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蛇を巻かずんば人にあらず
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デフォルト設定。
これは何も、ソフトウェアやハードウェアの初期設定だけを指しているわけではない。
私たちが生きる人間社会においても、誰かが明確に口にしなくともデフォルト設定というものはうっすらとあるのだ。
今からご紹介する1人の少女の話は、何の因果か、あるデフォルト設定とそれにまつわる記憶が、何の前ぶれもなく突然に壊れてしまったがために起こった悲劇である。
※※※
日本。
ミドリ(14才)はいつもの朝と同じく、自室のベッドで目を覚ました。
彼女は、友達もそれなりにいて、勉強もそこそこ頑張り、そして片思いではあるが思春期の少女ならでは甘酸っぱい恋もしている、ごく普通の女子中学生であった。
自室での身支度を素早く済ませた彼女は、”何かを”忘れているような違和感を感じたも、通学鞄を肩にかけ階下へと下りていく。
この時間、彼女の父はすでに出勤している。よって、一人っ子であるミドリは、朝は母としか顔を合わすことはない。
「おはよー、お母さん」
ミドリは、目玉焼きとベーコンと香ばしい匂いの中心部にいるであろう、母へのいつもの挨拶を行った。
「あら、おはよう」
母もいつも通り、ミドリへと挨拶を返してくれた。そう、いつもの朝と何ら変わることのない調子で……
けれども――
「きゃあああああ!!!」
キッチンにて、熱々のフライパンを握っている母の姿を見たミドリは、驚きと恐怖のあまり、ビックウウウと飛び上がった!
誇張などではなく、この時のミドリは、本当に床から10cm以上は飛びあがっていたであろう。
なぜなら――
「お、お、お、お母さん……っ!!! なんで、なんで首に蛇なんて巻いてんのっ?!!」
母は首に蛇を巻きつけていたのだ。
全体的に茶褐色で、まっすぐにも程がある縦線が背中に数本走っており、その鱗を不気味に光らせている蛇を、まるでストールであるかのように巻き付けていたのだ!
しかし、首に蛇を巻いている当の本人である母の様子には恐怖も緊張も嫌悪など微塵も見当たらない。ごく普通に朝食を作っている家庭の主婦そのものといった感じであった。
「何、朝っぱらからバカのこと言ってんの。”いつもと同じ”でしょ。そもそも、ミドリ……あんた、自分の蛇はどうしたの?」
「……何? 何なの? 自分の蛇って、何のこと?!」
ガスレンジの火をカチッと止めた母は、心配そうな顔でミドリへと近づいてきた。
だが、ミドリは後ずさる。後ずさりをせずにはいられない。
母からではなく、母が首に巻いている蛇からだ。割れた赤い舌をチロチロと得意気にのぞかせている蛇からだ。
「いやだ! いやだあああ! 来ないでええ!!」
「どうしたの?! ミドリ!! 待ちなさい!! せめて”ちゃんと蛇を巻いてから”学校に行きなさい!!!」
母の言葉が最後まで終わらぬうちに、通学鞄を右肩にかけたままのミドリは家を飛び出していた。いや、逃げ出していた。
朝ご飯を食べるどころか、顔すらまだ洗っていない。それに、歯も磨いていないから、寝起きの口臭だって少し気になる。でも、そんなことを気にしている場合じゃない。
――お母さんの頭がおかしくなっちゃった! なんで、首に蛇なんて巻いて平然としてるの?!
母が精神に異常をきたしてしまったかもしれないというショックに、ミドリは半泣きになりながら駆け続けた。
しかし、大抵のことには分別のつく中学生とはいえ、ミドリはまだまだ子供であった。わき目も振らずに駆け続けた彼女の足が真っ先に行き着いた先は、やはり彼女が通う中学校であったのだから。
ミドリの通う中学校は、虐めや校内暴力などとは無縁であった。例えるなら、ほのぼのとした田舎の中学校といった風であるだろう。
けれども、ほのぼのとしているはずの学び舎において、ミドリの濡れた視界をニョロニョロと埋め尽くし、これ以上はないほどに粟立たせる恐ろしい光景が広がっていた。
皆、皆、皆……首に蛇を巻いているのだ。
生徒、教員の区別なく、皆、それぞれの首に巻いた蛇と1セットでミドリの目に移り込んできているのだ!
蛇、蛇、蛇、蛇、蛇、蛇…………!!!!!
「うああああああ!!!」
ミドリの大絶叫に、近くにいた生徒たちと各自の首に巻かれていた蛇たちまでもが驚いて、ミドリを振り返った。
彼らと蛇たちの視線を潜り抜け、ミドリは廊下を駆けた。自分が所属している2年B組の教室を目指して……
いつも一緒にいる仲良しグループの3人、アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんたちの姿を探して……
教室の中に、アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんの姿はすでにあった。
しかし、”他の者たちと同じく”首に蛇を巻き付けている彼女たち3人とも、ミドリの姿を見てギョッとした。
「ミドリ!? あんた、蛇は?!」
「ちょ、ちょっとヤバいよ! 早く巻いた方がいいって!」
「いったい、どうしたのよ!?」
その”いったい、どうしたのよ?”は、ミドリが心の中で叫んだ台詞であった。
――あんたらこそ、いったい、どうしたのよ?! なんで、そんなに平然として首に蛇を巻いてんのよぉ!?!
彼女たちの顔には、朝のミドリの母と同じく恐怖や緊張や嫌悪などは微塵も見当たらず、まるでごく普通にマフラーでも巻いているかのようであった。そう、このうえなく不気味で悪趣味な世界一恐ろしいマフラーを。
さらに追い打ちにかけてきたのは、ミドリの背後から聞こえてきた声であった。
「おい、見ろよ。あいつ」
「なんで、蛇、巻いてないんだ?」
「”女のくせに”信じらんねー」
同じクラスの馬鹿男子どもだ。
振り返ったミドリの目に映った男子どもも、それぞれの首に蛇をニョロニョロと巻きつけていた。
その男子どもの輪の中には、ミドリがキュンキュンとした恋心を抱いているクラス一のイケメン、ニシキノくん(14才)の姿もあった。網目模様の太い蛇を――彼の二の腕ぐらいあるのではと思う太さの蛇を首に巻いているニシキノくんの姿が……
「”人前に出る時は首に蛇を巻くのが身だしなみ”だってのに」
「おい、アニメ『銀〇』のタイトルみたいな言い方するなよ」
馬鹿男子の1人があげた声に、ドッと笑い声が湧いた。そして、ニシキノくんも苦笑いをしていた。
――何? 何なの? 首に蛇を巻くことが、身だしなみ……エチケットとでもいうの? 顔を洗うとか、髪を梳かすとか、口臭や体臭を気にするとか、そういった類のことなの?!
「ミドリ! 早く、自分の蛇、巻きなって! その鞄の中に連れてきてるんでしょ!? 生活指導の先生に見つかったら、まずいよ!」
シマちゃんの焦る声を、ミドリはどこか遠くで聞いている気がしていた。
しかし、である。
ミドリが自身の右肩にかけっ放しの通学鞄から発せられている”怪しい物音”は、やけに大きく響いてきていた。
そうだ。今まで自分の目に飛び込んでくる恐ろしい蛇たちにばかり、心臓をギュッギュッと縮めさせられてしまっていたが、鞄や制服ごしとはいえ、まさか、ずっと”密着せんばかりの距離”に……
震えが止まらぬミドリの手が、通学鞄のジッパーへとかかる。
「ひあっ……ぎいゃあああああああ!!!」
バッと放り投げた鞄の中より、鮮やかなまでの緑色の蛇――ミドリの名前と合わせたとでもいうのか”グリーンパイソン”がニュルウッと這い出てきた!
奴は、ミドリの筆箱や教科書、ノート、クリアファイル、手鏡、櫛、リップクリームとともに、ずっと鞄の中にいたのだ。
「なんだ、ちゃんと連れてきてるじゃん」
すっと身をかがめたアオちゃんが手を伸ばし、素手で”普通に”グリーンパイソンをムンズと拾い上げた。
「いやっ!!! いやああああああ――っっ!!!」
絶叫とともにミドリは、教室からもダッシュで逃げ出していた。
いつもアオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんたちと仲良く楽しい時間を過ごしていたはずの教室から。時折、ニシキノくんと目が合ったりして胸をキュンキュンと高鳴らせる瞬間があったはずの教室から。
あのままの流れでは……ミドリの意志にかかわらず、恐ろしくて気持ち悪いにも程がある、あの緑色の蛇を首に巻かざるを得なくなるというか、強引に巻きつけさせられてしまう状況へと追い込まれてしまうことは確実である。
母と蛇がいる家にも帰れず、どこにも行く当てなどなく、町を走り回る――いや、逃げ回るしかないミドリであったが、どこに行っても、彼女の全身の肌の表面積を100%鳥肌立たせる、異様であり恐ろしい光景ばかりに四方八方を囲まれてしまったのだから。
けれども、道行く人たちは、もうとっくに学校は始まってる時間であるというのに中学校の制服姿のまま”首に蛇を巻いてもおらず”エグエグと泣き続けているミドリこそが、異様な存在であるかのように、訝し気な視線を向けていた。
綺麗に化粧をしたOLの女性たちも、パリッとしたスーツに身を包んだサラリーマンも、誰しもが、首に蛇を巻いていた。
彼女たちはmy snakeとともに、通勤途中であることは明白であった。
「おい、噛むなよ。こいつぅ♪」
といううれしそうな声にミドリが振り返ると、大学生風の優しそうな男性の耳たぶに、彼が首に巻いている毒々しい色の蛇がカプッと噛みついていた。
――なんで、子犬とじゃれ合うように、蛇とじゃれ合ってんのよ! 蛇って種類にもよるけど、猛毒、持ってんじゃないの!?
「お嬢ちゃん、いったい、どうしたの?」
という心配そうな声にミドリが振り返ると、ミドリの母と同年代ぐらいのコロコロとした体型のおばちゃんが立っていた。おばちゃんの首にも、”もちろん”蛇はしっかりと巻かれていた。ミドリの母が首に巻いていた蛇と、よく似た色合いの蛇であった。
「何があったのか知らないけど、蛇はきちんと巻いとかなきゃいけないよ……そうだ! おばちゃん、今、鞄の中に”蛇ちゃん”入れてるから、おばちゃんの”蛇ちゃん”1匹お嬢ちゃんにあげるね」
そういったおばちゃんは、腕にかけていた布バッグに手を突っ込み、ゴソゴソと探り……
「いりませんっ!! 絶対にいりませんっっ!!!」
ミドリは脱兎のごとく、逃げ出した。
”なんで飴ちゃん持ち歩くように鞄に蛇を入れて持ち歩いとんねん!”と心の中でツッコミを入れながら――
狂ってしまった。
世界が狂ってしまっていた。
この世界の中には、蛇など爬虫類愛好家がいることをミドリは”知っていた”。
それに、普段はそれほど蛇などとはそれほど接点を持つことはなくとも、旅行先などで蛇を首に巻いたショットを記念に撮影する人たちだっていることも。
けれども、そういった非日常ではなく、自分以外の者は皆、”日常的に”首に蛇を巻きつけている。
まるで、それが人間社会におけるデフォルト設定であるかのように。
そのデフォルト設定に、本能的嫌悪と本能的恐怖で逆らっているミドリこそが、他人から見れば異分子であった。
道端でしゃがみ込んでしまったミドリ。
その時、彼女は制服のスカートのポケットの中に入れっぱなしであったスマホの存在に思い出した。
もしかして、とミドリは一縷の希望をスマホに託す。
世界が狂ってしまったと思ったけど、もしかしたら、狂ってしまってたのはミドリの生活圏内だけで、他の地域ではいつも通りの日常――”蛇を首に巻くことなんてない日常”が営まれているかもしれないと。
必死でスマホ画面へと指を滑らせ、連打し続けるミドリであったが、どこまでいっても、開かれているネットの扉から溢れ出してくるのは絶望であり”無数の蛇たち”であった。
蛇たちは、ネット社会にもすでにはこびっていた。
政治家も、文化人も、芸能人も、スポーツ選手も、アナウンサーも、ユー〇ューバーも皆、”ごく普通に”首に蛇を巻いている。
スポーツ選手は競技の邪魔になったりしないか、また芸能人の中でも激しい動きが売りのダンスグループなどは首から蛇が振り落とされたりしないか、またアナウンサーなどもニュース内容よりも蛇の動きの方が気になって視聴者の気が散らないか、と様々な疑問は尽きることなく生じるも、皆、”ナチュラルに”蛇をまとっていた。
とある男性ダンスグループの新曲PVを再生すると、人間のダンスの動きに合わせて、蛇たちも動きをしっかり揃えており、これはこれでカッコよくも見えてしまった。
蛇にも芸能人枠があったというのか?
蛇はこんなダンスっぽい動きを覚えられるほど視力や耳が良かった”はずがない”。
そもそも、蛇というものは犬や猫みたいにこれほど人に懐くものであったのか?
ミドリは思い出す。
この男性ダンスグループの新曲PVを観るのは初めてではない。数日前にも観たことを覚えている。その時は、彼らが蛇と一緒に踊ることについては何とも思わなかったはずだ。
Tw〇tter検索をしてみると「私も、ついにモデルの○○ちゃんが首に巻いているのと同じお洒落なボーダー柄のスネークにしちゃいました♪」とか「兄貴の”長虫(蛇の異称)たちの集合光景”は圧巻! なんと200匹以上! たまに俺も蛇を借りて二匹重ね、三匹重ねでお洒落してます」とか、信じられない言葉ばかりがミドリの目の中でのたうった。
しかし、やはりミドリがTw〇tter検索を行うことも、今日が初めてではない。昨夜、眠りにつく前まではごく普通に行っていたのだ。そして、何の疑問も持たずに、これらとよく似た内容の言葉を目で追っていたはずだ。
ミドリは、スマホに保存している写真データを呼び出す。
アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんと撮ったたくさんの写真を、スマホに保存しているはずだ。
「!!!」
予測通りだ。
彼女たち3人の首にはそれぞれの蛇がしっかりと巻かれていた。だが、”やはり”彼女たちだけじゃない。ミドリ自身もあの緑色の蛇を――グリーンパイソンを首にニュルルンと巻きつけ、心からの笑顔でピースサインをしていたのだから。
そういった写真は、1枚だけでなく何枚もあった。
ミドリの昨夜までの日常は、他の人たちと同様、確かに蛇とともにあったのだ。
ミドリはさらに指を動かし続けた。
つたない歴史の知識でしかないが、ミドリは歴史上において、蛇による毒で死んだとされている人がいることぐらいは知っていた。
代表的なところでは、古代エジプトのプトレマイオス朝最後の女王&絶世の美女・クレオパ〇ラ7世とか……
しかし、Wikipe〇iaに記載されている彼女の死因は蛇ではなくなっている。
それどころか、蛇という生き物には毒自体ないと……
さらに、蛇は特定の地域や場所に生息しているわけでもなく、冬眠することもないと!
「嘘よ! こんなの嘘よ! だって、コブラとか、クサリヘビとか、ブラックマンバとか……猛毒を持っている蛇がいるってこと、中学生の私だって知ってるもの! 年がら年中、そこら辺に”ごく普通に”蛇なんているわけがないって知っているもの!」
おかしい。
絶対におかしい。
今朝になっていきなり、ミドリの中における蛇に対して”デフォルト設定が”いきなり壊れてしまい、蛇にとてつもない本能的嫌悪と本能的恐怖を感じるようになってしまった。その壊れてしまった設定に”蛇についての出鱈目な知識や記憶を上書きされた”としかしか思えない。
たとえ、”毒を持った蛇などいない”&”蛇は犬や猫みたいに人間の身近にいる生物である”ことが、この世界における真実であったとしても……
蛇は気持ち悪い。蛇は恐ろしい。蛇は……
「やだやだやだやだーっ!! 絶対に絶対に絶対にいやだあああああああ!!!」
ミドリは泣き叫んだ。
蛇・蛇・蛇だらけの恐ろしい日常。
しかし、地獄よりもある意味恐ろしいであるこの世界から逃げ出そうにも、どこに逃げろというのだ?
その時――
前方より不意に近づいてきていた足音に、ミドリはハッと顔を上げた。
「君……中学生だね。今は、学校の時間でしょ。こんなところで何してんの?」
警察官の制服を着た男性が2人、そして、彼らの首に巻きつき”警察蛇”ならではの鋭い眼光を鱗の中でギロリと光らせている2匹の蛇たちであった。
※※※
結論から言うと、ミドリはなんとか補導されずには済んだ。
しかし、”訳の分からない”大パニックを起こしての学校からの出奔したということで、しばらくの間、自宅で安静に、場合によっては心療内科での受診も検討するもということで話が進んでいるようであった。
アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんが、ミドリの通学鞄を家まで届けてくれていたらしかった。さらに言うなら、彼女たちはあの”グリーンパイソン”をも、届けてくれていた。
ベッドの中で布団にくるまったまま、ミドリは震え続けていた。
この部屋の中には、蛇はいない。
しかし、同じ屋根の下に蛇はいる。少なくとも2匹の蛇が。
父はまだ仕事から帰ってきていない。しかし、蛇を首に巻いたままの母は、夕食を作っている最中であるだろう。
玄関が開く音がした。
父が帰宅したらしかった。
――……お父さんも首に蛇巻いてるよね、やっぱり……!
蛇に睨まれた蛙のごときミドリの恐怖と硬直状態など知らず、階段をトントンという軽快なリズム音とともに上がってくる父。
「おーい、ミドリ。具合は大丈夫か?」
父はノックもせずに、思春期真っ只中にある娘・ミドリの部屋のドアをガチャッと開けた。
「!!!!!!! ……お、お父さん……そ、それ……っ!!!」
「ん? どうした?」
父は平然とした顔で、ミドリへと歩み寄ってくる。首に巻いた蛇とともに。
父が蛇を首に巻いていること自体は、想定内といえば想定内であった。しかし、しかし、父が首に巻いている蛇の種類が想定外にも程があった!!!
なぜ、日本にごく普通に”この蛇”がいる?!
蛇についてのそう詳しい知識もない”はず”のミドリですら知っている蛇。
あまりにも抜きん出た特徴があり過ぎる蛇。
「そ、そ、それって……コッ……コブ……ッ!!!」
丸い頭部に”頚部の皮膚をグワッと広げ”、父の肩ごしにミドリをジイイイッと光無き眼で見ているのは、まごうことなきコブラ科の蛇であった!!!
本日、幾度目か分からぬ悲鳴であり、なお最大級の絶叫をほとばしらせたミドリ。
彼女は、ごく普通の会社員である父のmy snake・”キングコブラの登場”によって止めをさされたかのごとく、ついに白目を剥いて失神した。
※※※
数週間にわたり、自室に閉じこもったままのミドリは、この現実が夢であることだけを願って昼夜問わず、眠りについていた。
しかし、神様は”夢オチ”などといったプレゼントをミドリに届けてくれはしなかった。蛇を首に巻くことがない日常が営まれているはずの”パラレルワールド”にも、ミドリを戻してくれもしなかった。
ミドリの世界には、神様などいなかった。
いるのは、恐ろしい蛇だちだけだ。
部屋の扉がノックされた。
「ミドリ……今日こそ、きちんと話をしよう」と母の声。
「……分かったよ! ちゃんと話すよ! だから、お母さん、お願い! お母さんの首に巻いているシマヘビは私の部屋には絶対に入れないで! もちろん、あのグリーンパイソンも!!!」
ミドリは叫んだ。
首に蛇を巻いていない母は、幾分か痩せたようであった。
それもそのはず、今までごく普通の女子中学生であった娘が、いきなり”ワケの分からないこと”を言い始め、不登校の引きこもりに突入し始めたのだから。
予期せぬ子育ての壁なるものに、母はやつれていた。
「いったい、どうしたの? なんで、”いきなり”首に蛇を巻かないようになったの?」
巻かない――巻きたくないだけじゃない。
”生で”この視界に入れるのも気持ちが悪いし、怖いのだ。
正直、嫌悪よりも恐怖の方が勝っている。
「なんでって……お母さんは怖くないの? 気持ち悪くないの? だって、蛇だよ。蛇なんだよ? 四六時中、首に蛇なんて巻き付けてんだよ?」
「…………? 本当に何言ってるの? 何度も言うけど、それって当たり前のことじゃない。お母さんだけじゃなくて、おじいちゃんも、おばあちゃんも、ひいおじいちゃんも、ひいおばあちゃんも、皆、蛇を首に巻いて生きてきたんだから。現にミドリだって、今まではずっと蛇を首に巻いて暮らしてたじゃない。あのグリーンパイソンだって、自分の名前と共通項があるからってミドリ自身が選んだんじゃない」
自分自身がグリーンパイソンを選んだという記憶すら、ミドリの中ではすでに壊れていたため、思い出せるはずなどなかった。
「お母さん……じゃあ、聞くけど、あんなに可愛い犬や猫があまり好きでないって人はいるよね。だから、蛇が好きじゃない、怖いって人がいてもおかしいことじゃないじゃない! 私は蛇を首に巻くのはもちろん、触りたくもないの! 視界にも入れたくないのよ」
「ミドリ……”犬や猫ならともかく”この世に『蛇を嫌い、蛇を怖い』って思う人なんているわけないじゃない。そもそも、蛇って好きとか嫌いとかって考えるような生き物じゃないでしょう。私たちが生きていくために必要な空気というものが好きですか? 嫌いですか?って聞いているようなものよ」
母が言っていることはものの例えだとしても、蛇と空気を同列に扱うことは、ミドリには絶対に無理だ。
蛇は恐ろしい生き物であるのがデフォルト設定となってしまったミドリの言っていることは、”蛇は人間の日常生活とともにある”というデフォルト設定のままの母に通じるわけなどなかった。
もう駄目だ。
話はずっと平行線でしかないだろう。
母相手だけでなく、この世界に生きる自分以外の全ての者とに、ミドリの嫌悪や恐怖は永遠に通じやしない。
世界の中には様々な恐怖がある。
けれども、蛇に対するデフォルト設定が自分だけ壊れ、”誤った情報を滅茶苦茶に刷り込まれ”てしまったがゆえの孤独という恐怖、分かりあえる者が誰一人としていない恐怖のただなかに、まだ14才のミドリはたった1人でいるのだ。
「お願い……元のミドリに戻って……このままだと高校にもいけないわよ」
ついに、母の目から涙がこぼれ落ちた。
ミドリだって高校に行きたい。皆と一緒に中学を卒業したい。
クラスの皆からの寄せ書きも、ミドリの元に届けられていた。アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんはもちろんのこと、ニシキノくんからのメッセージだって寄せ書きにあった。
ミドリが不登校となってから、まだ日が浅いため、今はクラスの皆も心配してくれている。だが、これから受験だの、高校入学後の新生活などで、ただの元クラスメイトの1人でしかなかった自分のことなど、皆、忘れてしまうだろう。
ネット上において「首に蛇を巻かない人なんて信じられない。身だしなみっていうか人としてあり得ない」といった書き込みまでをも、部屋に閉じこもったミドリはスマホで確認していた。
”蛇を巻かずんば人にあらず”といった人間社会だ。
デフォルト設定が壊れてしまった機械は、修復の上、直らなかったら、使い物にならないため処分されるだろう。
しかし、デフォルト設定が滅茶苦茶に壊れてしまった人間はどうなる? この人間社会においてどうなる?
「お母さん……お願いがあるの」
この部屋に閉じこもったまま、”恐怖の蛇+人間たち”から遠ざかることを選択するか、それともデフォルト設定から永久に壊れたままであっても人間社会で生きるために必死でのたうち続けることを選択するかを、ミドリはついに決断したのだ。
※※※
ミドリは、きちんと登校するようになった。
幸いにしてクラスの皆は、ミドリを温かく迎え入れてくれた。
あの日、ミドリをからかった馬鹿男子どもも「悪かったな」「ごめん」とバツが悪そうな顔で、首に蛇を巻いたまま謝ってくれた。
首にめいめいの蛇を巻いたクラスの皆の中に、”頬が極限まで引き攣ったままのミドリ”も首に蛇を巻いて溶け込もうとしていた。
ミドリが首に巻いているのは、以前までのmy snakeだったらしいグリーンパイソンではなかった。
あの緑色は生々しすぎるから、そして眼光も鋭く胴体も太くて怖いからと、白っぽい感じの鱗+つぶらな瞳+胴体が細めタイプの蛇を母に用意してもらったのだ。
あのグリーンパイソンは、家族になる縁があったのだからと、留守番犬ならぬ留守番蛇となって家にいる。母は、時折、ネックレスでのお洒落を楽しむがごとく、シマヘビとグリーンパイソンの重ね付けをしていた。
ミドリの肌に触れる蛇の感触は思ったよりヌルヌルもベタベタもしていなかった。ひんやりとしているうえに妙に弾力があった。
時折、ほっぺたを赤い舌でチョロリチョロリン♪と舐められたりもする。
学校の校則で、蛇の重ね付けは禁止となっているため、皆、1匹の蛇しか巻くことはできない。
周りのクラスメイトたちを見回すと、女子たちは肩や首への負担を考えてか、細めタイプの蛇を巻いている子が多い傾向にあるようであった。
反対に、男子たちはぶっとい蛇を巻いている子が圧倒的多数であった。
ミドリの思い人、ニシキノくん自身は相変わらずイケメンだ。けれども、彼が巻いている学年でも一二を争うほどにぶっといニシキヘビは、鱗模様も眼つきも相当に恐ろしすぎて彼の半径3メートル以内にミドリは絶対に近づけない。
孤独よりも”本能的恐怖”と戦い、この命が尽きるまで地を這うがごとくのたうち続けることを選んだミドリ。
”蛇を巻かずんば人にあらず”といった人間社会で生きていくしかないために。
この選択が、彼女にとってより良いものであるのかどうかは誰にも分からない。そう、きっと彼女自身にも……
ただ、授業中や定期試験中に蛇たちが立てているシューシューという音に鳥肌だったとしても、前の席に座っている生徒が首に巻いている蛇がうれしそうにミドリにじゃれついてきたりしたとしても、夕飯の時間に父のキングコブラが何の前触れもなく頚部の皮膚をキシャーッと広げ始めても、就寝中にベッドの中でmy snakeにニョロニョロと好き勝手に這いまわられたとしても、今日もミドリは極限の恐怖に引きつった顔で首に蛇を巻き続けるのだ。
巻き続けるしかないのだ。
自分の中のデフォルト設定がこれ以上、壊れないことを祈りながら……
―――fin―――
これは何も、ソフトウェアやハードウェアの初期設定だけを指しているわけではない。
私たちが生きる人間社会においても、誰かが明確に口にしなくともデフォルト設定というものはうっすらとあるのだ。
今からご紹介する1人の少女の話は、何の因果か、あるデフォルト設定とそれにまつわる記憶が、何の前ぶれもなく突然に壊れてしまったがために起こった悲劇である。
※※※
日本。
ミドリ(14才)はいつもの朝と同じく、自室のベッドで目を覚ました。
彼女は、友達もそれなりにいて、勉強もそこそこ頑張り、そして片思いではあるが思春期の少女ならでは甘酸っぱい恋もしている、ごく普通の女子中学生であった。
自室での身支度を素早く済ませた彼女は、”何かを”忘れているような違和感を感じたも、通学鞄を肩にかけ階下へと下りていく。
この時間、彼女の父はすでに出勤している。よって、一人っ子であるミドリは、朝は母としか顔を合わすことはない。
「おはよー、お母さん」
ミドリは、目玉焼きとベーコンと香ばしい匂いの中心部にいるであろう、母へのいつもの挨拶を行った。
「あら、おはよう」
母もいつも通り、ミドリへと挨拶を返してくれた。そう、いつもの朝と何ら変わることのない調子で……
けれども――
「きゃあああああ!!!」
キッチンにて、熱々のフライパンを握っている母の姿を見たミドリは、驚きと恐怖のあまり、ビックウウウと飛び上がった!
誇張などではなく、この時のミドリは、本当に床から10cm以上は飛びあがっていたであろう。
なぜなら――
「お、お、お、お母さん……っ!!! なんで、なんで首に蛇なんて巻いてんのっ?!!」
母は首に蛇を巻きつけていたのだ。
全体的に茶褐色で、まっすぐにも程がある縦線が背中に数本走っており、その鱗を不気味に光らせている蛇を、まるでストールであるかのように巻き付けていたのだ!
しかし、首に蛇を巻いている当の本人である母の様子には恐怖も緊張も嫌悪など微塵も見当たらない。ごく普通に朝食を作っている家庭の主婦そのものといった感じであった。
「何、朝っぱらからバカのこと言ってんの。”いつもと同じ”でしょ。そもそも、ミドリ……あんた、自分の蛇はどうしたの?」
「……何? 何なの? 自分の蛇って、何のこと?!」
ガスレンジの火をカチッと止めた母は、心配そうな顔でミドリへと近づいてきた。
だが、ミドリは後ずさる。後ずさりをせずにはいられない。
母からではなく、母が首に巻いている蛇からだ。割れた赤い舌をチロチロと得意気にのぞかせている蛇からだ。
「いやだ! いやだあああ! 来ないでええ!!」
「どうしたの?! ミドリ!! 待ちなさい!! せめて”ちゃんと蛇を巻いてから”学校に行きなさい!!!」
母の言葉が最後まで終わらぬうちに、通学鞄を右肩にかけたままのミドリは家を飛び出していた。いや、逃げ出していた。
朝ご飯を食べるどころか、顔すらまだ洗っていない。それに、歯も磨いていないから、寝起きの口臭だって少し気になる。でも、そんなことを気にしている場合じゃない。
――お母さんの頭がおかしくなっちゃった! なんで、首に蛇なんて巻いて平然としてるの?!
母が精神に異常をきたしてしまったかもしれないというショックに、ミドリは半泣きになりながら駆け続けた。
しかし、大抵のことには分別のつく中学生とはいえ、ミドリはまだまだ子供であった。わき目も振らずに駆け続けた彼女の足が真っ先に行き着いた先は、やはり彼女が通う中学校であったのだから。
ミドリの通う中学校は、虐めや校内暴力などとは無縁であった。例えるなら、ほのぼのとした田舎の中学校といった風であるだろう。
けれども、ほのぼのとしているはずの学び舎において、ミドリの濡れた視界をニョロニョロと埋め尽くし、これ以上はないほどに粟立たせる恐ろしい光景が広がっていた。
皆、皆、皆……首に蛇を巻いているのだ。
生徒、教員の区別なく、皆、それぞれの首に巻いた蛇と1セットでミドリの目に移り込んできているのだ!
蛇、蛇、蛇、蛇、蛇、蛇…………!!!!!
「うああああああ!!!」
ミドリの大絶叫に、近くにいた生徒たちと各自の首に巻かれていた蛇たちまでもが驚いて、ミドリを振り返った。
彼らと蛇たちの視線を潜り抜け、ミドリは廊下を駆けた。自分が所属している2年B組の教室を目指して……
いつも一緒にいる仲良しグループの3人、アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんたちの姿を探して……
教室の中に、アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんの姿はすでにあった。
しかし、”他の者たちと同じく”首に蛇を巻き付けている彼女たち3人とも、ミドリの姿を見てギョッとした。
「ミドリ!? あんた、蛇は?!」
「ちょ、ちょっとヤバいよ! 早く巻いた方がいいって!」
「いったい、どうしたのよ!?」
その”いったい、どうしたのよ?”は、ミドリが心の中で叫んだ台詞であった。
――あんたらこそ、いったい、どうしたのよ?! なんで、そんなに平然として首に蛇を巻いてんのよぉ!?!
彼女たちの顔には、朝のミドリの母と同じく恐怖や緊張や嫌悪などは微塵も見当たらず、まるでごく普通にマフラーでも巻いているかのようであった。そう、このうえなく不気味で悪趣味な世界一恐ろしいマフラーを。
さらに追い打ちにかけてきたのは、ミドリの背後から聞こえてきた声であった。
「おい、見ろよ。あいつ」
「なんで、蛇、巻いてないんだ?」
「”女のくせに”信じらんねー」
同じクラスの馬鹿男子どもだ。
振り返ったミドリの目に映った男子どもも、それぞれの首に蛇をニョロニョロと巻きつけていた。
その男子どもの輪の中には、ミドリがキュンキュンとした恋心を抱いているクラス一のイケメン、ニシキノくん(14才)の姿もあった。網目模様の太い蛇を――彼の二の腕ぐらいあるのではと思う太さの蛇を首に巻いているニシキノくんの姿が……
「”人前に出る時は首に蛇を巻くのが身だしなみ”だってのに」
「おい、アニメ『銀〇』のタイトルみたいな言い方するなよ」
馬鹿男子の1人があげた声に、ドッと笑い声が湧いた。そして、ニシキノくんも苦笑いをしていた。
――何? 何なの? 首に蛇を巻くことが、身だしなみ……エチケットとでもいうの? 顔を洗うとか、髪を梳かすとか、口臭や体臭を気にするとか、そういった類のことなの?!
「ミドリ! 早く、自分の蛇、巻きなって! その鞄の中に連れてきてるんでしょ!? 生活指導の先生に見つかったら、まずいよ!」
シマちゃんの焦る声を、ミドリはどこか遠くで聞いている気がしていた。
しかし、である。
ミドリが自身の右肩にかけっ放しの通学鞄から発せられている”怪しい物音”は、やけに大きく響いてきていた。
そうだ。今まで自分の目に飛び込んでくる恐ろしい蛇たちにばかり、心臓をギュッギュッと縮めさせられてしまっていたが、鞄や制服ごしとはいえ、まさか、ずっと”密着せんばかりの距離”に……
震えが止まらぬミドリの手が、通学鞄のジッパーへとかかる。
「ひあっ……ぎいゃあああああああ!!!」
バッと放り投げた鞄の中より、鮮やかなまでの緑色の蛇――ミドリの名前と合わせたとでもいうのか”グリーンパイソン”がニュルウッと這い出てきた!
奴は、ミドリの筆箱や教科書、ノート、クリアファイル、手鏡、櫛、リップクリームとともに、ずっと鞄の中にいたのだ。
「なんだ、ちゃんと連れてきてるじゃん」
すっと身をかがめたアオちゃんが手を伸ばし、素手で”普通に”グリーンパイソンをムンズと拾い上げた。
「いやっ!!! いやああああああ――っっ!!!」
絶叫とともにミドリは、教室からもダッシュで逃げ出していた。
いつもアオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんたちと仲良く楽しい時間を過ごしていたはずの教室から。時折、ニシキノくんと目が合ったりして胸をキュンキュンと高鳴らせる瞬間があったはずの教室から。
あのままの流れでは……ミドリの意志にかかわらず、恐ろしくて気持ち悪いにも程がある、あの緑色の蛇を首に巻かざるを得なくなるというか、強引に巻きつけさせられてしまう状況へと追い込まれてしまうことは確実である。
母と蛇がいる家にも帰れず、どこにも行く当てなどなく、町を走り回る――いや、逃げ回るしかないミドリであったが、どこに行っても、彼女の全身の肌の表面積を100%鳥肌立たせる、異様であり恐ろしい光景ばかりに四方八方を囲まれてしまったのだから。
けれども、道行く人たちは、もうとっくに学校は始まってる時間であるというのに中学校の制服姿のまま”首に蛇を巻いてもおらず”エグエグと泣き続けているミドリこそが、異様な存在であるかのように、訝し気な視線を向けていた。
綺麗に化粧をしたOLの女性たちも、パリッとしたスーツに身を包んだサラリーマンも、誰しもが、首に蛇を巻いていた。
彼女たちはmy snakeとともに、通勤途中であることは明白であった。
「おい、噛むなよ。こいつぅ♪」
といううれしそうな声にミドリが振り返ると、大学生風の優しそうな男性の耳たぶに、彼が首に巻いている毒々しい色の蛇がカプッと噛みついていた。
――なんで、子犬とじゃれ合うように、蛇とじゃれ合ってんのよ! 蛇って種類にもよるけど、猛毒、持ってんじゃないの!?
「お嬢ちゃん、いったい、どうしたの?」
という心配そうな声にミドリが振り返ると、ミドリの母と同年代ぐらいのコロコロとした体型のおばちゃんが立っていた。おばちゃんの首にも、”もちろん”蛇はしっかりと巻かれていた。ミドリの母が首に巻いていた蛇と、よく似た色合いの蛇であった。
「何があったのか知らないけど、蛇はきちんと巻いとかなきゃいけないよ……そうだ! おばちゃん、今、鞄の中に”蛇ちゃん”入れてるから、おばちゃんの”蛇ちゃん”1匹お嬢ちゃんにあげるね」
そういったおばちゃんは、腕にかけていた布バッグに手を突っ込み、ゴソゴソと探り……
「いりませんっ!! 絶対にいりませんっっ!!!」
ミドリは脱兎のごとく、逃げ出した。
”なんで飴ちゃん持ち歩くように鞄に蛇を入れて持ち歩いとんねん!”と心の中でツッコミを入れながら――
狂ってしまった。
世界が狂ってしまっていた。
この世界の中には、蛇など爬虫類愛好家がいることをミドリは”知っていた”。
それに、普段はそれほど蛇などとはそれほど接点を持つことはなくとも、旅行先などで蛇を首に巻いたショットを記念に撮影する人たちだっていることも。
けれども、そういった非日常ではなく、自分以外の者は皆、”日常的に”首に蛇を巻きつけている。
まるで、それが人間社会におけるデフォルト設定であるかのように。
そのデフォルト設定に、本能的嫌悪と本能的恐怖で逆らっているミドリこそが、他人から見れば異分子であった。
道端でしゃがみ込んでしまったミドリ。
その時、彼女は制服のスカートのポケットの中に入れっぱなしであったスマホの存在に思い出した。
もしかして、とミドリは一縷の希望をスマホに託す。
世界が狂ってしまったと思ったけど、もしかしたら、狂ってしまってたのはミドリの生活圏内だけで、他の地域ではいつも通りの日常――”蛇を首に巻くことなんてない日常”が営まれているかもしれないと。
必死でスマホ画面へと指を滑らせ、連打し続けるミドリであったが、どこまでいっても、開かれているネットの扉から溢れ出してくるのは絶望であり”無数の蛇たち”であった。
蛇たちは、ネット社会にもすでにはこびっていた。
政治家も、文化人も、芸能人も、スポーツ選手も、アナウンサーも、ユー〇ューバーも皆、”ごく普通に”首に蛇を巻いている。
スポーツ選手は競技の邪魔になったりしないか、また芸能人の中でも激しい動きが売りのダンスグループなどは首から蛇が振り落とされたりしないか、またアナウンサーなどもニュース内容よりも蛇の動きの方が気になって視聴者の気が散らないか、と様々な疑問は尽きることなく生じるも、皆、”ナチュラルに”蛇をまとっていた。
とある男性ダンスグループの新曲PVを再生すると、人間のダンスの動きに合わせて、蛇たちも動きをしっかり揃えており、これはこれでカッコよくも見えてしまった。
蛇にも芸能人枠があったというのか?
蛇はこんなダンスっぽい動きを覚えられるほど視力や耳が良かった”はずがない”。
そもそも、蛇というものは犬や猫みたいにこれほど人に懐くものであったのか?
ミドリは思い出す。
この男性ダンスグループの新曲PVを観るのは初めてではない。数日前にも観たことを覚えている。その時は、彼らが蛇と一緒に踊ることについては何とも思わなかったはずだ。
Tw〇tter検索をしてみると「私も、ついにモデルの○○ちゃんが首に巻いているのと同じお洒落なボーダー柄のスネークにしちゃいました♪」とか「兄貴の”長虫(蛇の異称)たちの集合光景”は圧巻! なんと200匹以上! たまに俺も蛇を借りて二匹重ね、三匹重ねでお洒落してます」とか、信じられない言葉ばかりがミドリの目の中でのたうった。
しかし、やはりミドリがTw〇tter検索を行うことも、今日が初めてではない。昨夜、眠りにつく前まではごく普通に行っていたのだ。そして、何の疑問も持たずに、これらとよく似た内容の言葉を目で追っていたはずだ。
ミドリは、スマホに保存している写真データを呼び出す。
アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんと撮ったたくさんの写真を、スマホに保存しているはずだ。
「!!!」
予測通りだ。
彼女たち3人の首にはそれぞれの蛇がしっかりと巻かれていた。だが、”やはり”彼女たちだけじゃない。ミドリ自身もあの緑色の蛇を――グリーンパイソンを首にニュルルンと巻きつけ、心からの笑顔でピースサインをしていたのだから。
そういった写真は、1枚だけでなく何枚もあった。
ミドリの昨夜までの日常は、他の人たちと同様、確かに蛇とともにあったのだ。
ミドリはさらに指を動かし続けた。
つたない歴史の知識でしかないが、ミドリは歴史上において、蛇による毒で死んだとされている人がいることぐらいは知っていた。
代表的なところでは、古代エジプトのプトレマイオス朝最後の女王&絶世の美女・クレオパ〇ラ7世とか……
しかし、Wikipe〇iaに記載されている彼女の死因は蛇ではなくなっている。
それどころか、蛇という生き物には毒自体ないと……
さらに、蛇は特定の地域や場所に生息しているわけでもなく、冬眠することもないと!
「嘘よ! こんなの嘘よ! だって、コブラとか、クサリヘビとか、ブラックマンバとか……猛毒を持っている蛇がいるってこと、中学生の私だって知ってるもの! 年がら年中、そこら辺に”ごく普通に”蛇なんているわけがないって知っているもの!」
おかしい。
絶対におかしい。
今朝になっていきなり、ミドリの中における蛇に対して”デフォルト設定が”いきなり壊れてしまい、蛇にとてつもない本能的嫌悪と本能的恐怖を感じるようになってしまった。その壊れてしまった設定に”蛇についての出鱈目な知識や記憶を上書きされた”としかしか思えない。
たとえ、”毒を持った蛇などいない”&”蛇は犬や猫みたいに人間の身近にいる生物である”ことが、この世界における真実であったとしても……
蛇は気持ち悪い。蛇は恐ろしい。蛇は……
「やだやだやだやだーっ!! 絶対に絶対に絶対にいやだあああああああ!!!」
ミドリは泣き叫んだ。
蛇・蛇・蛇だらけの恐ろしい日常。
しかし、地獄よりもある意味恐ろしいであるこの世界から逃げ出そうにも、どこに逃げろというのだ?
その時――
前方より不意に近づいてきていた足音に、ミドリはハッと顔を上げた。
「君……中学生だね。今は、学校の時間でしょ。こんなところで何してんの?」
警察官の制服を着た男性が2人、そして、彼らの首に巻きつき”警察蛇”ならではの鋭い眼光を鱗の中でギロリと光らせている2匹の蛇たちであった。
※※※
結論から言うと、ミドリはなんとか補導されずには済んだ。
しかし、”訳の分からない”大パニックを起こしての学校からの出奔したということで、しばらくの間、自宅で安静に、場合によっては心療内科での受診も検討するもということで話が進んでいるようであった。
アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんが、ミドリの通学鞄を家まで届けてくれていたらしかった。さらに言うなら、彼女たちはあの”グリーンパイソン”をも、届けてくれていた。
ベッドの中で布団にくるまったまま、ミドリは震え続けていた。
この部屋の中には、蛇はいない。
しかし、同じ屋根の下に蛇はいる。少なくとも2匹の蛇が。
父はまだ仕事から帰ってきていない。しかし、蛇を首に巻いたままの母は、夕食を作っている最中であるだろう。
玄関が開く音がした。
父が帰宅したらしかった。
――……お父さんも首に蛇巻いてるよね、やっぱり……!
蛇に睨まれた蛙のごときミドリの恐怖と硬直状態など知らず、階段をトントンという軽快なリズム音とともに上がってくる父。
「おーい、ミドリ。具合は大丈夫か?」
父はノックもせずに、思春期真っ只中にある娘・ミドリの部屋のドアをガチャッと開けた。
「!!!!!!! ……お、お父さん……そ、それ……っ!!!」
「ん? どうした?」
父は平然とした顔で、ミドリへと歩み寄ってくる。首に巻いた蛇とともに。
父が蛇を首に巻いていること自体は、想定内といえば想定内であった。しかし、しかし、父が首に巻いている蛇の種類が想定外にも程があった!!!
なぜ、日本にごく普通に”この蛇”がいる?!
蛇についてのそう詳しい知識もない”はず”のミドリですら知っている蛇。
あまりにも抜きん出た特徴があり過ぎる蛇。
「そ、そ、それって……コッ……コブ……ッ!!!」
丸い頭部に”頚部の皮膚をグワッと広げ”、父の肩ごしにミドリをジイイイッと光無き眼で見ているのは、まごうことなきコブラ科の蛇であった!!!
本日、幾度目か分からぬ悲鳴であり、なお最大級の絶叫をほとばしらせたミドリ。
彼女は、ごく普通の会社員である父のmy snake・”キングコブラの登場”によって止めをさされたかのごとく、ついに白目を剥いて失神した。
※※※
数週間にわたり、自室に閉じこもったままのミドリは、この現実が夢であることだけを願って昼夜問わず、眠りについていた。
しかし、神様は”夢オチ”などといったプレゼントをミドリに届けてくれはしなかった。蛇を首に巻くことがない日常が営まれているはずの”パラレルワールド”にも、ミドリを戻してくれもしなかった。
ミドリの世界には、神様などいなかった。
いるのは、恐ろしい蛇だちだけだ。
部屋の扉がノックされた。
「ミドリ……今日こそ、きちんと話をしよう」と母の声。
「……分かったよ! ちゃんと話すよ! だから、お母さん、お願い! お母さんの首に巻いているシマヘビは私の部屋には絶対に入れないで! もちろん、あのグリーンパイソンも!!!」
ミドリは叫んだ。
首に蛇を巻いていない母は、幾分か痩せたようであった。
それもそのはず、今までごく普通の女子中学生であった娘が、いきなり”ワケの分からないこと”を言い始め、不登校の引きこもりに突入し始めたのだから。
予期せぬ子育ての壁なるものに、母はやつれていた。
「いったい、どうしたの? なんで、”いきなり”首に蛇を巻かないようになったの?」
巻かない――巻きたくないだけじゃない。
”生で”この視界に入れるのも気持ちが悪いし、怖いのだ。
正直、嫌悪よりも恐怖の方が勝っている。
「なんでって……お母さんは怖くないの? 気持ち悪くないの? だって、蛇だよ。蛇なんだよ? 四六時中、首に蛇なんて巻き付けてんだよ?」
「…………? 本当に何言ってるの? 何度も言うけど、それって当たり前のことじゃない。お母さんだけじゃなくて、おじいちゃんも、おばあちゃんも、ひいおじいちゃんも、ひいおばあちゃんも、皆、蛇を首に巻いて生きてきたんだから。現にミドリだって、今まではずっと蛇を首に巻いて暮らしてたじゃない。あのグリーンパイソンだって、自分の名前と共通項があるからってミドリ自身が選んだんじゃない」
自分自身がグリーンパイソンを選んだという記憶すら、ミドリの中ではすでに壊れていたため、思い出せるはずなどなかった。
「お母さん……じゃあ、聞くけど、あんなに可愛い犬や猫があまり好きでないって人はいるよね。だから、蛇が好きじゃない、怖いって人がいてもおかしいことじゃないじゃない! 私は蛇を首に巻くのはもちろん、触りたくもないの! 視界にも入れたくないのよ」
「ミドリ……”犬や猫ならともかく”この世に『蛇を嫌い、蛇を怖い』って思う人なんているわけないじゃない。そもそも、蛇って好きとか嫌いとかって考えるような生き物じゃないでしょう。私たちが生きていくために必要な空気というものが好きですか? 嫌いですか?って聞いているようなものよ」
母が言っていることはものの例えだとしても、蛇と空気を同列に扱うことは、ミドリには絶対に無理だ。
蛇は恐ろしい生き物であるのがデフォルト設定となってしまったミドリの言っていることは、”蛇は人間の日常生活とともにある”というデフォルト設定のままの母に通じるわけなどなかった。
もう駄目だ。
話はずっと平行線でしかないだろう。
母相手だけでなく、この世界に生きる自分以外の全ての者とに、ミドリの嫌悪や恐怖は永遠に通じやしない。
世界の中には様々な恐怖がある。
けれども、蛇に対するデフォルト設定が自分だけ壊れ、”誤った情報を滅茶苦茶に刷り込まれ”てしまったがゆえの孤独という恐怖、分かりあえる者が誰一人としていない恐怖のただなかに、まだ14才のミドリはたった1人でいるのだ。
「お願い……元のミドリに戻って……このままだと高校にもいけないわよ」
ついに、母の目から涙がこぼれ落ちた。
ミドリだって高校に行きたい。皆と一緒に中学を卒業したい。
クラスの皆からの寄せ書きも、ミドリの元に届けられていた。アオちゃん、シマちゃん、ヤマちゃんはもちろんのこと、ニシキノくんからのメッセージだって寄せ書きにあった。
ミドリが不登校となってから、まだ日が浅いため、今はクラスの皆も心配してくれている。だが、これから受験だの、高校入学後の新生活などで、ただの元クラスメイトの1人でしかなかった自分のことなど、皆、忘れてしまうだろう。
ネット上において「首に蛇を巻かない人なんて信じられない。身だしなみっていうか人としてあり得ない」といった書き込みまでをも、部屋に閉じこもったミドリはスマホで確認していた。
”蛇を巻かずんば人にあらず”といった人間社会だ。
デフォルト設定が壊れてしまった機械は、修復の上、直らなかったら、使い物にならないため処分されるだろう。
しかし、デフォルト設定が滅茶苦茶に壊れてしまった人間はどうなる? この人間社会においてどうなる?
「お母さん……お願いがあるの」
この部屋に閉じこもったまま、”恐怖の蛇+人間たち”から遠ざかることを選択するか、それともデフォルト設定から永久に壊れたままであっても人間社会で生きるために必死でのたうち続けることを選択するかを、ミドリはついに決断したのだ。
※※※
ミドリは、きちんと登校するようになった。
幸いにしてクラスの皆は、ミドリを温かく迎え入れてくれた。
あの日、ミドリをからかった馬鹿男子どもも「悪かったな」「ごめん」とバツが悪そうな顔で、首に蛇を巻いたまま謝ってくれた。
首にめいめいの蛇を巻いたクラスの皆の中に、”頬が極限まで引き攣ったままのミドリ”も首に蛇を巻いて溶け込もうとしていた。
ミドリが首に巻いているのは、以前までのmy snakeだったらしいグリーンパイソンではなかった。
あの緑色は生々しすぎるから、そして眼光も鋭く胴体も太くて怖いからと、白っぽい感じの鱗+つぶらな瞳+胴体が細めタイプの蛇を母に用意してもらったのだ。
あのグリーンパイソンは、家族になる縁があったのだからと、留守番犬ならぬ留守番蛇となって家にいる。母は、時折、ネックレスでのお洒落を楽しむがごとく、シマヘビとグリーンパイソンの重ね付けをしていた。
ミドリの肌に触れる蛇の感触は思ったよりヌルヌルもベタベタもしていなかった。ひんやりとしているうえに妙に弾力があった。
時折、ほっぺたを赤い舌でチョロリチョロリン♪と舐められたりもする。
学校の校則で、蛇の重ね付けは禁止となっているため、皆、1匹の蛇しか巻くことはできない。
周りのクラスメイトたちを見回すと、女子たちは肩や首への負担を考えてか、細めタイプの蛇を巻いている子が多い傾向にあるようであった。
反対に、男子たちはぶっとい蛇を巻いている子が圧倒的多数であった。
ミドリの思い人、ニシキノくん自身は相変わらずイケメンだ。けれども、彼が巻いている学年でも一二を争うほどにぶっといニシキヘビは、鱗模様も眼つきも相当に恐ろしすぎて彼の半径3メートル以内にミドリは絶対に近づけない。
孤独よりも”本能的恐怖”と戦い、この命が尽きるまで地を這うがごとくのたうち続けることを選んだミドリ。
”蛇を巻かずんば人にあらず”といった人間社会で生きていくしかないために。
この選択が、彼女にとってより良いものであるのかどうかは誰にも分からない。そう、きっと彼女自身にも……
ただ、授業中や定期試験中に蛇たちが立てているシューシューという音に鳥肌だったとしても、前の席に座っている生徒が首に巻いている蛇がうれしそうにミドリにじゃれついてきたりしたとしても、夕飯の時間に父のキングコブラが何の前触れもなく頚部の皮膚をキシャーッと広げ始めても、就寝中にベッドの中でmy snakeにニョロニョロと好き勝手に這いまわられたとしても、今日もミドリは極限の恐怖に引きつった顔で首に蛇を巻き続けるのだ。
巻き続けるしかないのだ。
自分の中のデフォルト設定がこれ以上、壊れないことを祈りながら……
―――fin―――
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