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前期夏課外最終日。
「お疲れ様」
階段のそばで話していた千明と璃音の元に、隆がやってきた。
璃音が視線を遣ると、いつも一緒に来ている祐介がいない。
「お疲れ様。あれ、祐介は?」
疑問に思った璃音が隆に聞くと、
「先生に呼び出されてたから遅くなると思う」
と返ってきた。
「それなら待ってようか」
隆の言葉に納得した千明が言う。
うん、と頷き、隆のほうを向く。
「今日、どうだった?」
「結構難しかったよ。あと暑くて集中力切れそうだった」
笑いながらそう言う隆に、千明は
「隆のクラスは今日何の課外だったっけ?」
と問う。
「英語と数学。数学の演習がやばかった」
そんな話をしていると。
「おーい、桜葉ー!」
廊下の向こう側からやってきた担任に声をかけられた千明。
視線を遣ると、丁度千明の目の前で歩みを止めた。
「ちょっといいか?」
「はい」
そう答えると、二人を振り返って
「ごめん、ちょっと行ってくる」
と言う。
「ごめんな、皆。あんまり長くはならないから」
担任はすまなそうな顔をして、千明に行こうか、と声をかけた。
千明が担任と一緒に行った後、なんとなくお互いに黙って顔を見合わせる。
暫くそうしていると、隆が口を開いた。
「璃音さぁ。千明に告白された?」
いきなりのその言葉に、言葉を失う。
璃音が呆けていると、
「違う?」
と首を傾げた隆に問われる。
「いや、そうだけど。え、なんで、わかった?」
やっとのことでそう言葉を紡ぐと、隆は
「なんとなく、千明の雰囲気が違うからさ」
と苦笑いを浮かべ、言った。
「えー、そんなにわかりやすかった?」
「いや、多分俺以外は気付いてない」
隆の言葉に、ほっと息を吐く。
「で、どうするの?」
そう聞かれると、璃音は顎に手を当てて考え込む。
「うーん、迷ってる。正直自分の気持ちがわからないんだよね」
どうしよう、と深く溜め息を吐く璃音に、
「なんて言うのが正解かはわからないけどさ。後悔しないようにじっくり考えなよ」
と隆は言う。
うん、と頷いた璃音に、更に言葉をかける。
「璃音の気持ちを一番大事にしてあげて」
その言葉は、璃音の心にすとん、と落ちてきた。
「ありがとう。なんか掴めそうな気がしてきた」
隆の方を向いて、笑顔で言う。
その笑顔に、隆も安心して、頑張れよ、と言った。
「おまたせー!」
声のしたほうに二人が顔を向けると、千明と祐介がこちらに歩いてきていた。
「お、来たか」
そう言って、隆は寄りかかっていた壁から離れる。
「丁度千明に会ったから一緒に来たんだ」
ね、と言って千明に笑みを向ける祐介。
「うん。結構待ったんじゃない? ごめんね」
眉を下げてそう謝る千明に、
「大丈夫、こっちはこっちで色々話してたし」
と隆が言う。
「よかった。じゃあ、帰ろう」
遅くなっちゃったけど、と千明が階段を降りていく。
それを追いかけて、三人も歩き出す。
蒸し暑い空気の中、四人は帰路についた。
「お疲れ様」
階段のそばで話していた千明と璃音の元に、隆がやってきた。
璃音が視線を遣ると、いつも一緒に来ている祐介がいない。
「お疲れ様。あれ、祐介は?」
疑問に思った璃音が隆に聞くと、
「先生に呼び出されてたから遅くなると思う」
と返ってきた。
「それなら待ってようか」
隆の言葉に納得した千明が言う。
うん、と頷き、隆のほうを向く。
「今日、どうだった?」
「結構難しかったよ。あと暑くて集中力切れそうだった」
笑いながらそう言う隆に、千明は
「隆のクラスは今日何の課外だったっけ?」
と問う。
「英語と数学。数学の演習がやばかった」
そんな話をしていると。
「おーい、桜葉ー!」
廊下の向こう側からやってきた担任に声をかけられた千明。
視線を遣ると、丁度千明の目の前で歩みを止めた。
「ちょっといいか?」
「はい」
そう答えると、二人を振り返って
「ごめん、ちょっと行ってくる」
と言う。
「ごめんな、皆。あんまり長くはならないから」
担任はすまなそうな顔をして、千明に行こうか、と声をかけた。
千明が担任と一緒に行った後、なんとなくお互いに黙って顔を見合わせる。
暫くそうしていると、隆が口を開いた。
「璃音さぁ。千明に告白された?」
いきなりのその言葉に、言葉を失う。
璃音が呆けていると、
「違う?」
と首を傾げた隆に問われる。
「いや、そうだけど。え、なんで、わかった?」
やっとのことでそう言葉を紡ぐと、隆は
「なんとなく、千明の雰囲気が違うからさ」
と苦笑いを浮かべ、言った。
「えー、そんなにわかりやすかった?」
「いや、多分俺以外は気付いてない」
隆の言葉に、ほっと息を吐く。
「で、どうするの?」
そう聞かれると、璃音は顎に手を当てて考え込む。
「うーん、迷ってる。正直自分の気持ちがわからないんだよね」
どうしよう、と深く溜め息を吐く璃音に、
「なんて言うのが正解かはわからないけどさ。後悔しないようにじっくり考えなよ」
と隆は言う。
うん、と頷いた璃音に、更に言葉をかける。
「璃音の気持ちを一番大事にしてあげて」
その言葉は、璃音の心にすとん、と落ちてきた。
「ありがとう。なんか掴めそうな気がしてきた」
隆の方を向いて、笑顔で言う。
その笑顔に、隆も安心して、頑張れよ、と言った。
「おまたせー!」
声のしたほうに二人が顔を向けると、千明と祐介がこちらに歩いてきていた。
「お、来たか」
そう言って、隆は寄りかかっていた壁から離れる。
「丁度千明に会ったから一緒に来たんだ」
ね、と言って千明に笑みを向ける祐介。
「うん。結構待ったんじゃない? ごめんね」
眉を下げてそう謝る千明に、
「大丈夫、こっちはこっちで色々話してたし」
と隆が言う。
「よかった。じゃあ、帰ろう」
遅くなっちゃったけど、と千明が階段を降りていく。
それを追いかけて、三人も歩き出す。
蒸し暑い空気の中、四人は帰路についた。
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