12 / 157
ゆめ2
二
しおりを挟む
奥村さんの手が、膝に触れる。
片方ずつ足を外側にずらされた。防水シート敷くために、腰を浮かすように指示された。
「少し冷たいが我慢しろ」
奥村さんは、淡々とそう言った。これだけ足を開いていれば、絶対に見えているはずだ。
わたしは、タオルケットを顔に押し付けて、必死で目を閉じていた。
水がかけられた。冷たくて、足に力が入る。
洗浄はすんだらしく、布で、足の間を拭き取られる。
終わったわけではない。これからだった。
これがまだ、純粋にどこかのレディースクリニックで、見知らぬ医師相手ならよかった。
それほどかかわりはなかったが、研究室によく出入りしている、それも、最も苦手にしている相手にさらけ出している。
先生の研究に協力するたびに、こんな目にあうのだろうか。
奥村さんが「力を抜け」と言った。
力を入れているつもりはない。抜き方はわからない。
「ん?」と、言って、わたしの足をさらに両側に押し広げる。息を止めた。恥ずかしすぎる。奥村さんは、わたしの足の付け根のその奥を、指で、なぞった。
「うーん」
人の股間を眺めながら、そんな声を出さないでほしい。
入口のあたりを指で広げられた。その後で痛みが走る。
「これはまずい」
奥村さんがまたため息をついて、膝を閉じさせた。
「教授に話してくる。お前は服を着て待っておけ」
奥村さんが部屋からも出て行った。
一人取り残され、しばらくボーっとしていた。戻ってくる前に、下着だけでもつけておきたい。なんとか体を起こす。
ほんの少しだとは思うが、指をいれられた。
奥村さんに見られて触られるなんて、予想もしたことがなかった。
いくら、先生のことがあるからって、受け入れたのは判断ミスだった気がする。急に悲しくなって、涙がこぼれた。
とにかく、下着をつけて、まくれあがったスカートを伸ばした。ストッキングは、はくのが面倒だった。タオルケットを足にかけて、奥村さんが戻ってくるのを待った。
ドアの音が聞こえた。慌てて涙を拭った。
奥村さんが顔だけのぞかせた。
「はいたか?」
一瞬答えに迷ったが頷いた。先生が隣の応接で呼んでいるらしい。素足でパンプスをはき、奥村さんについて先生のもとへ向かう。
先生はソファに腰掛けて待っていた。
「座りたまえ」
奥村さんと並んで座った。
「奥村君から報告を受けてね……現時点での君は実験に協力してもらうには不適格と判断した」
ショックだった。あんなことまでさせられて、おろされるなんて。
「ただ、君が、奥村君からの指導を受けて、ある一定のレベルまで達するのであれば、こちらとしては、少々時期が延びても、他の人材を調達するよりは効率的だとは考えている」
片方ずつ足を外側にずらされた。防水シート敷くために、腰を浮かすように指示された。
「少し冷たいが我慢しろ」
奥村さんは、淡々とそう言った。これだけ足を開いていれば、絶対に見えているはずだ。
わたしは、タオルケットを顔に押し付けて、必死で目を閉じていた。
水がかけられた。冷たくて、足に力が入る。
洗浄はすんだらしく、布で、足の間を拭き取られる。
終わったわけではない。これからだった。
これがまだ、純粋にどこかのレディースクリニックで、見知らぬ医師相手ならよかった。
それほどかかわりはなかったが、研究室によく出入りしている、それも、最も苦手にしている相手にさらけ出している。
先生の研究に協力するたびに、こんな目にあうのだろうか。
奥村さんが「力を抜け」と言った。
力を入れているつもりはない。抜き方はわからない。
「ん?」と、言って、わたしの足をさらに両側に押し広げる。息を止めた。恥ずかしすぎる。奥村さんは、わたしの足の付け根のその奥を、指で、なぞった。
「うーん」
人の股間を眺めながら、そんな声を出さないでほしい。
入口のあたりを指で広げられた。その後で痛みが走る。
「これはまずい」
奥村さんがまたため息をついて、膝を閉じさせた。
「教授に話してくる。お前は服を着て待っておけ」
奥村さんが部屋からも出て行った。
一人取り残され、しばらくボーっとしていた。戻ってくる前に、下着だけでもつけておきたい。なんとか体を起こす。
ほんの少しだとは思うが、指をいれられた。
奥村さんに見られて触られるなんて、予想もしたことがなかった。
いくら、先生のことがあるからって、受け入れたのは判断ミスだった気がする。急に悲しくなって、涙がこぼれた。
とにかく、下着をつけて、まくれあがったスカートを伸ばした。ストッキングは、はくのが面倒だった。タオルケットを足にかけて、奥村さんが戻ってくるのを待った。
ドアの音が聞こえた。慌てて涙を拭った。
奥村さんが顔だけのぞかせた。
「はいたか?」
一瞬答えに迷ったが頷いた。先生が隣の応接で呼んでいるらしい。素足でパンプスをはき、奥村さんについて先生のもとへ向かう。
先生はソファに腰掛けて待っていた。
「座りたまえ」
奥村さんと並んで座った。
「奥村君から報告を受けてね……現時点での君は実験に協力してもらうには不適格と判断した」
ショックだった。あんなことまでさせられて、おろされるなんて。
「ただ、君が、奥村君からの指導を受けて、ある一定のレベルまで達するのであれば、こちらとしては、少々時期が延びても、他の人材を調達するよりは効率的だとは考えている」
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる