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気が付くとベッドの上だった。
左の腹に鈍い痛みがある、そうだ、おれ刺されたんだ。
足元で突っ伏して理人が寝ていた。
「理人……ごめん。」
起こさないようにそっと立ち上がる。点滴も外した。
もうだめだ。
ごめん。
バングルを左手にまく。涙が溢れてきた。慌てて拭う。
案外動けるもんだな。良いのか悪いのか。
屋上に向かう。
エレベータはゆっくりと最上階に向かっていく。
屋上には花壇があったが面倒を見る人がいないのか雑草が生い茂っていた。
色あせたベンチ。
どんよりとした天気。
錆び付いたフェンス。そんなに高くない。
手をかける。
登れるかな。登れそうだな。
足をかける。
ギシリとフェンスが軋む。
登れ、登れ。乗り越えよう。
もう少しで頂上という所で後ろから声がかかる。
「光太、Stop!!降りて!」
理人の声だった。
なんで来ちゃうんだよ、なんで間に合っちゃうんだよ。
ゆっくりとフェンスから降りた。
「理人……、ごめん。」
振り向くと息の上がった理人がゆっくり額の汗を拭いながら近づいてきていた。
「光太、大丈夫だよ。」
「何が大丈夫なんだよ!?結局過去に囚われたままじゃん!もうさ、死ぬまでこのままなんだよ!」
「落ち着いて、光太。」
「もう、おれ、汚れちゃった……っ!」
「汚れてなんかない!」
目の前まで来た理人はおれに手を伸ばす。
その手を避けるように屈みこむ。
「おれに触ったら、お前まで汚れるぞ。」
「俺は汚れないよ。光太も汚れてなんかいない。」
そう言って、身体ごと抱きしめる。
その温かさに涙が出た。
「おれ、自分から、服、脱いだんだ……。いやだったのに、脱げって言われて、逆らえなくて……。」
「うん。」
「だから、和姦だって……。」
「そんなわけないだろ?ばか。痛かったね、がんばった、がんばったよ。Good boy。」
「うあああ……!」
次から次から涙が出て、止まらなかった。声を抑えることなく泣いた。生まれて初めてこんなに泣いたような気がした。
理人はおれが落ち着くまでずっと抱きしめてくれて、頭を撫ぜてくれていた。
おれが落ち着くとそのまま抱き上げてエレベータに乗り部屋まで戻った。いつもだったら絶対嫌な横抱きだったけど血が足りないのか泣き疲れたのか抵抗する気も起きない。
部屋に戻ると看護師さんが怒って立っていた。
「あのねぇ!キミはお腹に穴空いてるのにどこに行っちゃうのかな!?」
「ごめんなさい……。」
すみません、外の空気吸いたかったみたいで、と理人が笑って言う。ベッドに、そっと下ろされる。
「点滴刺し直しだよ~!も~!」
「……はい。」
「痛み止め効いてるからってチョーシ乗らないの!」
「あ。あと刑事さん来てるわよ。」と言って出ていった。
「担当の看護師さんパワフルだな……。」
理人が呟いていた。
左の腹に鈍い痛みがある、そうだ、おれ刺されたんだ。
足元で突っ伏して理人が寝ていた。
「理人……ごめん。」
起こさないようにそっと立ち上がる。点滴も外した。
もうだめだ。
ごめん。
バングルを左手にまく。涙が溢れてきた。慌てて拭う。
案外動けるもんだな。良いのか悪いのか。
屋上に向かう。
エレベータはゆっくりと最上階に向かっていく。
屋上には花壇があったが面倒を見る人がいないのか雑草が生い茂っていた。
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錆び付いたフェンス。そんなに高くない。
手をかける。
登れるかな。登れそうだな。
足をかける。
ギシリとフェンスが軋む。
登れ、登れ。乗り越えよう。
もう少しで頂上という所で後ろから声がかかる。
「光太、Stop!!降りて!」
理人の声だった。
なんで来ちゃうんだよ、なんで間に合っちゃうんだよ。
ゆっくりとフェンスから降りた。
「理人……、ごめん。」
振り向くと息の上がった理人がゆっくり額の汗を拭いながら近づいてきていた。
「光太、大丈夫だよ。」
「何が大丈夫なんだよ!?結局過去に囚われたままじゃん!もうさ、死ぬまでこのままなんだよ!」
「落ち着いて、光太。」
「もう、おれ、汚れちゃった……っ!」
「汚れてなんかない!」
目の前まで来た理人はおれに手を伸ばす。
その手を避けるように屈みこむ。
「おれに触ったら、お前まで汚れるぞ。」
「俺は汚れないよ。光太も汚れてなんかいない。」
そう言って、身体ごと抱きしめる。
その温かさに涙が出た。
「おれ、自分から、服、脱いだんだ……。いやだったのに、脱げって言われて、逆らえなくて……。」
「うん。」
「だから、和姦だって……。」
「そんなわけないだろ?ばか。痛かったね、がんばった、がんばったよ。Good boy。」
「うあああ……!」
次から次から涙が出て、止まらなかった。声を抑えることなく泣いた。生まれて初めてこんなに泣いたような気がした。
理人はおれが落ち着くまでずっと抱きしめてくれて、頭を撫ぜてくれていた。
おれが落ち着くとそのまま抱き上げてエレベータに乗り部屋まで戻った。いつもだったら絶対嫌な横抱きだったけど血が足りないのか泣き疲れたのか抵抗する気も起きない。
部屋に戻ると看護師さんが怒って立っていた。
「あのねぇ!キミはお腹に穴空いてるのにどこに行っちゃうのかな!?」
「ごめんなさい……。」
すみません、外の空気吸いたかったみたいで、と理人が笑って言う。ベッドに、そっと下ろされる。
「点滴刺し直しだよ~!も~!」
「……はい。」
「痛み止め効いてるからってチョーシ乗らないの!」
「あ。あと刑事さん来てるわよ。」と言って出ていった。
「担当の看護師さんパワフルだな……。」
理人が呟いていた。
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