愛すべき『蟲』と迷宮での日常

熟練紳士

文字の大きさ
98 / 126
第二十五章

第百九話:苦しみの向こう(5)

しおりを挟む
◆一つ目:『闇』の使い手
********************************************



 瀨里奈ハイヴの処刑場。クロッセル・エグザエルとの決戦を想定して作った場所だ。とはいっても、ちょっとした細工しか施されていない。広いだけの空間。日の光が届かないこの場所は、私の可愛い蟲である蛍蟲がライト代わりになってくれている。おかげで、昼間のように明るい。

 そして、この場所に今クロッセル・エグザエルがやってきた。

 老練というには若干若いが、あふれ出る威圧感は素晴らしい。まさに、鍛え抜かれた冒険者だと確信できる。だが、それと同時に実に惜しい。それほどの人物がなぜギルドのような組織の犬をしているかだ。

 ・・・・・・・・・いいや、事情は人それぞれか。私だって、ガイウス皇帝陛下と会う前であれば神器をくれるという餌で喜んで犬になっていたかもしれない。

「ようこそ、クロッセル・エグザエル。大した歓迎も出来ず申し訳ないと思うが、我慢してくれ」

「全くその通りだ。ギルドの情報では、多彩な罠が張り巡らされているとの事で準備運動が出来るかと少々期待していたのだがな。だが、よしとしよう」

 本当なら罠を発動させても良かったのだが、どうせ何事も無かったかのようにスルーするんだろう。下手したら設備が破壊されかねない。瀨里奈ハイヴを崩壊させると瀨里奈さんが泣いちゃうからね。

 だから、屋敷の各所に見取り図と此方の待機場所を書いた紙を用意したのだ。これでこの場にこなければ悲しい。

「一応確認しておきたいのだが、目的はこの私かね?それとも我が母であるセリナ・アーネスト・ヴォルドーかね?」

 この処刑場の中央で私の横で椅子に座っているガイウス皇帝陛下の渾身の作品である人型模型。現在は、他の蟲が中にはいって操作しているがな。だから、そんな抜け殻といっても過言でない人型模型が欲しいと言うならくれてやってもいい。

 後、小声でお父様というのは辞めて!! 話が紛らわしくなるから。頭を撫でてあげると嬉しそうにする仕草は可愛いものだね。クロッセル・エグザエルが何やら怪しいという目つきで此方の関係を見るのは辞めて頂こう。

「ギルトとしての目標は、そこにいるセリナ・アーネスト・ヴォルドーだ。だが、それはおまけに過ぎない。『蟲』の使い手をこの手で確実に葬ることこそが目的だ」

「なるほど。だけど、こちらも色々と背負っているものが多くてね・・・死ねないのだよ。だから、今度は勝たせてもらうぞ!!」

 さて、確認も終わったし一応後ろに下がって置いて貰おう。壊れたらガイウス皇帝陛下が悲しむからね。人型模型がトテトテと後方に下がり、壁際の非常扉から出て行った。

 目標が瀬里奈さんのわりに、私の後ろから処刑場を出て行った人型模型を追うつもりはないか。追ってくれた方が背後から仕掛けやすかったのだが、相手も甘くは無いか。存在さえ確認できればそれで十分と言うことかな。

 では、殺し合いをしようじゃないか。

 前回、不覚を取った時は変身前であったが今度は違う。最初から、変身済みだ。しかも、対クロッセル・エグザエル用にチョイスした組み合わせだ。第二形態以上第三形態以下の戦闘力だ。だが、これでいいのだ。

「取り込んだ蟲の特性を自身に付与させる。また、蟲系モンスターの完全洗脳及び新種の蟲系モンスター製造か・・・特別な属性とは良いものだな。その姿はギルドの情報には無かった。だが、結果は変わらんぞ」

「このままやり合えばそうなるだろう。だが、百も承知であろうが・・・この場所で来た時点で貴様の敗北は揺るがないのだよ。これもギルドが迷宮や秘境と呼ばれる場所にいる蟲系モンスターを人体実験用に集めてくれたおかげだ」

 ギルドの秘匿施設を襲撃した際に手に入れた新しい蟲。過酷の環境下でも生存する蟲は多く存在する。そのおかげで手にれたのだ!!

 この耐熱耐圧にのみ特化した丸っこいフォルムこそ、貴様を殺す存在だ!!

「そうか、ならば試させてもらうぞ」

 ズドン

 消えたかと思うような移動速度だ。見失わんぞ!! こちらは複眼に加えて動体視力だって変身前とは桁違いなのだ。だが、相手の速度を見て戦慄せずにはいられない。

 は、早すぎる!!

 目で追えるが肉体がついて行くかは別問題だった。狙いは足か!! こちらの機動力を封じてから嬲り殺しにする気であろう。回避は・・・間に合わない。ならば、一撃受けきって離脱するしかあるまい。

 だ、大丈夫だ。耐熱耐圧特化でも外皮の強度はオリハルコン並だ。骨折はするかもしれないが、耐えられる!! そして、それと同時に相手に合わせてカウンターを決める。

「左足!! 次は、右腕ぇぇぇぇ」

   ブシューー

 えっ!! これでもかと覚悟を決めて耐えると決めたのにその心構えを無かったかのように私の左足が遙か後方に吹き飛んでいった。そして、200メートル以上離れている壁にめり込んだ。

 この私の肉体を一撃粉砕するとは、蛆蛞蝓ちゃんがはじき出した計算結果を大きく上回る。いくら間接部位が狙われたとはいえ外皮を粉砕して片足を奪われるとは、信じられない。ゴリフターズですら『聖』の魔法を用いなければ粉砕出来ない我が身をだ。それを純粋な肉体の力のみで実行するなど本当に化け物か。

「っーー!! なめるなぁぁぁぁぁぁ」

 片足を失ったた状態で十全に力は込められないが、それでもできる限りの力を込めて追い打ちに対して右ストレートを合わせた。真っ向からぶつかり合ったはずの拳だが…これは無理だ!!

 ブォーーーン

 ミシミシグシャ

 骨がへし折れて肉が裂ける良い音が聞こえた・・・私の右腕からな!! 

「いっーーー!!」

 クロッセル・エグザエルが苦い顔をした。

 間違いなく相手の腕の骨にもダメージを与えたぞ。拳がぶつかり合った瞬間、不利を悟ったので肉を切らせて骨を断つ作戦に変えた。振動波を与えることで筋肉ではなく、骨へ直接ダメージを与える方向へ変えたのだ。当然、骨自体の強度も恐ろしいが、その周りにある筋肉に比べれば幾分かマシだ。

 この距離でやり合えば、間違いなく後何回かの打ち合いでダルマにされてしまうだろう。

「逃げられるとでも? 距離は、取らせんぞ」

 たった二回の打ち合いでこちらが受けた損害は左足と右腕。それに対してあちらさんは、右腕関節部の骨にヒビが入った程度だ。クロッセル・エグザエルの肉体的スペックから察するに1時間もしないで完全回復するだろう。

「いいや、逃げますとも・・・消灯」

 私の言葉と同時にこの地下処刑場の壁に張り付いていた蛍蟲が一斉に発光を止めた。いかにクロッセル・エグザエルでも瞬間的な明暗の切り替えには、目が対応しきれないであろう。人間の域を出ていない身体構造なのは、既に調べが付いている。

 無論、小細工長くは何度も通じないのは分かっている。だが僅かな隙で十分だ。100m程の距離をとり再び照明をつけさせた。

「なんだ、もう明かりをつけるのか。せっかく見えてきていたのに残念だ。で、今の隙で攻め落としに来なかったのは致命的だと思うぞ」

「ふっ、馬鹿なことを言わないでいただきたい。あなたのような化け物が簡単にそんなことを許すはずがない。完全に、クロスカウンター狙いだったでしょう。それにしても強い。こちらの予想の5割増しだ」

「人のことを化け物呼ばわりとはな。少なくても今の『蟲』の使い手の容貌は、化け物で相違ないと思うぞ」

「失礼だな。この容姿は私の可愛い蟲達には絶賛されたぞ。幻想蝶ちゃんを始め、雌固体の蟲達がほほを染めるくらいにな。・・・・・・・4番コンテナを」

 床の一部が盛り上がってきて4と書かれたコンテナが出てきた。その中には、私の肉体の予備パーツが満載されているのだ。そこから失った手足を取り付けた。付け替えに掛かる時間は僅か数秒だ。関節部分からパージして付け替えられる。プラモデルみたいな構造にしたからな。

「肉体の付け替えだと・・・ずいぶんと便利な体をしているな。こちらは、失った腕を再生するのに相当の時間を要したというのに。うらやましいな魔法とやらは」

「隣の芝生は青いって事です。私の戦闘スタイルは肉弾戦専門なのですが、流石に分が悪いというレベルじゃないので方向を変えさせていただきます」

 口を開けてそこから高圧の溶解液を噴射!! 厚さ4cmの鉄板すら打ち抜く威力だ。クロッセル・エグザエルの人外の強度を誇る肌とはいえ、一生消えない傷を残すことになるぞ。

 捉えたと思った攻撃だったのだが、ぎりぎりで避けられた。

「おぃおぃ、そんな攻撃は聞いてないぞ。って、この外装に穴を開けるか」



 ランクAのクロッセル・エグザエルとランクBの『蟲』の使い手との真剣勝負か。儂個人としては後者に勝利して欲しいところだな。まぁ、最後には手を貸すつもりでいるから敗北という事はあり得ないか。

 しかし、『蟲』の使い手は数年前に出会ったころに比べてずいぶんと成長したな。特に内包している魔力の総量はこの儂に比肩している。100万以上の蟲を己の魔力だけで維持しているのだ。常時消費しているにも関わらず、あれだけの魔力を身に纏っている。

 ギルドがつけた総称でいうのは些か嫌だがランクAと呼ばれても問題ない実力であろう。現に、本人は申告していないがランクAと呼ばれる条件は満たしているはずだ。『蟲』の使い手が保有しているあのテスタメントという固体の戦闘力や特性は、他の蟲と比べても群を抜いている。『モロド樹海』最下層にいたモンスターと見て間違いない。

 それにも関わらず、ランクBと呼ばれているのは・・・面倒だったからであろうな。短い付き合いではあるが、『蟲』の使い手はそういう人物だ。

「どちらが勝つと思いますかグリンドールさん」

「我が主、もうしばらくお休みになっていても構いません」

「えぇ、ですがこの振動と音では流石に目が覚めてますわ」

 先ほどから鳴り響く爆音や振動。『蟲』の使い手とクロッセル・エグザエルの攻防が我が主の眠りを妨げるとは、今すぐ下に降りてケリをつけてくるか。

モッチュ

「大丈夫よ。貴方のお父様はきっと勝つわ。ほら、心配そうにしないの。そうよねグリンドールさん」

「その通りです我が主。実力では、クロッセル・エグザエルが優勢でしょうが・・・『蟲』の使い手は、それを覆す手札を用意しています」

 眼下で繰り広げられる攻防戦・・・やり方が実に汚いの。照明を背に視界を奪いつつ高圧の溶解液や高圧ガスで文字通り削りに入っている。超音波やらで鼓膜に直接ダメージを与えたり、無音にしたりとやりたい放題だ。

 さらに、ダメージを負えばすぐに別の肉体を付け替えるという常識外れの戦い方だ。

 だが、その程度はクロッセル・エグザエルは止まらんぞ。決定打に欠ける威力では、所詮、足止めに過ぎない。それが理解できない『蟲』の使い手でもあるまい。格上であるクロッセル・エグザエルが対応力も決して低くはない。長期戦は愚策じゃぞ。

「それにしても凄いですね。特別な属性の方は他の属性の魔法を使えないというのに、その常識を蟲の特性を使って擬似的に再現されてるなんて、なかなか思いつかないですもの」

「えぇ、聞く限りでは『火』『水』『風』と『雷』を疑似再現できるそうです。威力についても超一流とまではいきませんが、一流と呼ばれる使い手と遜色ない威力です」

 さて、『蟲』の使い手・・・そろそろ、クロッセル・エグザエルが対応し始めてきたぞ。



 すげーー、純粋にそう思える回避能力だ。

 確かに、直線でしか攻撃できない事実があるにせよこの私の多彩な攻撃に対して完全回避を実行出来るとは敵ながらあっぱれだよ。未だに、直撃させるに至っていない。

 だが、それもこれでおしまいだ!! 床にまき散らした液体でクロッセル・エグザエルの足が滑ったのだ。それを見越してのこの攻撃だ!! 回避は出来ないぞ。

 あっ!! 

 間違いなく直撃コースであった此方の溶解液を手に付けた何かで弾いたぞ。メリケンか・・・なんだ、あの半透明な物体は。

「おぉ!! 男なら素手で勝負しろよ」

「馬鹿なことをいう。使える物は使って当然・・・やはり、鈍器や防具としては優秀だな。この腕輪は」

 腕輪…クロッセル・エグザエルが手に付けている物をよーく見てみると、一度だけ見たことがある物だ…尤も、それはレプリカだったけどな。だからこそ、分かる!! あれは、間違いなくギルド所有の神器ヒューペリオン!!

「ここは一つ相談なのだが、その腕輪・・・無くすと勿体ないから、いったん預からせて貰えないですかね」

「はいそうですかと言う奴が世の中にいるとでも?」

 そうだよね。くっそ!! 後でギルド幹部を締め上げて隠し場所をはかせようと思っていたが、まさかクロッセル・エグザエルなんて化け物を保管庫代わりにしているとは予想外だ。

 だが、仕方が無い。

 私も大人だ。割り切ろう。

「そうか、神器は勿体ないが一緒に落ちてもらおう」

 私が合図すると同時に処刑場の床が全て崩壊した。その瞬間、一気に明るくなった。あまりに明るくなったのでクロッセル・エグザエルが我々が落ちている先にある物を確認した。

「マグマか!! なるほど、飛べる『蟲』の使い手は優雅に眺めるだけと・・・だが、素直に落ちるわけないだろう」

 あぁ、その通りだ。落ちる床を足場にして壁に着けば這い上がれるだろう。だから、いったであろう。一緒に落ちようとな!! 

 だが、流石だな。直感で感じたのだろう。あれに落ちるとまずいと。マグマの温度は800~1300℃前後だ。これでは、ジュラルドクラスが使う『火』の魔法より温度は低い。だが、重要なのは温度じゃないのだよ。マグマは液体であると言うことが重要なのだ。しかも、水と違い落ちたら最後、這い上がるのが非常に難しいということだ。

「はっはっは!! 形勢逆転だ!! 」

 落ちる床を足場に壁までたどり着こうと試みているが甘い。足場に力が入らない現状では発揮できる力は普段の何分の一であろう。それに、処刑場の床は表面は普通だが・・・その裏面は摩擦係数が低くなるように特性の蟲油を塗り込んでいる。踏む床を選定して時間内に移動できるかね?

 だが、これだけでは終わらないぞ。

 背中の羽を広げた。そして、体から粘着力抜群の体液を滴るほど放出する。男を抱きしめてマグマにダイブなんてしたくはないのだがな。さぁ、一緒に、真っ赤な川で泳ごうではないか!! 

 このまま落下し続ければ、後10秒ほどでマグマに沈む。だが、下手に移動すればその隙に私に捕まれてマグマに沈む。さぁ、クロッセル・エグザエル!! 貴様はこの状況をどのように打破する。

 落下する床片に隠れて、クロッセル・エグザエルに急接近した。私を足場にして這い上がろうとしても無駄だよ。この粘着液は、張り付いたら最後・・・生態融合まで果たす程の代物だ。

 クロッセル・エグザエルの背後に回り込んでしっかりと抱き込んだ。

「馬鹿か? わざわざ、近づいてくるとは・・・っ!! まさか!?」

 私がへばりついた事で違和感に気がついたのだろう。肉体が融合し始めているという事実に。そして、この私がこれから何をしようとしているかをね。

「接近したときに攻撃しなかったのが仇になったな。尤も空中戦では、私の方に分があるから当たらないだろうがね。そんなクロッセル・エグザエルに良い情報を教えてあげよう。この私は、あのマグマの中でも3分40秒生存可能だ。果たして、それ以上持つならばそちらの勝ちだ」

 ニヤリとクロッセル・エグザエルにほほえんだ。

 さて、貴様は何秒生きながらえるかね。マグマの中でな!!

 「はぁぁなぁぁれぇぇろぉぉぉ」

 ブチブチ

 生態融合した部分を無理矢理引きはがしてこちらから逃げる気か!! すさまじい力だ。だが、もう遅い!!

 背中の羽を広げてマグマに急降下した。十分に加速したところで全身の気密レベルを最高まで引き上げた。そして、人類が踏み入れることがない領域に飛び込んだ。 
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。