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幻想界編
第22話 如意棒の脅威 ― 闘気の閃き
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「……? 何があったか知らねぇけどよ」
サスケが口角を吊り上げ、軽く笑った。
「そう簡単にはくたばるなよぉ!」
次の瞬間、彼の左脚が唸りを上げて志雄の顔面を狙う。
鋭い軌道――しかし志雄は紙一重で頭をずらし、蹴りを避けると同時に低く身を沈め、右脚を思い切り真上に突き上げた。
「――っ!」
直撃。サスケの顎にクリーンヒットした。
観客席から一斉に歓声が爆発する。
サスケは顎を抑え、驚きと痛みの入り混じった表情で吐き出した。
「……いい蹴りだな」
口の端から血が滲む。だがその直後――彼は笑った。
「……面白ぇ」
サスケは着ていた上着を脱ぎ捨て、鍛え抜かれた筋肉が浮き上がるタンクトップ姿になる。そしてポケットから金と黒で彩られた小さな円柱を取り出した。
「伸びろ」
低い声と同時に、円柱がぐんぐんと伸びていく。
やがて2.5メートルほどの長さへ。
「なっ……!?」
志雄は目を丸くした。
「如意棒!? 本当に伸びやがった……初めて見た……」
驚きと興奮が入り混じった声が思わず漏れる。
「かっけぇ……いや、それより武器使うのかよ、お前!?」
指を差す志雄に、サスケは余裕の笑みを浮かべて答える。
「ああ、そうだ。次の試合のためにも体力は温存しておきてぇからな。――早めに終わらせるぜ」
如意棒を軽く構え、サスケが地面を強く蹴った。
石畳が砕け、爆発的な加速で志雄へと肉薄する。
⸻
「くっ……!」
志雄は咄嗟に腕でガードを試みるが――
ゴッ! ドン! パアンッ!
左肩、右脚、首筋、脛――立て続けに叩き伏せられた。
如意棒の長いリーチが生み出す圧倒的な間合い。まるで四方八方から襲いかかるかのように的確にヒットしていく。
「ぐあっ……!」
志雄の身体は何度も揺さぶられ、皮膚の下に赤黒いあざが浮かび上がる。
観客席からは悲鳴混じりのざわめきが広がる。
「やめろ! もう十分だ!」
「坊主、降参しろ!」
ツムギは両手を胸の前で握りしめ、声を震わせる。
「相性が……あまりにも悪いです……」
しかし隣の氷河は、腕を組んだままステージをじっと見据えていた。
「……でも、あいつはどんな相手でも絶対に負けない。俺は信じる」
⸻
志雄は一度距離を取り、荒い呼吸を繰り返した。
汗と血で頬が濡れ、全身の痛みに顔をしかめながらも、決して膝はつかない。
(強ぇ……! 素手でどうやって武器持ちに勝つんだよ……)
(早く……武器欲しい……でも、こいつに勝たなきゃ手に入らない……! 無茶しすぎだろ、俺……!)
サスケが低く呟いた。
「八極連打」
如意棒が残像を伴って振り下ろされる。八つの打撃がほぼ同時に襲いかかる。
志雄は必死に腕を動かし、三発は弾いた。しかし残りは避けられず、全てまともに食らった。
「ぐっ……!」
身体が弾き飛ばされ、石畳を転がる。息が荒くなり、立ち上がることすら限界に近い。
(……闘気を纏ってなければ……今ので完全に潰れてた……!)
サスケは棒を肩に担ぎ、不敵に笑った。
「まだ立つのか……? いい加減わかんねぇのか? 力の差ってやつをよ」
志雄はふらつきながら立ち、唇を震わせて返す。
「……武器持ちが……はぁ……何言ってんだよ……フェアじゃねぇだろ……」
言葉を絞り出す声に、観客席から「よく言った!」と声援が飛んだ。
⸻
「言い訳か? 元々武器ありの試合だろうが!」
サスケは再び如意棒を構える。
「八極連打ァ!」
八方向から襲い来る影のような連撃。
(またくらったら……終わりだ……! なんとか……隙を……!)
志雄は頭の中で必死に考える。しかし――
(……もうヤケクソだ!)
「負けてたまるかよおおおおっ!! なんか出ろぉおおーー!!!」
右拳に全神経を集中させる。
すると――拳に闘気が一点収束し、周囲の空気を巻き込む。
ドンッ!!
空気を殴った瞬間、風圧が爆発的に広がり、如意棒の軌道がわずかに逸れた。
「な、何ィ!?」
サスケの表情が初めて揺らぐ。
志雄は呆然と拳を見下ろした。
「……な、なんか出たぁーー!?」
⸻
観客席は大熱狂。
「見たか今の! 空気が弾けたぞ!」
「拳圧だ! 闘気を飛ばしたんだ!」
ツムギは驚きで目を輝かせ、思わず声を上げる。
「な、なんですかあれは!? 志雄くんの技……!?」
氷河は口元を釣り上げ、鋭い眼光を光らせた。
「闘気を一点に集中させた……! この戦いで、どんどん成長してやがる……!」
⸻
だがサスケはすぐに冷笑を浮かべる。
「運に救われただけだろうが!」
再び如意棒を握り直し、低く構える。
「八極連打ァァ!」
同じ技が、再び志雄に迫る。
志雄は拳を構え、確信を持って空気に叩き込んだ。
「んなもん、もう効かねぇぜっ!」
――スカッ。
何も起きない。
志雄「……え?」
観客「え?」
ツムギ「え?」
氷河「……は?」
衝撃が走ったまま、闘技場は一瞬の静寂に包まれた。
つづく――。
サスケが口角を吊り上げ、軽く笑った。
「そう簡単にはくたばるなよぉ!」
次の瞬間、彼の左脚が唸りを上げて志雄の顔面を狙う。
鋭い軌道――しかし志雄は紙一重で頭をずらし、蹴りを避けると同時に低く身を沈め、右脚を思い切り真上に突き上げた。
「――っ!」
直撃。サスケの顎にクリーンヒットした。
観客席から一斉に歓声が爆発する。
サスケは顎を抑え、驚きと痛みの入り混じった表情で吐き出した。
「……いい蹴りだな」
口の端から血が滲む。だがその直後――彼は笑った。
「……面白ぇ」
サスケは着ていた上着を脱ぎ捨て、鍛え抜かれた筋肉が浮き上がるタンクトップ姿になる。そしてポケットから金と黒で彩られた小さな円柱を取り出した。
「伸びろ」
低い声と同時に、円柱がぐんぐんと伸びていく。
やがて2.5メートルほどの長さへ。
「なっ……!?」
志雄は目を丸くした。
「如意棒!? 本当に伸びやがった……初めて見た……」
驚きと興奮が入り混じった声が思わず漏れる。
「かっけぇ……いや、それより武器使うのかよ、お前!?」
指を差す志雄に、サスケは余裕の笑みを浮かべて答える。
「ああ、そうだ。次の試合のためにも体力は温存しておきてぇからな。――早めに終わらせるぜ」
如意棒を軽く構え、サスケが地面を強く蹴った。
石畳が砕け、爆発的な加速で志雄へと肉薄する。
⸻
「くっ……!」
志雄は咄嗟に腕でガードを試みるが――
ゴッ! ドン! パアンッ!
左肩、右脚、首筋、脛――立て続けに叩き伏せられた。
如意棒の長いリーチが生み出す圧倒的な間合い。まるで四方八方から襲いかかるかのように的確にヒットしていく。
「ぐあっ……!」
志雄の身体は何度も揺さぶられ、皮膚の下に赤黒いあざが浮かび上がる。
観客席からは悲鳴混じりのざわめきが広がる。
「やめろ! もう十分だ!」
「坊主、降参しろ!」
ツムギは両手を胸の前で握りしめ、声を震わせる。
「相性が……あまりにも悪いです……」
しかし隣の氷河は、腕を組んだままステージをじっと見据えていた。
「……でも、あいつはどんな相手でも絶対に負けない。俺は信じる」
⸻
志雄は一度距離を取り、荒い呼吸を繰り返した。
汗と血で頬が濡れ、全身の痛みに顔をしかめながらも、決して膝はつかない。
(強ぇ……! 素手でどうやって武器持ちに勝つんだよ……)
(早く……武器欲しい……でも、こいつに勝たなきゃ手に入らない……! 無茶しすぎだろ、俺……!)
サスケが低く呟いた。
「八極連打」
如意棒が残像を伴って振り下ろされる。八つの打撃がほぼ同時に襲いかかる。
志雄は必死に腕を動かし、三発は弾いた。しかし残りは避けられず、全てまともに食らった。
「ぐっ……!」
身体が弾き飛ばされ、石畳を転がる。息が荒くなり、立ち上がることすら限界に近い。
(……闘気を纏ってなければ……今ので完全に潰れてた……!)
サスケは棒を肩に担ぎ、不敵に笑った。
「まだ立つのか……? いい加減わかんねぇのか? 力の差ってやつをよ」
志雄はふらつきながら立ち、唇を震わせて返す。
「……武器持ちが……はぁ……何言ってんだよ……フェアじゃねぇだろ……」
言葉を絞り出す声に、観客席から「よく言った!」と声援が飛んだ。
⸻
「言い訳か? 元々武器ありの試合だろうが!」
サスケは再び如意棒を構える。
「八極連打ァ!」
八方向から襲い来る影のような連撃。
(またくらったら……終わりだ……! なんとか……隙を……!)
志雄は頭の中で必死に考える。しかし――
(……もうヤケクソだ!)
「負けてたまるかよおおおおっ!! なんか出ろぉおおーー!!!」
右拳に全神経を集中させる。
すると――拳に闘気が一点収束し、周囲の空気を巻き込む。
ドンッ!!
空気を殴った瞬間、風圧が爆発的に広がり、如意棒の軌道がわずかに逸れた。
「な、何ィ!?」
サスケの表情が初めて揺らぐ。
志雄は呆然と拳を見下ろした。
「……な、なんか出たぁーー!?」
⸻
観客席は大熱狂。
「見たか今の! 空気が弾けたぞ!」
「拳圧だ! 闘気を飛ばしたんだ!」
ツムギは驚きで目を輝かせ、思わず声を上げる。
「な、なんですかあれは!? 志雄くんの技……!?」
氷河は口元を釣り上げ、鋭い眼光を光らせた。
「闘気を一点に集中させた……! この戦いで、どんどん成長してやがる……!」
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だがサスケはすぐに冷笑を浮かべる。
「運に救われただけだろうが!」
再び如意棒を握り直し、低く構える。
「八極連打ァァ!」
同じ技が、再び志雄に迫る。
志雄は拳を構え、確信を持って空気に叩き込んだ。
「んなもん、もう効かねぇぜっ!」
――スカッ。
何も起きない。
志雄「……え?」
観客「え?」
ツムギ「え?」
氷河「……は?」
衝撃が走ったまま、闘技場は一瞬の静寂に包まれた。
つづく――。
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