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幻想界編
第14話 合流
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「よし……全員縛り終わったな」
志雄は縄を締め直して、ふうっと大きく息を吐いた。木々に縛り付けられた盗賊たちは呻き声を上げながらも、もう動けない。
氷河は腕を押さえながら彼を見て、苦笑する。
「助けに入ろうかと思ってたが……余計な心配だったな。志雄、やっぱり前より強くなったんじゃないか?」
志雄は胸を張って答えた。
「確かに強くなったぜ! 三対一でも余裕だったからな!」
「余裕ではなかったです!」
ツムギがすかさず割り込む。
「志雄くん、まだ手の傷も治ってないのに……。はい、こっち!」
「あ、ごめん」
志雄は素直に座り込み、ツムギに手を差し出した。ツムギの掌から淡い光が広がり、ひび割れた拳を温かく癒やしていく。
「……はぁ、やれやれ」
氷河はその様子を見て微笑んだ――が、次の瞬間、ツムギが険しい目を向ける。
「氷河さんも、ですよ!」
「えっ」
彼の脇腹から血が滲んでいるのを見逃すはずもなかった。ツムギはすぐさま駆け寄り、回復魔法を施す。
「腹部の傷は深くありませんが、放っておけば悪化します。剣を振るう人は無茶ばかりなんですから……」
氷河は苦笑して肩をすくめた。
「参ったな……説教までセットか」
志雄はにやりと笑う。
「ははっ、氷河でも怒られるんだな」
氷河は軽く志雄を睨んだが、表情はどこか柔らかかった。
その時、声がかかった。
「――あの、助けていただいて、本当にありがとうございました!」
青い髪を肩まで伸ばした青年が、深く頭を下げていた。先ほど盗賊に襲われていた行商人だ。まだ若いが、その瞳には強い誠実さが宿っている。
「命の恩人にどう感謝すればいいか……。もしお礼できることがあれば、なんでも仰ってください!」
志雄の瞳がキラリと光る。
「じゃあさ! その荷馬車で俺らを王都まで乗せてってくれないか!?」
「えっ……あ、はい! もちろんです!」
青年は少し驚いたように顔を上げた。
「ちょうど私も王都へ向かう途中でしたから、都合がいいんです。喜んでお受けします!」
志雄「きちゃーー!!」
子供のように飛び上がり、両手をバンザイする。
「徒歩からやっと解放されるー!」
その姿にツムギが思わず頬を赤らめ、ぽつりと呟く。
「……志雄くん、カワイイ」
「な、なんか言った!?」
「い、いえ、なんでも!」
青年は苦笑して自己紹介した。
「私は行商人のフィリオといいます。見た目は若いですが、安心してください、これでも旅慣れてます」
志雄「俺は志雄。で、こっちがツムギで、そっちが氷河」
二人は軽く頭を下げる。
フィリオ「では改めて……よろしくお願いします!」
「暗くなる前に出発した方がいいですね。馬車の方が歩くよりはるかに楽ですよ」
志雄「よーし! アルディア領までひとっ飛びだ!」
⸻
夜、縛られた盗賊たち
盗賊の一人が呻きながら口を開いた。
「お頭……やっぱり負けちまったんですね」
カルドは目を閉じ、低い声で答える。
「……相手が悪かっただけだ。あの男、王聖騎士団でも副団長に近い力を持っていた」
「ひ、副団長級!? そんな化け物と……」
盗賊たちは青ざめる。
カルドは血の味を噛み締めながら、ふっと笑った。
「だが……悪くなかった。盗み以外で“楽しい”と思えたのは久しぶりだ。また戦いてぇな……」
篝火がはぜる音だけが、夜の静寂に響いていた。
志雄は縄を締め直して、ふうっと大きく息を吐いた。木々に縛り付けられた盗賊たちは呻き声を上げながらも、もう動けない。
氷河は腕を押さえながら彼を見て、苦笑する。
「助けに入ろうかと思ってたが……余計な心配だったな。志雄、やっぱり前より強くなったんじゃないか?」
志雄は胸を張って答えた。
「確かに強くなったぜ! 三対一でも余裕だったからな!」
「余裕ではなかったです!」
ツムギがすかさず割り込む。
「志雄くん、まだ手の傷も治ってないのに……。はい、こっち!」
「あ、ごめん」
志雄は素直に座り込み、ツムギに手を差し出した。ツムギの掌から淡い光が広がり、ひび割れた拳を温かく癒やしていく。
「……はぁ、やれやれ」
氷河はその様子を見て微笑んだ――が、次の瞬間、ツムギが険しい目を向ける。
「氷河さんも、ですよ!」
「えっ」
彼の脇腹から血が滲んでいるのを見逃すはずもなかった。ツムギはすぐさま駆け寄り、回復魔法を施す。
「腹部の傷は深くありませんが、放っておけば悪化します。剣を振るう人は無茶ばかりなんですから……」
氷河は苦笑して肩をすくめた。
「参ったな……説教までセットか」
志雄はにやりと笑う。
「ははっ、氷河でも怒られるんだな」
氷河は軽く志雄を睨んだが、表情はどこか柔らかかった。
その時、声がかかった。
「――あの、助けていただいて、本当にありがとうございました!」
青い髪を肩まで伸ばした青年が、深く頭を下げていた。先ほど盗賊に襲われていた行商人だ。まだ若いが、その瞳には強い誠実さが宿っている。
「命の恩人にどう感謝すればいいか……。もしお礼できることがあれば、なんでも仰ってください!」
志雄の瞳がキラリと光る。
「じゃあさ! その荷馬車で俺らを王都まで乗せてってくれないか!?」
「えっ……あ、はい! もちろんです!」
青年は少し驚いたように顔を上げた。
「ちょうど私も王都へ向かう途中でしたから、都合がいいんです。喜んでお受けします!」
志雄「きちゃーー!!」
子供のように飛び上がり、両手をバンザイする。
「徒歩からやっと解放されるー!」
その姿にツムギが思わず頬を赤らめ、ぽつりと呟く。
「……志雄くん、カワイイ」
「な、なんか言った!?」
「い、いえ、なんでも!」
青年は苦笑して自己紹介した。
「私は行商人のフィリオといいます。見た目は若いですが、安心してください、これでも旅慣れてます」
志雄「俺は志雄。で、こっちがツムギで、そっちが氷河」
二人は軽く頭を下げる。
フィリオ「では改めて……よろしくお願いします!」
「暗くなる前に出発した方がいいですね。馬車の方が歩くよりはるかに楽ですよ」
志雄「よーし! アルディア領までひとっ飛びだ!」
⸻
夜、縛られた盗賊たち
盗賊の一人が呻きながら口を開いた。
「お頭……やっぱり負けちまったんですね」
カルドは目を閉じ、低い声で答える。
「……相手が悪かっただけだ。あの男、王聖騎士団でも副団長に近い力を持っていた」
「ひ、副団長級!? そんな化け物と……」
盗賊たちは青ざめる。
カルドは血の味を噛み締めながら、ふっと笑った。
「だが……悪くなかった。盗み以外で“楽しい”と思えたのは久しぶりだ。また戦いてぇな……」
篝火がはぜる音だけが、夜の静寂に響いていた。
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