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第2部 十人十色
第37話 お前等の攻撃は一切きかぬ! それがニンジンでもな!
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舞台はジェラルド王国と奴隷王国を繋ぐ、幅広い大橋──その先に広がる荒野。
「そのニンジン……なかなか良いな」
「ほう、野菜を見抜けるとは。ただの戦士ではないな」
「これでも元・八百屋だ。野菜は目利きできるが──俺には物理武器攻撃は一切通用せん。それが例えニンジンでもな!」
「ふはは、攻撃の効かぬ人間など存在せぬ! 豹変国王、ゆくぞ! 魔王を叩き伏せ、この地に我らの栄光を示す!」
「あの……彼、本当に魔王なんですか?」
「当然だ! あんな禍々しい鎧を着て魔王でないはずが──」
そのやり取りの最中、豹変国王と呼ばれた優男の目がギラリと変わった。
次の瞬間、抜刀と同時に目の前に迫る。
「うぉい、てめぇ……今からぶっ殺してやっからな!」
「お前、剣握ると性格変わるタイプか」
レオ・バルーザが呆れた瞬間、鋭い一閃が首筋を狙う。
だが──刃は途中で掻き消えた。斬られるはずの首は無傷。
「あ、あれぇ……?」
豹変国王はその場にへなへなと崩れ落ちた。
「よし、殺すか」
剣を振り下ろそうとしたその時──上空から一人の少年が飛び込んできた。
両手には……ニンジンを二本構えて。
レオは背中から魔剣を抜き放つ。
それは武装支配によって支配された十本分の魔剣の力を宿す剣だ。
「だから言ったろ。俺には何も通用しねぇって」
ニンジンごと魔剣が吸収し、勇者リュードと名乗る少年はバク転で距離を取ると、倒れた豹変国王を背負い上げた。
「お前……やばいな、それ」
「つまり──お前らの負けだ」
「ほう……なら拳ならどうだ?」
「あ、それは……やば」
レオの脳裏に“武器以外”の発想はなかった。
勇者リュードは拳を構え、地を蹴る。
「お前を無人島までぶっ飛ばす! それが俺のマイルールだ!」
「なんで無人島!?」
次の瞬間──視界から消える。
だが、レオの身体能力は魔剣十本分の力で強化されている。
・【雷属性】ムーガ
・【水属性】スリュクス
・【土属性】ノーガムリュ
・【闇属性】ナーガスト
・【光属性】フォール
・【無属性】フォルエバ
・【無属性】ガナージンドス
・【無属性】ジャガノード
・【炎属性】ヴォルテックス
・【氷属性】デャリャクス
全てを同時発動──全身は魔人鎧へと変貌し、雷を纏い、水のようにしなやかに、土のように鋭く、闇を纏い、光を放つ。無数の刃が宙を舞い、足甲は竜脚のように変形する。
「これなら近寄れんだろ!」
「るっせー、バーカ!」
しかし勇者リュードは、その猛攻を全て紙一重で回避し続けた。
小柄な身体をアクロバティックに操り、懐へと飛び込む。
「決めたぜ……お前の胸板、もらったああああ!」
「うそだろおおおおお!」
ドゴォッッ!
大胸筋に拳がめり込み、鎧にヒビは入らぬものの衝撃は全身を駆け抜ける。
そしてレオの身体は宙へと弾き飛ばされた。
「まさか、拳とはな……!」
空高く吹き飛び──そして落下。
気付けばそこは、かつて“無人島”と呼ばれた場所……しかし今は巨大な魔王城が聳え立っていた。
「……かはっ……って、ここ魔王城じゃねぇか!」
辺りには魔物が蠢いていたが──
それ以上に、彼の視界を埋め尽くす存在があった。
影が覆う。
山脈のような胴。
森を呑み込むほどの首。
そして城壁すらかすむほどの巨大な顎が、こちらを見下ろしていた。
──ヨルムンガンド。
その片目だけで城門ほどの大きさ。
息を吐けば地が揺れ、鼻息が嵐のように荒野を削る。
「ほう……一人で魔王城に乗り込むとは。面白い」
「あ、嘘でしょ……」
ただの八百屋に、世界を呑む竜は荷が重い。
だが──運命は味方していた。足元に散乱していたのは、無数の魔剣。
「……これ、全部魔剣じゃねぇか!」
レオは勝利を確信する。
片っ端から武装支配で吸収を始めた。
「ちなみに──それ、全部魔王の私物だ。後で確実に殺されるぞ」
ヨルムンガンドの低い呟きは雷鳴のごとく響き、衝撃波でレオの身体を吹き飛ばしかけた──。
「そのニンジン……なかなか良いな」
「ほう、野菜を見抜けるとは。ただの戦士ではないな」
「これでも元・八百屋だ。野菜は目利きできるが──俺には物理武器攻撃は一切通用せん。それが例えニンジンでもな!」
「ふはは、攻撃の効かぬ人間など存在せぬ! 豹変国王、ゆくぞ! 魔王を叩き伏せ、この地に我らの栄光を示す!」
「あの……彼、本当に魔王なんですか?」
「当然だ! あんな禍々しい鎧を着て魔王でないはずが──」
そのやり取りの最中、豹変国王と呼ばれた優男の目がギラリと変わった。
次の瞬間、抜刀と同時に目の前に迫る。
「うぉい、てめぇ……今からぶっ殺してやっからな!」
「お前、剣握ると性格変わるタイプか」
レオ・バルーザが呆れた瞬間、鋭い一閃が首筋を狙う。
だが──刃は途中で掻き消えた。斬られるはずの首は無傷。
「あ、あれぇ……?」
豹変国王はその場にへなへなと崩れ落ちた。
「よし、殺すか」
剣を振り下ろそうとしたその時──上空から一人の少年が飛び込んできた。
両手には……ニンジンを二本構えて。
レオは背中から魔剣を抜き放つ。
それは武装支配によって支配された十本分の魔剣の力を宿す剣だ。
「だから言ったろ。俺には何も通用しねぇって」
ニンジンごと魔剣が吸収し、勇者リュードと名乗る少年はバク転で距離を取ると、倒れた豹変国王を背負い上げた。
「お前……やばいな、それ」
「つまり──お前らの負けだ」
「ほう……なら拳ならどうだ?」
「あ、それは……やば」
レオの脳裏に“武器以外”の発想はなかった。
勇者リュードは拳を構え、地を蹴る。
「お前を無人島までぶっ飛ばす! それが俺のマイルールだ!」
「なんで無人島!?」
次の瞬間──視界から消える。
だが、レオの身体能力は魔剣十本分の力で強化されている。
・【雷属性】ムーガ
・【水属性】スリュクス
・【土属性】ノーガムリュ
・【闇属性】ナーガスト
・【光属性】フォール
・【無属性】フォルエバ
・【無属性】ガナージンドス
・【無属性】ジャガノード
・【炎属性】ヴォルテックス
・【氷属性】デャリャクス
全てを同時発動──全身は魔人鎧へと変貌し、雷を纏い、水のようにしなやかに、土のように鋭く、闇を纏い、光を放つ。無数の刃が宙を舞い、足甲は竜脚のように変形する。
「これなら近寄れんだろ!」
「るっせー、バーカ!」
しかし勇者リュードは、その猛攻を全て紙一重で回避し続けた。
小柄な身体をアクロバティックに操り、懐へと飛び込む。
「決めたぜ……お前の胸板、もらったああああ!」
「うそだろおおおおお!」
ドゴォッッ!
大胸筋に拳がめり込み、鎧にヒビは入らぬものの衝撃は全身を駆け抜ける。
そしてレオの身体は宙へと弾き飛ばされた。
「まさか、拳とはな……!」
空高く吹き飛び──そして落下。
気付けばそこは、かつて“無人島”と呼ばれた場所……しかし今は巨大な魔王城が聳え立っていた。
「……かはっ……って、ここ魔王城じゃねぇか!」
辺りには魔物が蠢いていたが──
それ以上に、彼の視界を埋め尽くす存在があった。
影が覆う。
山脈のような胴。
森を呑み込むほどの首。
そして城壁すらかすむほどの巨大な顎が、こちらを見下ろしていた。
──ヨルムンガンド。
その片目だけで城門ほどの大きさ。
息を吐けば地が揺れ、鼻息が嵐のように荒野を削る。
「ほう……一人で魔王城に乗り込むとは。面白い」
「あ、嘘でしょ……」
ただの八百屋に、世界を呑む竜は荷が重い。
だが──運命は味方していた。足元に散乱していたのは、無数の魔剣。
「……これ、全部魔剣じゃねぇか!」
レオは勝利を確信する。
片っ端から武装支配で吸収を始めた。
「ちなみに──それ、全部魔王の私物だ。後で確実に殺されるぞ」
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