコクリとうなずいた。
「チャブチを戦士として育て将軍とする! それまでこのシルバーが仮の族長をつとめる!」
みな、感激して大きくうなずいた。
そして叔父のゴールドがボクの後見人、教育係となり軍事、軍略、剣術に学問。そしてコボルド族のしきたり、一族のルールを教えることになった。
それから、ブタン将軍がどこかを攻める際はコボルド族がゴブリン族とともに前線に立たされた。
父ブラウン将軍がいたときはこんな戦の仕方ではなかった。やみくもに兵を失うような戦い方では。
そして戦が終了するとコボルド族の女を酌婦として供出することを強要された。酒を注いで回り、その後は兵士の慰み者となる。
ブラウン将軍が築き上げた文化レベルの高いコボルド族にとっては屈辱的で死に勝る苦しみだったがどうすることも出来なかった。女たちは薬を飲んで憐れな混血児が産まれないようにしたが、それによってコボルド族の出生率も減ってしまった。
しかし、女たちがいくらかの金品をもらってくるのでそれによって子どもたちに服や菓子を買ってやるのだった。コボルドの頭目であるシルバーとゴールドは自分の妻に涙を流して酌婦の屈辱を飲んでくれと頼んだ。他の戦士の妻に同じような屈辱を味合わせたくなかったのだ。彼女たちはその役を甘んじて受けた。烈士の妻もまた烈女であった。
ボク、チャブチは傷が癒えると厳しく育てられた。コボルド族の期待の星だ。
基礎体力、剣術、武術、日が暮れるまでじっくりとだ。
叔父のゴールド隊長が出征していないとき、族長であるシルバー隊長が空を指差した。そこには小鳥の群れが飛んでいた。
「チャブチ。何羽いるか分かるか?」
シルバー隊長は数すら満足にいえないで有ろうチャブチには当然答えられないだろうと思ったのだ。
「うん。80羽くらい」
シルバー隊長はその回答に驚き尋ねた。
「どうしてわかった?」
「うん、10羽くらいを一括りに数えてそれが8つくらいあるから」
シルバー隊長は、嬉しそうにボク、チャブチの肩をグイッと掴んで引き寄せた。
「すごい! それでいいんだ。それが出来れば、敵の部隊がどのくらいいるか分かるぞ!」
シルバー隊長の興奮をしり目にボクは心の中で思っていた。
そりゃそーだよ。
チャブチの中身は中三だもん。いくら落ちこぼれと言えどもこれくらいなら……。
ブタン将軍は砦に入り、ずかずかと司令室の席に座ると責任者のゴールド隊長とシルバー隊長を呼んでこう言った。
「砦はワシらが守る。そちたちは砦を出て野営せい。」
と。体よく追い払われたのだ。そしてことあれば真っ先に前線にでて戦わなくてはならないだろう。
ゴールド隊長とシルバー隊長はこれからのコボルド族の行く末を思い悲しんだ。
コボルド族は全員砦を引き払い砦から1キロメートル地点にある粗末な林の中に集落を作った。そこがブタン将軍にあてがわれた土地。しかし野営はお手の物だ。すぐさまテントを張り、中央にみなで食事を取れる大きなテーブルを作った。傷病兵は革製品や畑を早速作りとにかくこの土地に馴染もうと努力した。
続いてブラウン将軍無き今、新たなるリーダーを選ばなくてはならない。みんなブラウン将軍の一粒種であるチャブチに目を向けた。だが無理だ。幼すぎる。結果、年長で功績高いシルバー隊長を族長にすることとした。
シルバー隊長は早速、主な戦士たちを集めた。
「これから我々は不遇な時を過ごすことになるだろう。しかしブラウン閣下が将軍になる前は山野の獣と同等の生活だった。それに比べればまだましだ。戦功をあげればまた一族から将軍がでることだろう。その日を待つんだ」
「おう……。でもどうやって……」
シルバー隊長は尚も続けた。
「我々はブラウン将軍と言う一族の宝を失った。しかし、もう一つの宝は失っていない」
みんな、顔を見合わせてコクリとうなずいた。
「チャブチを戦士として育て将軍とする! それまでこのシルバーが仮の族長をつとめる!」
みな、感激して大きくうなずいた。
そして叔父のゴールドがボクの後見人、教育係となり軍事、軍略、剣術に学問。そしてコボルド族のしきたり、一族のルールを教えることになった。
それから、ブタン将軍がどこかを攻める際はコボルド族がゴブリン族とともに前線に立たされた。
父ブラウン将軍がいたときはこんな戦の仕方ではなかった。やみくもに兵を失うような戦い方では。
そして戦が終了するとコボルド族の女を酌婦として供出することを強要された。酒を注いで回り、その後は兵士の慰み者となる。
ブラウン将軍が築き上げた文化レベルの高いコボルド族にとっては屈辱的で死に勝る苦しみだったがどうすることも出来なかった。女たちは薬を飲んで憐れな混血児が産まれないようにしたが、それによってコボルド族の出生率も減ってしまった。
しかし、女たちがいくらかの金品をもらってくるのでそれによって子どもたちに服や菓子を買ってやるのだった。コボルドの頭目であるシルバーとゴールドは自分の妻に涙を流して酌婦の屈辱を飲んでくれと頼んだ。他の戦士の妻に同じような屈辱を味合わせたくなかったのだ。彼女たちはその役を甘んじて受けた。烈士の妻もまた烈女であった。
ボク、チャブチは傷が癒えると厳しく育てられた。コボルド族の期待の星だ。
基礎体力、剣術、武術、日が暮れるまでじっくりとだ。
叔父のゴールド隊長が出征していないとき、族長であるシルバー隊長が空を指差した。そこには小鳥の群れが飛んでいた。
「チャブチ。何羽いるか分かるか?」
シルバー隊長は数すら満足にいえないで有ろうチャブチには当然答えられないだろうと思ったのだ。
「うん。80羽くらい」
シルバー隊長はその回答に驚き尋ねた。
「どうしてわかった?」
「うん、10羽くらいを一括りに数えてそれが8つくらいあるから」
シルバー隊長は、嬉しそうにボク、チャブチの肩をグイッと掴んで引き寄せた。
「すごい! それでいいんだ。それが出来れば、敵の部隊がどのくらいいるか分かるぞ!」
シルバー隊長の興奮をしり目にボクは心の中で思っていた。
そりゃそーだよ。
チャブチの中身は中三だもん。いくら落ちこぼれと言えどもこれくらいなら……。
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