感じさせて……。

紫倉 紫

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うつつ5

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 亮にも見られたかもしれないと、ひかりは心配になる。
 一緒に生活していくうちに、気にならなくなるかもしれないが、まだ初日だった。
 時間がかかってまた様子をみに来られては困る。ひかりは体を拭いて、寝間着を着た。用意しておいたカーディガンを羽織る。
 ここで髪を乾かすと、亮が入れない。
 ドライヤーを持って、リビングに戻った。
 亮はソファに座っていた。一応、さっきのお礼を言う。
「和明さん、まだかかると思うから、先に入ったら?」
 亮は少し間をあけて頷いた。
 寝室で、髪をまず乾かした。ここにいると眠ってしまいそうだった。後、十五分もすれば夫が帰宅する。
 亮もお風呂に入っている。
 ソファで、WEB小説を読むことにした。小説内に出てきたので、明日はパスタを作ろうと思った。ミートソースも良いけれど、カルボナーラが食べたい。
 和明は土曜でも大学へ行ってしまう。亮は、机を買いに出かけるだろうか。
 二人の予定を訊いてから、メニューを決めた方がいいかもしれない。
 いろんなことが今まで通りではなくなる。
 亮が出てきたので、スマホの画面を消した。
「まだなんだ」
 どちらにしてももうすぐだとは思う。
「俺も、待ってた方がいいのかな?」
 こたえに迷う。
 亮が待っていた方が、和明は喜びそうな気がした。
「別に、いいんじゃない」
 考えとは反対のことを言った。
 「じゃあ、部屋で調べ物させてもらう」
 亮も疲れているだろうし、はやく生活環境を整えたいだろう。
 ひかりは一人になり、WEB小説の続きを読み始めた。主人公が同居相手の奥村に炭水化物を多めにと頼まれている。和明も、炭水化物をほしがる。しかし全然太らない。頭を使う人は食べた分をすべて消費するのかもしれない。ひかりは読みながら、奥村と和明と容姿を重ねてしまう。性格は全くと言って良いほど似ていない。和明は、ひかりのことを絶対にお前とは言わない。研究内容も全く違うのに、大学の中で、奥村のように過ごしている気になってくるから不思議だ。
 和明の下にもきっと、女性の研究員がいるだろう。仕えている教授に女性秘書もいるはずだ。当然女子学生もいる。自分が愛されている気はしないが、浮気を心配したことはなかった。それでも、しようと思えば、いくらでもできる気がしてくる。
 未だに、奥村の年齢ははっきりしない。勝手に、三十台半ばを想定して読んでいる。主人公が28なので、良い感じの年の差だ。教授の年は忘れてしまった。ほとんど出てこないので印象も薄い。はっきり言って、もう、奥村で良いと思う。俺様な態度はとるが、結構優しい気がするとひかりは感じていた。
 主人公が、奥村にベッドでされていることを、ひかりはほとんどされたことがない。実際にどう感じるのかはわからない。自分で胸に触れてみたが、腕に触るのとそう変わらない。
 相手が、設定上好きな相手でないから、あそこまでされても、もどかしくならないのだろうか。
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