6 / 10
6
しおりを挟む
あの告白から、一夜明けて、今日。
「__夢じゃ、ない、よね」
起きてからスマートフォンを確認すると、そこには、千明からのメッセージ。
『昨日は、突然ごめん。困らせたよね』
三十分前に送られてきたそれを読み、やはり夢ではない、と再度確かめる。
何と返すか暫く迷った挙句、
『聞きたいことがあるんだけど、話せないかな。二人で』
と返信し、メッセージアプリを閉じた。
「おはよう」
近所の公園のベンチに腰掛けて待つこと五分。
やってきた千明にそう声をかけられた。
璃音は千明に挨拶を返し、隣へ座るよう促す。
暫くの沈黙の後、口を開いたのは璃音だった。
「昨日は、告白、してくれて、ありがとう。すごく、嬉しかった」
言葉を一つ一つ選びながら、ゆっくりと話す。
緊張して、千明の顔が見れない。
それでも、今の自分の気持ちを言葉にしていく。
「昨日言われた通り、私は千明のこと意識したことなかった。けど、千明の気持ちを知ったから、それに、真剣に、応えたいと思う」
そう言って、一つ息を吐くと、思い切って千明の方を向いて、言った。
「私は、千明が今後どうしたいのか、知りたい」
千明は璃音の力強い目に気圧され、何を言葉にすればいいのか、戸惑い、しばし考え込む。
やがて出てきたのは、千明の正直な思いだった。
「璃音と、恋人になりたい」
それが、ずっと、璃音のことを想ってきた千明の、願望だった。
璃音は千明の言葉と眼差しを受け止め、言った。
「時間が欲しい。千明のこと、考えさせて」
真剣なその言葉に、千明は驚きと喜びが綯交ぜになる。
その感情を噛み締めて、璃音に、微笑みかけた。
自分は、千明のことをどう思っているんだろう。
千明と一緒に帰ってきた璃音は、部屋に戻り、ベットに腰掛ける。
帰り道は、今までと変わらなかったように感じた。
別れ際を、除いては。
「千明、来てくれてありがとう。じゃあね」
千明に家の前で立ち止まって言い、玄関へと足を向ける。
一歩踏み出そうとしたところで、腕を軽く掴まれた。
咄嗟に振り返ると、千明は微笑んで、
「璃音、好きだよ」
と言って、くるりと踵を返し、自分の家へと駆けていった。
「あーもう、なんでだろう……」
そのことを思い出す度に、悶えてしまう。
__あんなこと言われたら、誰だってドキドキするでしょ。
顔が熱いのを自覚しながら、千明のことを、考え続ける。
千明のことは好き。でも、それが恋愛感情なのか、わからない。
「友達の好きと恋愛の好きの違いって何なの……」
途方に暮れた璃音の呟きは、窓から入ってきた夏の風の中に消えていった。
「__夢じゃ、ない、よね」
起きてからスマートフォンを確認すると、そこには、千明からのメッセージ。
『昨日は、突然ごめん。困らせたよね』
三十分前に送られてきたそれを読み、やはり夢ではない、と再度確かめる。
何と返すか暫く迷った挙句、
『聞きたいことがあるんだけど、話せないかな。二人で』
と返信し、メッセージアプリを閉じた。
「おはよう」
近所の公園のベンチに腰掛けて待つこと五分。
やってきた千明にそう声をかけられた。
璃音は千明に挨拶を返し、隣へ座るよう促す。
暫くの沈黙の後、口を開いたのは璃音だった。
「昨日は、告白、してくれて、ありがとう。すごく、嬉しかった」
言葉を一つ一つ選びながら、ゆっくりと話す。
緊張して、千明の顔が見れない。
それでも、今の自分の気持ちを言葉にしていく。
「昨日言われた通り、私は千明のこと意識したことなかった。けど、千明の気持ちを知ったから、それに、真剣に、応えたいと思う」
そう言って、一つ息を吐くと、思い切って千明の方を向いて、言った。
「私は、千明が今後どうしたいのか、知りたい」
千明は璃音の力強い目に気圧され、何を言葉にすればいいのか、戸惑い、しばし考え込む。
やがて出てきたのは、千明の正直な思いだった。
「璃音と、恋人になりたい」
それが、ずっと、璃音のことを想ってきた千明の、願望だった。
璃音は千明の言葉と眼差しを受け止め、言った。
「時間が欲しい。千明のこと、考えさせて」
真剣なその言葉に、千明は驚きと喜びが綯交ぜになる。
その感情を噛み締めて、璃音に、微笑みかけた。
自分は、千明のことをどう思っているんだろう。
千明と一緒に帰ってきた璃音は、部屋に戻り、ベットに腰掛ける。
帰り道は、今までと変わらなかったように感じた。
別れ際を、除いては。
「千明、来てくれてありがとう。じゃあね」
千明に家の前で立ち止まって言い、玄関へと足を向ける。
一歩踏み出そうとしたところで、腕を軽く掴まれた。
咄嗟に振り返ると、千明は微笑んで、
「璃音、好きだよ」
と言って、くるりと踵を返し、自分の家へと駆けていった。
「あーもう、なんでだろう……」
そのことを思い出す度に、悶えてしまう。
__あんなこと言われたら、誰だってドキドキするでしょ。
顔が熱いのを自覚しながら、千明のことを、考え続ける。
千明のことは好き。でも、それが恋愛感情なのか、わからない。
「友達の好きと恋愛の好きの違いって何なの……」
途方に暮れた璃音の呟きは、窓から入ってきた夏の風の中に消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる