感じさせて……。

紫倉 紫

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うつつ6

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 エレベーターへ向かう和明の後をついていく。また、緊張してきた。ラブホテルの内装は、意外に高級感があった。なんとなくもっと暗い雰囲気をイメージしていた。
 和明は部屋の前で立ち止まり。ドアを開けた。
 入るとすぐに次の扉があった。手前にスリッパが二つ並べてある。和明が靴を脱いで入っていったので後に続く。
 大きなテレビが見えた。
 ベッドは、ダブルより大きい気がした。和明は備え付けの棚を開けて、前にしゃがみ込んだ。
「ここで、買えるんだ」と聞こえた。何かはわからない。
 二人がけのソファがあったので、ひかりはそこへ座る気で近づいていく。テーブルの上にメニューがあった。一人一品サービスとある。他にもパウチされた物が、数枚あったので手に取った。
「君がそんな物に興味を持つとは思わなかった」
 めくると、コスプレ衣装が載っていた。
「興味があるわけでは……」
 メイド服も、チャイナ服も、ずいぶん丈が短い。
 和明が微笑む。
「お風呂を見に行こう」
 ミストサウナもついているはずだ。
 ソファの隣のドアを開けると、洗面台があり、その奥にも扉があった。のぞき込むと、扉の方はどうやらトイレらしく、もう一つ磨りガラス製の扉があった。和明が、開ける。大きなお風呂が見えた。浴室用のテレビもある。
「たまるのに時間がかかりそうだ」
「そうですね」と返した。
 和明が、ひかりの髪に触れた。
「君は、キレイなんだろうね」
 ひかりの容姿に興味がないことは知っていた。
「君を見た人は、必ずそう言って褒めてくれる」
 ひかりの髪をひと束手に取って、鼻を近づける。
「君は、清潔で礼儀正しいと……思ってはいたよ」
 ひかりは静かに息を吐いて、目を閉じる。瞼が震えてしまう。
「僕なんかより、君の価値を理解できる男は、いくらでもいただろうに」
 そうかもしれないが、和明以外の誰かに思われることに、ひかり自身がなんの価値も感じない。
「今まで、本当に寂しい思いをさせたね」
 抱きしめられた。和明の胸に顔を埋め和明の香りに包まれる。鼓動と一緒に声が響く。
「どうしてだろう。最近は、不思議なくらい、君が欲しいんだよ」
 和明が、そんな言葉を口にするなんて、想像もできなかった。
 涙が、溢れた。肩が震えてしまう。
「泣いているのかい?」
 和明が体を離した。
 ひかりは、手で顔を覆ってうつむいた。和明が困惑しているのが、肩に置かれた手から伝わってくる。
「嬉しくて」
「嬉しくて泣いてしまうほど、僕を愛してくれているんだね」
 頷いた。
「それなら、その洗面台に手をついて」
 体の向きを変えられた。大きな鏡に自分の顔が映った。目も鼻も赤くなっている。鏡の中の和明がひかりに微笑みかけてきた。
 背後から、ベルトを外す音が聞こえてくる。スカートを捲り上げられた。
 下着の上から押しつけられる。
「もう、染み出すほど濡れているじゃないか」
 こんな場所にくれば、そういう気分にもなる。
 和明は、ひかりの下着をさげることなく、脇にずらしただけで、中に入ってきた。
「触ってもいないのに、すんなり入った」
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