御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki

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「幾ら何でもまだ妹は貴方の妻にはなってはいない。これは王女への不敬……いや侮辱と取られても致し方のない事ではないだろうか公爵」

 確かにキャサリンは常軌を逸してはいるだろうがそれでもまだ他人である公爵にキャシーを狂女呼ばわり等されて黙っていられる程俺は出来た人間ではない。
 だが俺の反論もまた公爵にとっては想定内だったのだろう。
 ニヤリ……とやや下卑た笑みを湛えれば……。

「ほぉやはり殿下はまだお若くて大層甘い御方だ。実の妹君と肉体関係を持たれる御方にしては無垢な御心ですな」
「なっ……!!」

 言葉として形を成して欲しくはない言動に俺は怒りで一瞬我を忘れ掛ければ、そのまま公爵の胸倉を掴もうとした――――が後もう少しの所で太っている癖に公爵はひらりと俺の手を躱してしまった。

「暴力はいけませんな。何事も力ずくは感心致しませんぞ殿下」
「それは公爵の暴言によるものも大きいと思うのだが……」

 俺はまだ収まりきらない怒りを腹に抱えたままどかりとソファーへ腰を掛ける。
 その所作に王族らしい優美さ等何処にもない。

 一方公爵は流石俺よりも17歳は年上で大人の余裕と言ったところだろうか。
 何を考えているか全くわからない笑みを湛えたまま優雅に対面のソファーへ腰を掛けた。

 暫くしてお茶が運ばれれば人払いをする。
 そこでようやく公爵はゆっくりと口を開いたのである。
 
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