異世界⇔現実 両方やってます商店 ~商売で成り上がってレベルアップ!~

AKISIRO

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第4話 スキル獲得方法について

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 場所は村長宅の奥──重い扉を抜けた先にある「錬金の間」だった。
 土壁に薬草が吊るされ、棚には大小さまざまな瓶や薬研が並び、ほのかに甘く苦い香りが漂っている。
 中央の作業台にナナミーが立っていた。白いエプロン姿で、栗色の長い髪がふわりと揺れる。

「まずは、マナブさんにスキル【調合】を獲得してもらいます」

 彼女は真剣な目をして言った。

「スキルを他人に覚えさせる方法ですが──まず、スキルを持つ者がやり方を教え、何度も実践して覚えてもらうことです」
「なるほど。ジョブ以外のスキルでも獲得できるってわけだな」
「その通りです。鑑定で見たところ……マナブさんは“商人”ですね?」
「おう、商人だよ。金儲け命だからな」

 そう答えた瞬間、ナナミーは作業台の上に新鮮なエリクサ草を広げた。

 そこから彼女の錬金指導が始まった。
 まるで学生時代の理科室に戻ったかのようだ。
 草の根を切り、乳鉢で潰し、色の変化を見ながら抽出液を分離する──手元で淡い緑色の液体がガラス管を伝い、瓶に落ちていく。
 俺は理科の実験で窒素に葉を浸したときのことを思い出した。あの頃の好奇心が蘇る。

【スキル:錬金調合を習得しました】

 視界に文字が浮かぶ。
 試しに自分でやってみると、エリクサ草から淡い緑の液体を抽出できた。瓶に入れると、まるでエナジードリンクのような色合いだ。

「できましたね。私から教えることは、もうありません」
「助かった。……ちょっと現実に戻るよ」

 一瞬、ナナミーが寂しげな顔をした。
 そこで俺は笑って付け加える。

「心配するな、すぐ戻る」
「はい!」

 その笑顔は、太陽の光を受けた宝石のように輝いていた。

 外に出ると、ガルが村長宅の前で腕を組んで座っていた。

「ああ、戻るのか」
「バイクの後ろ、空いてるぞ」
「……いいんですか? 一度乗ってみたかったんです」

 エンジンをかけると、異世界の空気の中でバイクの音がやけに新鮮に響いた。
 ガルは後ろで揺れながら言った。

「姉さん、喜んでいたでしょう?」
「そんなに珍しいのか?」
「人見知りなんですよ。村に同年代がいないから、年上のあなたを兄のように感じているのかも」

 谷に差し掛かると、ガルが指を差した。

「あそこは通れません。扉を通れるのは異世界人限定らしいです。伝承では、氷の大陸に“巨大な門”があり、それを通れば異世界人も現実に渡れるとか……真偽は不明です」

「もし本当なら……侵攻の危険もあるな」
「だから、あなたの父君は戦っているのです」
「あのバカ親父、やるじゃねえか」

 軽口を叩き合いながら扉を抜け、俺たちは現実世界へ帰還した。
 倉庫からバイクを降ろし、母の元へ返す。

「ありがとよ」
「いいってことよ。それよりカップラーメン、全部食べちゃった?」
「まさか。友達にやっただけだ」
「友達にたかられるんじゃないよ」
「しねーって」

 荷物を降ろしながら、ふと思いつく。
 ──異世界の食べ物はこの世界でも効果を発揮するのか?
 商品倉庫からエリクサポーションを取り出す。
 キャップを開けると、抹茶に牛乳を混ぜたような不気味な香りが鼻をつく。
 一気に飲み干すと、体が内側から熱を帯びる感覚が広がった。

 バーベルを持ち上げると……軽い。

「豆腐かよ」

 小指だけで持ち上げてもビクともしない。
 さらに、昔の火傷跡が消えていることに気づいた。

「万能薬じゃねえか……薄めて売るしかないな」

 倉庫の一角を片付け、机を置き、小さな研究所のように整える。
 エリクサポーションを100分の1まで薄め、透明な瓶に詰めていく。
 作業に没頭すること五時間──1000本近くの薄めポーションが並んだ。

「さて、どうやって売り出すか……」

 考え込んでいると、扉が開いた。

「何してんの?」

 母が顔を出した。

「最高の栄養ドリンクができた。売り方を考えてた」
「じゃあ、店に置けば? 試飲コーナー作って、効果を実感させてから1本1000円で売るの」
「その手があったか! 頼む!」

 母は笑って頷いたが、続けて言った。

「それと、健司があんたに用があるって」

 健司──俺の弟だ。
 障害を持つ人たちを集めた会社を立ち上げ、大金を動かし、軍事関係にも顔が利く男。
 扉がまた開き、スーツ姿でぼさぼさ頭の弟が現れた。

「よぉ、兄貴」

 母が大きなカゴにポーションを詰めながら言う。

「私はこれ持ってくから。二本だけ残すわよ」
「頼む」

 弟は俺を見てニヤリと笑った。

「最近、カップラーメンだの木刀だの、妙なことやってるな」
「ああ……あの扉の向こうが異世界だって言ったら、信じるか?」
「信じる。俺も知ってるからな」
「は? 早く言えよ!」

 弟は肩をすくめた。

「何度か行ったが、今は会社が忙しい。そのポーションも異世界産か?」
「ああ。飲めば昔の怪我すら一瞬で治る。とんでもない回復薬だ」
「……一本くれ。成分分析と動物実験してみる」
「頼んだ。人を救える薬になるかもしれん」

 ふと病院の位置を思い出す。

「ちょっと試してみるか」
「派手なことはするなよ」
「だいじょぶだいじょぶ」

 俺はバイクの鍵を握りしめ、母に声をかけた。

「また借りるぞ!」

 エンジン音が、これからの騒動を予告しているように響いた。
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