感じさせて……。

紫倉 紫

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うつつ3

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 亮を起こさないように二人でそっと部屋を出た。
 今日は書斎を使っていないので部屋の中が冷え切っていた。エアコンはすぐには動き始めない。
 書斎は、掃除も和明がしているので、ひかりはほとんど入ったことがなかった。
 色味が落ち着いて良い部屋だ。和明がこもって出てこないのも理解できる。
「また、冷えてしまうね」
 後ろから抱きしめられた。
「眠そうにしていたのに、ごめんね。飲んだせいかな。抑えられない」
 和明から求められることはほとんどなかった。いつでも、恥をしのんでひかりからどうにか誘っていた。最近は、無理強いしているようで控えていた。
 エアコンが空気を吐き出し始めた。
「すぐに温まるよ」
 和明は、ひかりの髪をわけて、首筋に唇を押し付けながらそう言った。
 ため息がこぼれる。
 和明の手が、ナイトウェアの中に入ってきた。わき腹から徐々に上がっていく。
「こっちを向いて」
 振り向いた途端に唇をふさがれた。
 強引に舌が入ってきた。 
 和明がこんなキスをするなんて知らなかった。
 ため息がこぼれる。しかしすぐに和明は体を離した。ひかりは高揚したまま置かれる。
「部屋が暖まった」
 笑いかけられた。
「そうですね」
 和明はは机の向こう側へ行き、大きなリクライニングチェアを転がしながら戻ってきた。ひかりの前に置いて腰掛けた。
「ひかり」
 ひかりを見上げて名前を呼んだ。ひかりは首を傾げる。
「着ているものをすべて脱いで」
「今、ここでですか?」
「そう、今ここで」
 ひかりは頷いてまず、ナイトウェアの上を脱いで、床に落とした。夫が私をながめている。不思議な興奮を覚える。
 下着だけになった。結婚して七年になる。それでもこう見つめられると羞恥心がくすぐられる。
 すべてを脱ぎさった。
「そうだなあ。僕の机の上に座って」
「机にですか?」
 机に腰掛けるなど、ただでさえ抵抗がある。今は余計にだ。
 和明は許してくれそうにない。机の天板に後ろ手をついた。体を持ち上げて座る。
「足をあげて、僕によく見えるようにしてみて」
「それは……」
 さすがに断ろうと思った。
「できないのかな?」
 夫の表情を見る限り、からかわれている訳ではないようだ。
「わかりました」
 ひかりは、片足ずつ机に脚をあげた。
「かげになって見えない」
 ひかりは、顔を両手で隠しながら、脚を両側へ開いていく。
「もう、こんなにして」
 自分でもひどく濡れているのがわかっていた。
「僕にどうしてほしいか言ってごらん。君の望みを叶えてあげるよ」
「抱いてください」
 イスのきしみで、和明が立ち上がったのがわかる。顔を覆う手がはがされた。
 和明がひかりの顔を覗き込む。
「君がこんなはしたないおねだりをするなんて、喜多川君は夢にも思わないだろうね」
 言葉の意味を問いたくても、すぐに唇が塞がれた。
 押し当てられたのがわかる。
「このために作ったように高さがちょうどいい。気づかなかったなあ」
 笑いながら、和明がひかりの中に入ってきた。
「何もしないうちから受け入れられるくらい、僕のことが欲しいんだね」
 そうだ。その通りだ。隣の部屋に亮がいようが、こうしてその気になってくれたことが嬉しくてたまらない。
「はい」
 ひかりは、和明の首に手を回し、しがみついた。
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