107 / 157
うつつ6
十三
しおりを挟む
「君の中は、僕の形をおぼえているようだね」
和明のものしか入ったことがないからだ。
「温かくて心地よい」
ひかりの腰に両側から手を添えた。
「僕が質問をするから、君はありのままを答えてくれれば良い」
こんな体勢で本当に話をするつもりらしい。
「喜多川君とはずっとただの幼馴染みできたんだよね?」
ひかりは頷いた。
「君は他の誰かと交際はしなかったの?」
「そうですね……」
和明は首をかしげた。
「魅力的な容姿をしていると認識されているはずなのに、誰からも交際を申し込まれなかったのかい?」
全くなかったわけではない。だけど、誰にも興味を持てなかった。それに、いつも亮から「やめとけ」と言われた。
考えてみれば、亮が良しとする相手は誰一人いなかった。和明のことも随分反対された。
「喜多川君は、君に異性として好意を抱いていると言ってこなかったのかい?」
ひかりは即、頷いた。
「なぜなんだろう」
和明は首をかしげた。
「ただの幼なじみですから……」
和明はひかりを見詰めながら「予想と事実は必ずしも一致しない」と言った。
「君は自分の願望で、真実をねじ曲げているかもしれないよ」
亮のひかりへの感情は、どちらかというと妹へ抱くものに近い気がしていた。
「そして僕も、自分の望む結果へ繋がりそうな要素を、無意識に拾い集めているのかもしれない」
和明の望む結果は何なのか気になる。
「一度、喜多川君に直接訊いてみるしかないね」
「でも、それは……」
どんな訊き方をしても、後々気まずくなりそうだ。
「彼が学生だった頃の言動や行動からは僕の予想の方が正しいように思うが、七年も経てば何かしらの変化があってもおかしくない」
和明がひかりの腰を支えている手に力を込めた。一度、揺さぶられる。奥の方をこすられ思わず声が漏れた。
「彼が何のために僕のいる大学をわざわざ選んだのか知りたい。表向きの理由ではなく、本当の理由を」
ひかりにもわからない。
「共同生活をすればより早く確信をもてると思い、彼に言葉をかけた。すんなりと受け入れた時点で、僕の予想があたっている確率は八割をこえた」
見当もつかなかった。
「僕は、日に日に確信を強めている」
ひかりの中で、一回り大きくなった気がした。下から突き上げられる。思わず背中を反らす。バスタオルがほどけて落ちていく。
「この前教えたように、腰を動かして」
和明の顔が上気している。少し眉根を寄せながら目を細めた。
ひかりは、車の中で交わった日のことを思い出しながら、腰を前後に動かした。
エアコンから暖気が吹き出す音と、ひかりの膝がソファーをこする音、そして、二人の荒い息が聞こえていた。波のように押し寄せる快感に目眩を覚えながらも、和明の首の後ろに回した腕がほどけないようにしがみつく。
和明がひかりの腰を押さえて突き上げてきた。
思わず声をあげる。
「すぐに、いってしまいそうだ」
動きを止めるように言われた。
「せっかくだから、もう少し話を聞こう」
和明と交わっている場所の熱が治まるわけではない。
和明のものしか入ったことがないからだ。
「温かくて心地よい」
ひかりの腰に両側から手を添えた。
「僕が質問をするから、君はありのままを答えてくれれば良い」
こんな体勢で本当に話をするつもりらしい。
「喜多川君とはずっとただの幼馴染みできたんだよね?」
ひかりは頷いた。
「君は他の誰かと交際はしなかったの?」
「そうですね……」
和明は首をかしげた。
「魅力的な容姿をしていると認識されているはずなのに、誰からも交際を申し込まれなかったのかい?」
全くなかったわけではない。だけど、誰にも興味を持てなかった。それに、いつも亮から「やめとけ」と言われた。
考えてみれば、亮が良しとする相手は誰一人いなかった。和明のことも随分反対された。
「喜多川君は、君に異性として好意を抱いていると言ってこなかったのかい?」
ひかりは即、頷いた。
「なぜなんだろう」
和明は首をかしげた。
「ただの幼なじみですから……」
和明はひかりを見詰めながら「予想と事実は必ずしも一致しない」と言った。
「君は自分の願望で、真実をねじ曲げているかもしれないよ」
亮のひかりへの感情は、どちらかというと妹へ抱くものに近い気がしていた。
「そして僕も、自分の望む結果へ繋がりそうな要素を、無意識に拾い集めているのかもしれない」
和明の望む結果は何なのか気になる。
「一度、喜多川君に直接訊いてみるしかないね」
「でも、それは……」
どんな訊き方をしても、後々気まずくなりそうだ。
「彼が学生だった頃の言動や行動からは僕の予想の方が正しいように思うが、七年も経てば何かしらの変化があってもおかしくない」
和明がひかりの腰を支えている手に力を込めた。一度、揺さぶられる。奥の方をこすられ思わず声が漏れた。
「彼が何のために僕のいる大学をわざわざ選んだのか知りたい。表向きの理由ではなく、本当の理由を」
ひかりにもわからない。
「共同生活をすればより早く確信をもてると思い、彼に言葉をかけた。すんなりと受け入れた時点で、僕の予想があたっている確率は八割をこえた」
見当もつかなかった。
「僕は、日に日に確信を強めている」
ひかりの中で、一回り大きくなった気がした。下から突き上げられる。思わず背中を反らす。バスタオルがほどけて落ちていく。
「この前教えたように、腰を動かして」
和明の顔が上気している。少し眉根を寄せながら目を細めた。
ひかりは、車の中で交わった日のことを思い出しながら、腰を前後に動かした。
エアコンから暖気が吹き出す音と、ひかりの膝がソファーをこする音、そして、二人の荒い息が聞こえていた。波のように押し寄せる快感に目眩を覚えながらも、和明の首の後ろに回した腕がほどけないようにしがみつく。
和明がひかりの腰を押さえて突き上げてきた。
思わず声をあげる。
「すぐに、いってしまいそうだ」
動きを止めるように言われた。
「せっかくだから、もう少し話を聞こう」
和明と交わっている場所の熱が治まるわけではない。
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる