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「今の貴ちゃんだって十分魅力的じゃん。背も高いし筋肉質だし、自分が極めようと思ったことに対しては絶対に手を抜かないよね」
「そうじゃないもんにはとことん妥協するけどな」
「あの自作ゲームみたいに?」
「ああ……。あれもだけど、相田がもう一個、自作ゲーム見つけただろ。それRPGなんだけど、それはマジでどうしようもない出来だったんだよ」
岡庭の言葉を受け取る気になれなくて、北澤は話を逸らした。
今の自分を認めてほしいと思っていたくせに、いざそうされると素直になれない。自分の内面は、卑屈で自信のなかった中学時代とさして変わっていないのかもしれない。
岡庭の言葉と態度に、こんなにも振り回されている自分が情けない。
気分を沈ませる北澤の頭に、岡庭の掌が優しく触れる。想い人の温もりが髪から伝わってきて、北澤の体は否応なしに歓喜に震えた。
「拗ねないでよ。褒められても素直に受け取ってくれないの、昔から変わんないね」
「昔から進歩してねーって言いたいんだろ」
「違うってば。ほら、笑顔笑顔」
岡庭の手は、遠慮なしに北澤の頭をかき回す。親友との距離感が掴めなくて、北澤は混乱した。
子ども扱いは勘弁してほしいという気持ちと、岡庭が好きだという気持ちの両方が膨れ上がっていく。岡庭も自分のことが好きなのかもしれないと、勘違いしてしまいそうになる。
こんなに近くにいるのに、好きだという気持ちを隠さなければならない。これ以上触れられたら耐えられない、積年の想いを伝えずにはいられない。それでも、岡庭の手を振り払うことはできなかった。
想い人の呑気な笑顔を見て、北澤に邪心が宿る。
今ここで岡庭の手を取って、彼の体を床に縫いつけてやったら、少しは自分の気持ちを分かってくれるのではないだろうか……。
「ごめん、子どもみたいな扱いされるの嫌だったかな。でも怖い顔はやめてよね」
北澤は、謝罪と共に離れていく岡庭の手を衝動的に掴んだ。吃驚した顔が至近距離にある。
北澤は後悔した。どうしてもう少し耐えられなかったのだろうと自分を責めた。けれど、やってしまった以上、引き下がるわけにはいかない。
目を合わせて、掴んだ手を引き寄せる。北澤より一回り小さな体が、腕の中にすっぽり収まった。……さすがに、押し倒すような度胸はない。
「俺、大志のこと好きだ。ずっと好きだった」
勇気を出して耳元に囁くと、岡庭の体がびくっと跳ねた。
今、どんな顔をしているのだろう。それを見たら決意が揺らいでしまいそうだった。
「付き合って、ほしい」
最後は声が震えてしまった。岡庭の肩を支えて、顔を覗き込む。顔を見るまでが一番怖かった。そこに嫌悪の表情が広がっていたら、一生立ち直れない。
目を合わせた岡庭は気まずそうにしている。今までそんな素振りを見せなかった親友に好意を告げられたのだから、その反応も納得だった。
北澤の顔色を伺うようにちらちらと目線を合わせる彼の姿には、戸惑いと迷いが表れている。
「……少し、考えさせてほしいな」
岡庭はそう返事した後、北澤の懐から離れていく。
数年来の親友の心の動きが、この時初めて分からなくなった。
……それはお互い様だったか。北澤は苦笑した。
「そうじゃないもんにはとことん妥協するけどな」
「あの自作ゲームみたいに?」
「ああ……。あれもだけど、相田がもう一個、自作ゲーム見つけただろ。それRPGなんだけど、それはマジでどうしようもない出来だったんだよ」
岡庭の言葉を受け取る気になれなくて、北澤は話を逸らした。
今の自分を認めてほしいと思っていたくせに、いざそうされると素直になれない。自分の内面は、卑屈で自信のなかった中学時代とさして変わっていないのかもしれない。
岡庭の言葉と態度に、こんなにも振り回されている自分が情けない。
気分を沈ませる北澤の頭に、岡庭の掌が優しく触れる。想い人の温もりが髪から伝わってきて、北澤の体は否応なしに歓喜に震えた。
「拗ねないでよ。褒められても素直に受け取ってくれないの、昔から変わんないね」
「昔から進歩してねーって言いたいんだろ」
「違うってば。ほら、笑顔笑顔」
岡庭の手は、遠慮なしに北澤の頭をかき回す。親友との距離感が掴めなくて、北澤は混乱した。
子ども扱いは勘弁してほしいという気持ちと、岡庭が好きだという気持ちの両方が膨れ上がっていく。岡庭も自分のことが好きなのかもしれないと、勘違いしてしまいそうになる。
こんなに近くにいるのに、好きだという気持ちを隠さなければならない。これ以上触れられたら耐えられない、積年の想いを伝えずにはいられない。それでも、岡庭の手を振り払うことはできなかった。
想い人の呑気な笑顔を見て、北澤に邪心が宿る。
今ここで岡庭の手を取って、彼の体を床に縫いつけてやったら、少しは自分の気持ちを分かってくれるのではないだろうか……。
「ごめん、子どもみたいな扱いされるの嫌だったかな。でも怖い顔はやめてよね」
北澤は、謝罪と共に離れていく岡庭の手を衝動的に掴んだ。吃驚した顔が至近距離にある。
北澤は後悔した。どうしてもう少し耐えられなかったのだろうと自分を責めた。けれど、やってしまった以上、引き下がるわけにはいかない。
目を合わせて、掴んだ手を引き寄せる。北澤より一回り小さな体が、腕の中にすっぽり収まった。……さすがに、押し倒すような度胸はない。
「俺、大志のこと好きだ。ずっと好きだった」
勇気を出して耳元に囁くと、岡庭の体がびくっと跳ねた。
今、どんな顔をしているのだろう。それを見たら決意が揺らいでしまいそうだった。
「付き合って、ほしい」
最後は声が震えてしまった。岡庭の肩を支えて、顔を覗き込む。顔を見るまでが一番怖かった。そこに嫌悪の表情が広がっていたら、一生立ち直れない。
目を合わせた岡庭は気まずそうにしている。今までそんな素振りを見せなかった親友に好意を告げられたのだから、その反応も納得だった。
北澤の顔色を伺うようにちらちらと目線を合わせる彼の姿には、戸惑いと迷いが表れている。
「……少し、考えさせてほしいな」
岡庭はそう返事した後、北澤の懐から離れていく。
数年来の親友の心の動きが、この時初めて分からなくなった。
……それはお互い様だったか。北澤は苦笑した。
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