感じさせて……。

紫倉 紫

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ゆめ2

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 奥村さんは本当に計測器の役割なのだろう。
 無表情でわたしをみている。 男性の前で下着を取るなんて、平気でできるわけがない。
 手が震える。逃げ出したい。
 でも……目を閉じ一気に下ろして、足を抜いた。ショーツを丸めて握りつぶす。
「ベッドに横になれ」と、言い残して、奥村さんは一旦この場を離れ、すぐに何かが入った籠を持って戻ってきた。
 「まだ横になってないのか」
 奥村さんが籠の中身に触れると、カシャンと金属質の音がなった。
「早くしろよ」
 ひと声かけて、またこの場を離れた。
 仕方なしに、仰向けで寝た。
 奥村さんは、先生の部屋のどこに何があるかをよく知っているようで、どこからかタオルケットをとってきた。広げて、わたしの顔にかぶせた。
「膝をたてろ」
「え? どうして……」
 返事を聞かされる前に、奥村さんの手はわたしの膝裏に差し込まれ、足を勝手に動かされる。
「ま、まってください」
 抵抗してみる。
「まず内診をする。ウイルス検査もな。開けるだけ足を開け」
 わたしは、思わずタオルケットをはいで、顔を出した。
「本気じゃないですよね」
「冗談で言うことか?」 
 わたしは、起き上がった。頭を横に振る。
「無理です」
 奥村さんが見下したような顔でみる。
「実験からおりると言うことで、報告をあげるぞ」
 それは困る。うつむいた。
「診察しにくいから、スカートを脱ぐか、腹の辺りまでまくり上げろ」
 奥村さんの低い声が冷たく響く。
「心配するな。医師免許は持っている」
 奥村さんが医学部のウイルス研究所から農学部との共同研究のために来ていることを思い出した。
 問題はそこじゃない。男の人の前で、足を開くなんて……。
 婦人科だって、女医のいるところにしか行かない。
 逃げ出したい。
 だけど、先生に嫌われたくない。
 歯を食いしばって、スカートをまくり上げた。
 奥村さんは薄いゴム手袋をつけだした。ゴムの引っ張られる音で余計に緊張する。
 顔をタオルケットでおおい、できるだけ足を合わせたまま横になる。
「洗浄するから、足を開け」
 本気で内診されるらしい。開かなくてはいけないと思っても、足は動かない。
 奥村さんがため息をついた。
「どうせ、今日だけじゃないんだ。すぐに慣れる」
 そういわれて、心が軽くなるわけはない。
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