モメント 〜夢の真実を求めて五界を巡る〜

キマリ

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幻想界編

第23話 如意棒を超えて ― 龍閃

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「八極連打!!」

如意棒が唸りを上げ、嵐のような連撃が志雄を包み込んだ。
一瞬で空気が震え、石畳が砕け、衝撃波と砂煙が観客席にまで押し寄せる。

「うわっ!」「何も見えねぇぞ!」
「どうなった!?」

観客たちは立ち上がり、土煙に視界を奪われながらざわめいた。

やがて風に煽られて煙が晴れると――そこには、地面に全身を這いつくばらせ、転がりながら息を荒げる志雄の姿があった。

「はぁっ……あっぶねぇ……よく避けられたな俺……」
額に汗を浮かべ、顔は砂まみれ。それでも瞳の奥はまだ消えていない炎を宿している。

(くそっ……かっこつけたかったのに……スカッて何だよ、俺……!)
心の中で毒づきながらも、体を震わせて立ち上がる。



観客席からは歓声と安堵の声が重なる。
「まだ立ってる!」「やるじゃねぇか!」

ツムギは胸に手を当て、涙目になりながら微笑んだ。
「はぁ……よかったです……本当、志雄くんはいつもハラハラさせます……」

隣で腕を組む氷河は鋭い視線を闘技場に送り、低く呟いた。
「避けきれたが……ここからどうする、志雄……」



サスケが如意棒を肩に担ぎ、口元を歪めた。
「よく避けれたな……さっきまでのお前なら、全弾直撃してただろうよ」
「どうやらお前は戦うごとに強くなるタイプらしいな。ならよ……」

サスケの目がぎらりと光る。
「お前が本気なら、俺も本気で倒すだけだ」

如意棒を頭上に掲げ、短く叫ぶ。
「伸びろ!」

――ギギギギッ!

金属の伸びる異音と共に、如意棒がみるみる長さを増す。
5メートル、7メートル、やがて10メートルにも達し、場外まで届きそうな巨大な棍棒へと変貌した。

観客がどよめく。
「でけぇぇぇ!」「あんなの反則だろ!」

サスケは誇らしげに言い放った。
「この如意棒は所有者の力量で伸ばせる距離が変わる。これが今の俺の全力――最大の長さだ!」

志雄は肩で息をしながら、それを見上げる。
「……これでも十分長ぇよ……」


「八極連打あぁーーー!!」

再び嵐のような打撃が襲いかかる。今度はリーチが伸び、死角などない。
空中から、側面から、死神の鎌のように振り下ろされる棍棒。

(……このまま距離を取っても逆効果だ……! 確実にクリティカルヒット食らう……)

志雄の脳裏に電撃のように閃きが走る。
(確かに如意棒はリーチが武器だ。だが――逆に言えば近距離はどうだ? 近距離に持ち込めば、長所は活かせない!)

口角がわずかに上がる。
(勘でいい……俺の勝機はそこにある!)


志雄は拳を握り直し、一直線にサスケの攻撃へと突っ込んでいった。

「なっ、正気か!?」
観客が悲鳴を上げる。

八極連打の円弧が交わり、一点に収束する直前――志雄は足に闘気を一点集中させ、爆発的な踏み込みでその“円”の隙間を潜り抜けた。

「――っ!」
衝撃波が髪をなびかせ、背中に擦過する。しかし彼の瞳は真っ直ぐサスケだけを見据えていた。

「なにぃ!?」
サスケの驚愕の声が響く。

志雄は至近距離に躍り出る。
「悪いな……この勝負、俺の勝ちだ!」

拳を引き絞り、全身の闘気を右腕に纏わせる。

「龍神拳――龍閃ッ!!」

――ドガァァァァァン!!

衝撃音と共に、サスケの腹部にクリーンヒット。
巨体が宙を舞い、数メートル後方へ吹き飛ぶ。

「かはぁっ!」
サスケの口から血が飛び散り、身体は無様に場外へ転がり落ちた。


「場外っ!」
審判が手を振り上げる。
「この試合の勝者――篝志雄!!!」

観客席は割れんばかりの大歓声に包まれた。
「うおおおお!!」「やったぞ!!」「まじで勝ちやがった!」

志雄は荒い呼吸を繰り返し、力が抜けたようにその場へ尻もちをつく。
「……はぁー……疲れた……」

ツムギが目を潤ませながら両手を叩く。
「さすが志雄くんです!」

氷河は小さく笑みを浮かべた。
「……何とかなったな」

そして観客席の隅。
黒いフードを深く被った悠木が、ステージを見つめながら口元を歪める。
「……益々こいつと戦うのが楽しみだな」

歓声と熱狂に包まれたまま、第一回戦は幕を閉じた。
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