感じさせて……。

紫倉 紫

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うつつ6

十二

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 和明の表情には、全く嫉妬の気配がない。
「子供の頃から知っているからだと……」
 つい声が暗くなる。
「外気温が低いと、湯温も冷めるのが早いな」
 和明は高めの温度に設定して足し湯を始めた。それからバスタブの縁に置いてあった袋を取った。パッケージの文字を読んでいる。
「泡風呂ができるらしい。してみようか」
 返事をする前に、袋を破り湯に液体を注いだ。長い手で湯をかき回す。少し泡ができてきた。
「ああ、こうした方がはやい」
 和明は壁面にあったスイッチを押した。腰のあたりに勢いよく冷たい水があたった。すぐに温かくなった。湯船の中に数カ所穴があって、そこからお湯が噴き出していた。モーター音と水音が騒がしい。
 湯の表面が激しく波打ち、泡がみるみるたっていく。甘い香りがたちこめる。
「洗濯機の中にいるみたいだ」
 和明が少し大きめの声で話しかけてきた。
 本当に洗濯をされているようだった。ひかりは、泡を両手で掬ってみた。きめ細かくはない。
「肌には良くないかもしれないな」
 ただでさえ乾燥しやすい季節なので、余計にそうかもしれない。
「せっかく温めたが、あがろうか」
 和明は立ち上がった。
 泡が、和明の体を流れ落ちていく。
 和明は、帰る気でいたはずなのに、すぐにでも交われるようになっていた。股間につい視線をとどめてしまう。
 触れられなくても、ひかりの体から染み出しお湯に溶け込んでいくのがわかる。すぐに受け入れられる。
 和明にお湯を抜くように言われた。
 これだけ良い加減のお湯を今すぐ捨ててしまうのはもったいなく感じる。それでも、和明が判断したように流してしまうしかない。
 シャワーで泡を流して浴室を出た。
 和明はバスタオルを腰に巻いただけで洗面室を出て行った。ビニール袋に入ったガウンを見つけ手に取る。開けるかを迷う。
 和明に合わせて、タオルを巻くことにした。
 ベッドのある部屋に戻ると、和明はソファーに座っていた。
 手招きをされる。
「ここで話そう」
 暖房が十分に効いているので寒くはない。和明は二人がけのソファーの中央に座っていた。ひかりはソファーの横に立ち、どちらかに避けてくれるのを待った。和明が、なぜか横にではなく前に体をずらした。
「向かい合って座って」
 和明の膝の上に跨がれということだろう。左膝をソファーの上についた。足を開くとバスタオルが落ちそうな気がして胸元を押さえた。和明の両の太ももの幅だけ足を開いて、ソファー乗った。そのまま腰を落とそうとすると「その角度では入らないよ」と言われた。
「自分で位置を合わせるんだ」
 視線をさげる。和明のものがバスタオルを押し上げている。
 位置を合わせるだけでなく、和明のバスタオルをめくらなければならない。手探りでタオルをほどいた。
 手を添えて支えながら腰を落としていく。先をとらえた。手を離し、ゆっくりと飲み込んでいく。収めきってすぐにため息がこぼれた。 
 また、自分で動くように言われるんだろうか。考えただけでジリジリと中が熱くなっていく。つい下腹に力が入る。
 和明が一瞬目を細めた。
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