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第11話 見つかった!
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私たちは国境の道程を進む。
雪山を下り、川沿いに国へと向かって進む。
安定した道ではない。ごろごろと岩が転がっているような悪路。
休憩を入れながら少しずつ少しずつ進む。
「姫?」
「ハァハァ。どうしたのラース」
「楽しいですか?」
「な、なに言ってるの。楽しい訳ないじゃない! ここは敵地だし……あんたみたいな男といて楽しいわけないわ!」
「そ、そうですか、スイマセン。しかし鼻歌を歌っていたようでしたので……」
え?
鼻歌?
そ、そういえば自然に漏れていたような。
ちょいちょいちょーーい!
どうなってるの私。
こんなラースと一緒にいて楽しいだなんて。
このちんちくりんの、ポヤポヤした顔。
背は小さくて私よりも低い。
礼儀も知らない、田舎者。
グズでバカでマヌケ。
優しくて温かくて頼りがいのある──。
不思議な不思議な男。
はぁっ!?
またニヤニヤしてしまった!
そもそも、ラースが悪いのよ。
きっとコイツの作戦なんだわ。
そう……そうね。
実は弱そうにみせかけて、実は強かったんでした──みたいな。いや、それとは違うな。まったく違う。
じゃ、どういう作戦よぉ。
ラースがそんな器用なことできるわけないじゃない。
正直で裏表ないのにさぁ。
ひょっとして。
ひょっとして。
私、ラースのこと……。
「姫ッ」
ラースが足を止めて、音を立てないように指示をする。
私は口を抑えた。
大きな岩の陰から身を乗り出して辺りを見回す。
私も続いてラースの背中から覗くと、そこにはたくさんの魔物が隊列を整えていた。
「見つけた! ルビー王女だ!」
ラースは驚いて振り返ると私と目が合う。
私はビックリして顔を赤くしてしまった。
「な、なぁによぉ~」
「ひ、姫。魔族の小隊に見つかってしまいました! 危険です! 大きな岩に身を隠して下さい!」
「え? え? え?」
魔物の前に身を乗り出すラース。
私はいわれるがまま、岩の間に身を隠した。
「うぉぉおおおーーー!」
「バカが! 単騎か。猪め!」
ああ、いくらラースといえ、あんなたくさんの魔物を一度に相手にできるわけないわ。
馬に乗ってる魔物もいたもの。
激しい剣撃に、突く音。斬る音。
恐ろしい爆発音。きっと魔法を唱える魔物もいるんだわ。
ラース! どうなってしまったの?
「姫。ご無事で何より」
「え?」
そこには先ほどと同じ姿のラース。
「ラース。あなたまさか幽霊じゃないわよね」
「え? ええ。いたって普通のラースです」
「はぁ、よかった。魔物は?」
「ああ、全て討ち果たしました」
「え? あんな短時間で?」
私が岩陰から飛び出してみると、魔物の死骸が累々と並んでいる。
ざっと30。
それをラースは無傷で倒したのだわ。
そりゃそうよ。あの塔にいた屈強な魔物たちを一人で倒してしまったんですもの。
こんな下級の魔物の部隊なんて軽いものなんだわ。
ああ、やっぱりラースってばすごい。
「あんなにたくさんの魔物でも、ラースにかかったら簡単なものなのね!」
「ですが姫、私は自分の身は守れても、魔物に分散され姫を狙われたら守りきれないかもしれません。今後は、身を低くして体を隠し、万一に備えたく思います」
「は、はぁ? ま、まるで私のせいで魔物に見つかったと言わんばかりの口ぶりね!」
「え? いえ、姫! 滅相も……滅相もございません」
「僭越よ! ラース! 己の身をわきまえなさい!」
「は。はは! ははぁ!」
えーん。なんでこうなっちゃうのぉ?
もっともっとラースとお話ししたいのに~。
ラースもラースよ。たまには逆らって来たっていいじゃない。
もう……バカ。
雪山を下り、川沿いに国へと向かって進む。
安定した道ではない。ごろごろと岩が転がっているような悪路。
休憩を入れながら少しずつ少しずつ進む。
「姫?」
「ハァハァ。どうしたのラース」
「楽しいですか?」
「な、なに言ってるの。楽しい訳ないじゃない! ここは敵地だし……あんたみたいな男といて楽しいわけないわ!」
「そ、そうですか、スイマセン。しかし鼻歌を歌っていたようでしたので……」
え?
鼻歌?
そ、そういえば自然に漏れていたような。
ちょいちょいちょーーい!
どうなってるの私。
こんなラースと一緒にいて楽しいだなんて。
このちんちくりんの、ポヤポヤした顔。
背は小さくて私よりも低い。
礼儀も知らない、田舎者。
グズでバカでマヌケ。
優しくて温かくて頼りがいのある──。
不思議な不思議な男。
はぁっ!?
またニヤニヤしてしまった!
そもそも、ラースが悪いのよ。
きっとコイツの作戦なんだわ。
そう……そうね。
実は弱そうにみせかけて、実は強かったんでした──みたいな。いや、それとは違うな。まったく違う。
じゃ、どういう作戦よぉ。
ラースがそんな器用なことできるわけないじゃない。
正直で裏表ないのにさぁ。
ひょっとして。
ひょっとして。
私、ラースのこと……。
「姫ッ」
ラースが足を止めて、音を立てないように指示をする。
私は口を抑えた。
大きな岩の陰から身を乗り出して辺りを見回す。
私も続いてラースの背中から覗くと、そこにはたくさんの魔物が隊列を整えていた。
「見つけた! ルビー王女だ!」
ラースは驚いて振り返ると私と目が合う。
私はビックリして顔を赤くしてしまった。
「な、なぁによぉ~」
「ひ、姫。魔族の小隊に見つかってしまいました! 危険です! 大きな岩に身を隠して下さい!」
「え? え? え?」
魔物の前に身を乗り出すラース。
私はいわれるがまま、岩の間に身を隠した。
「うぉぉおおおーーー!」
「バカが! 単騎か。猪め!」
ああ、いくらラースといえ、あんなたくさんの魔物を一度に相手にできるわけないわ。
馬に乗ってる魔物もいたもの。
激しい剣撃に、突く音。斬る音。
恐ろしい爆発音。きっと魔法を唱える魔物もいるんだわ。
ラース! どうなってしまったの?
「姫。ご無事で何より」
「え?」
そこには先ほどと同じ姿のラース。
「ラース。あなたまさか幽霊じゃないわよね」
「え? ええ。いたって普通のラースです」
「はぁ、よかった。魔物は?」
「ああ、全て討ち果たしました」
「え? あんな短時間で?」
私が岩陰から飛び出してみると、魔物の死骸が累々と並んでいる。
ざっと30。
それをラースは無傷で倒したのだわ。
そりゃそうよ。あの塔にいた屈強な魔物たちを一人で倒してしまったんですもの。
こんな下級の魔物の部隊なんて軽いものなんだわ。
ああ、やっぱりラースってばすごい。
「あんなにたくさんの魔物でも、ラースにかかったら簡単なものなのね!」
「ですが姫、私は自分の身は守れても、魔物に分散され姫を狙われたら守りきれないかもしれません。今後は、身を低くして体を隠し、万一に備えたく思います」
「は、はぁ? ま、まるで私のせいで魔物に見つかったと言わんばかりの口ぶりね!」
「え? いえ、姫! 滅相も……滅相もございません」
「僭越よ! ラース! 己の身をわきまえなさい!」
「は。はは! ははぁ!」
えーん。なんでこうなっちゃうのぉ?
もっともっとラースとお話ししたいのに~。
ラースもラースよ。たまには逆らって来たっていいじゃない。
もう……バカ。
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