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先生が覚醒したのは結局小一時間経った頃だった。
それまではずっと、あのとろんとした目で宙を見つめていた。時折頭を撫ぜると気持ちよさそうに目を瞑り、手に頭を押し付けるようにしたりして、正直、俺も気持ちよかった。
「高橋理人……?」
俺がベッドにもたれて寝ていると、不思議そうな声がすぐ近くから聞こえてきた。
「……せんせ、起きた?」
「べつに、寝てねーよ!なんか、変な感じだった……。どうかしちゃったのかなおれ……。」
疲れが溜まってたのかも。とかぶつぶつ言っている。このひと、大人なのに知らないの?自分の性についてだぞ。
「これ、読んで。」
と、スマホを渡す。
さっきまで自分で読んでいた、Sub Spaceについてのページだ。
「つまり、先生は俺のCommandで最高に気持ちよくなっちゃったって事でしょ。」
ちょっと意地悪っぽく言ってみる。すると、みるみるうちに赤くなる先生。やば、かわいいかも。
「今までこんなこと一度も無かった。」
普通に身体が痛くて起き上がれない日は何度もあるけどな。
ケラケラと笑う先生。
それ、笑い事じゃないんじゃない?
「先生、学校と印象違うね。」
「違わない教師なんていないっつーの。」
さっきまで俺が使っていたマグカップを手にシンクへ向かう先生。マグカップに水道水を入れると一気に飲み干した。
「それで、高橋理人は俺をどうするつもり?」
開き直った先生はさっきまでボタンが留められずに泣きじゃくっていた幼児みたいな面影もなく、さっさとジーンズを履きながら言った。
「どうも、するつもりは無いけど……。」
あのなぁ。と首を振る。
本当は彼女と別れるきっかけになった先生を痛めつけてやろうと思った。辱めてやる、なんて思ってたのに、いざ目の前にしたらその存在が何故かひどく愛おしく感じられて、どうしても全部を肯定して、そして全てを支配したくなった。
「おれはもう、まな板の上の鯉なわけ。お前が週間なんちゃらに淫行教師!なんて垂れ込んだら最後、お先真っ暗なんだよ。」
体格差的に、先生が俺を襲うのは無理だろう。
傷つくかもしれないから言わないけど。
「じゃあ、先生、俺のパートナーになってよ。」
え。
え!?
今俺なんて言った!?
ごふっ、と2杯目の水を吹き出す先生。
「げっほっ、けほっ……!」
「大丈夫?」
「大丈夫、変なところに入っただけ。」
パートナーっていったってなぁ……、と俯いたり、不意に天井を見上げたり、急に赤くなったり、かと思えば青ざめたり、百面相をする先生。手に取るようにわかる、この人は混乱している。
「おれ、パートナーいたことないから、大人として率先してやるみたいなこと、できないし……。」
やっぱり初めてのパートナーは健全な人間の方がいいような気もするし……。と呟く。
「先生、健全な人間じゃないの?」
「おれの汚い身体見ただろ。」
「傷だらけだった。」
「そうだよ。」
「だから、なに?」
「つまり……!……っ!わかれよ!」
先生はマグカップを、どん、とテーブルに置いた。
それまではずっと、あのとろんとした目で宙を見つめていた。時折頭を撫ぜると気持ちよさそうに目を瞑り、手に頭を押し付けるようにしたりして、正直、俺も気持ちよかった。
「高橋理人……?」
俺がベッドにもたれて寝ていると、不思議そうな声がすぐ近くから聞こえてきた。
「……せんせ、起きた?」
「べつに、寝てねーよ!なんか、変な感じだった……。どうかしちゃったのかなおれ……。」
疲れが溜まってたのかも。とかぶつぶつ言っている。このひと、大人なのに知らないの?自分の性についてだぞ。
「これ、読んで。」
と、スマホを渡す。
さっきまで自分で読んでいた、Sub Spaceについてのページだ。
「つまり、先生は俺のCommandで最高に気持ちよくなっちゃったって事でしょ。」
ちょっと意地悪っぽく言ってみる。すると、みるみるうちに赤くなる先生。やば、かわいいかも。
「今までこんなこと一度も無かった。」
普通に身体が痛くて起き上がれない日は何度もあるけどな。
ケラケラと笑う先生。
それ、笑い事じゃないんじゃない?
「先生、学校と印象違うね。」
「違わない教師なんていないっつーの。」
さっきまで俺が使っていたマグカップを手にシンクへ向かう先生。マグカップに水道水を入れると一気に飲み干した。
「それで、高橋理人は俺をどうするつもり?」
開き直った先生はさっきまでボタンが留められずに泣きじゃくっていた幼児みたいな面影もなく、さっさとジーンズを履きながら言った。
「どうも、するつもりは無いけど……。」
あのなぁ。と首を振る。
本当は彼女と別れるきっかけになった先生を痛めつけてやろうと思った。辱めてやる、なんて思ってたのに、いざ目の前にしたらその存在が何故かひどく愛おしく感じられて、どうしても全部を肯定して、そして全てを支配したくなった。
「おれはもう、まな板の上の鯉なわけ。お前が週間なんちゃらに淫行教師!なんて垂れ込んだら最後、お先真っ暗なんだよ。」
体格差的に、先生が俺を襲うのは無理だろう。
傷つくかもしれないから言わないけど。
「じゃあ、先生、俺のパートナーになってよ。」
え。
え!?
今俺なんて言った!?
ごふっ、と2杯目の水を吹き出す先生。
「げっほっ、けほっ……!」
「大丈夫?」
「大丈夫、変なところに入っただけ。」
パートナーっていったってなぁ……、と俯いたり、不意に天井を見上げたり、急に赤くなったり、かと思えば青ざめたり、百面相をする先生。手に取るようにわかる、この人は混乱している。
「おれ、パートナーいたことないから、大人として率先してやるみたいなこと、できないし……。」
やっぱり初めてのパートナーは健全な人間の方がいいような気もするし……。と呟く。
「先生、健全な人間じゃないの?」
「おれの汚い身体見ただろ。」
「傷だらけだった。」
「そうだよ。」
「だから、なに?」
「つまり……!……っ!わかれよ!」
先生はマグカップを、どん、とテーブルに置いた。
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