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スペクターとグンジョーがいる場所まで戻って来た。
しかし気配がまるで無い。
戻ったらいるかと思ったけど、そんなに甘くないわね。
「何かが居る気配がない。振り出しに戻った感じだな」
でもゴーストが複数浮かんでる。
多分気配を消してるだけで出てくるはず。
「振り出しでもねぇよ。ゴーストは浮かんでる。任せな」
そう言うとカインは聖剣を抜き一閃。
ゴーストが消失した。
「すごいわね」
「聖なる力のおかげだ。だがーーー」
「スペクター相手ではどうしようもないと」
上空から声がした。
モモさん・・・いや魔王ゲヘナザードね。
「モモ!」
「グレン。久しぶりね。最もあたしはあんたの知ってるモモじゃないけど」
「あぁ聞いてるぜ。グンジョーはお前の仕業か?」
「正解とも不正解とも言えないわね。グンジョーの心はもう風前の灯火。あたしが障気を入れなければ精神的には死亡していたわよ」
「なるほど、グンジョーはそれほどゴルドのことを・・・今、目を覚ましてやるからな」
「あら、あたしの相手はしてくれないのね」
「そいつは俺が相手になってやらぁ!」
「帝国の聖騎士カイン。貴方の相手はスペクターよ」
「させないわ!カイン、舌噛まないでね!」
「おまっ!ちょっ、待て」
私はカインとスペクターの間に入り、そしてカインを背負い投げでモモへとぶつける。
一応体術も使える魔術師やってんのよ私は!
「え、きゃあああ!」
「っし!クリーンヒット!」
「ルル、それは乙女としてダメですわよ」
「マリア、女には譲れない物があるの!行くわよ!」
私はスペクターの前に行き、思いきり息を吸い始める。
皆と考えたスペクターを倒す方法。
それは私の中にコイツを取り込み、魂毎消滅させる。
リリノアールの洗脳などを得て、私の魂はかなり丈夫になってるってヴァルカンが言ってた。
その代わり私が支配下に置くまで、スペクターは私の身体を操れるらしい。
「マリア、頼むわよ!」
「わかっていますの!」
私はスペクターの精神と闘わないといけない。
でもマリアにその時の負担を押しつける形になったのは申し訳がないわ。
「ここがスペクターの精神世界・・・」
白い世界。
スペクターらしき人影が見える。
でも私の予想に反して、それは鎖に繋がれていた。
代わりに二つの人影がある。
「ルル」
「え?」
私は自分の目を疑った。
そこには私の大切な幼馴染み、ロアがいた。
そしてその横にはレインがいる。
「どうして二人が?」
「どうやらスペクターを召喚する際に俺達のアンデッドが元になったみたいでな。ワイら少しだけお前の精神に入ることが出来たんや」
「スペクターの作り出した偽物?」
「そうかもしれない。でもそれならそれでスペクターには感謝しないと」
わからない。
彼女がロアなのか、それともスペクターの幻想なのか。
「本当にロアなの?」
「疑り深ぇな!?お前泣いてたやろ。最期に会えた、それじゃダメなん?」
「最期・・・」
「多分、これもきっと残留思念。私は私だけど、多分私じゃないんだと思う」
「それってどういうこと?」
「本当の私はもう死んでいて、今は遺体に残っていた未練みたいな物がスペクター召喚を通して意思疎通ができるようになっただけなんだよ」
わからない。
訳がわからない。
でも死んだはずのロアとここで会えた。
今はそれで良いと思った。
私はロアに抱きついた。
「スペクターを倒すために取り込んだのにどうしてロア達なのよ!」
「ルル。ごめんね。私がもっとしっかり生き残れたら、辛い思いをさせなかったのに」
「私こそ、フランチェスカを逃がしたから・・・」
「ううん。でもルルはこんなところで嘆いてる場合じゃないわ」
「そうやな。どうやらワイらが死んだ後の今の時代は大変な事になっとるみたいやんか」
なんでそんなことがわかるの?
残留思念だと世界の流れがわかるとか?
いや、これは私の都合の良い記憶?
「ルル、なんとなく考えてることはわかるわ。だから一つだけ教えとく」
「教える?」
「ルルはルルのままでいい。誰が何と言おうと」
「どういうこと!?」
「ごめん。多分、これを教えると可能性の一つが消えるの。だから自分でたどり着いてなんとかして」
「可能性?一体何の話をしているの?」
「ワイらが外の世界について教えてくれた奴がおる。そいつをどうにか助けてやれっちゅー話や」
「それって・・・」
「ルル、最期になるから伝えておくわ。私はルルのおかげで死ぬまで幸せだった。仇討ちなんて気張らなくて良い。ルルはルルのしたいように生きてよ」
「ワイもや。ワイの死はリリノアールの所為や。ルルはワイを殺すことを最期まで躊躇っていた。その気持ちを忘れんな」
「レイン・・・」
私は涙を拭った。
こんなところで泣いている場合じゃない。
「ルル、スペクターはワイらに任せとけ」
「その代わりモモやあの子を救って」
「ロア、レイン。私!」
「言いたいことは言ったで」
「ルルは弱くない。優しさは弱く見えるけど誰よりも強いのよ。会えて良かった」
「ほな。またあの世でな。しわくちゃになった自分らをワイはみたいから長生きせえよ」
「うん!ありがとう」
そして二人はその場から消える。
白い光に包まれ、私もそれに飲み込まれていった。
しかし気配がまるで無い。
戻ったらいるかと思ったけど、そんなに甘くないわね。
「何かが居る気配がない。振り出しに戻った感じだな」
でもゴーストが複数浮かんでる。
多分気配を消してるだけで出てくるはず。
「振り出しでもねぇよ。ゴーストは浮かんでる。任せな」
そう言うとカインは聖剣を抜き一閃。
ゴーストが消失した。
「すごいわね」
「聖なる力のおかげだ。だがーーー」
「スペクター相手ではどうしようもないと」
上空から声がした。
モモさん・・・いや魔王ゲヘナザードね。
「モモ!」
「グレン。久しぶりね。最もあたしはあんたの知ってるモモじゃないけど」
「あぁ聞いてるぜ。グンジョーはお前の仕業か?」
「正解とも不正解とも言えないわね。グンジョーの心はもう風前の灯火。あたしが障気を入れなければ精神的には死亡していたわよ」
「なるほど、グンジョーはそれほどゴルドのことを・・・今、目を覚ましてやるからな」
「あら、あたしの相手はしてくれないのね」
「そいつは俺が相手になってやらぁ!」
「帝国の聖騎士カイン。貴方の相手はスペクターよ」
「させないわ!カイン、舌噛まないでね!」
「おまっ!ちょっ、待て」
私はカインとスペクターの間に入り、そしてカインを背負い投げでモモへとぶつける。
一応体術も使える魔術師やってんのよ私は!
「え、きゃあああ!」
「っし!クリーンヒット!」
「ルル、それは乙女としてダメですわよ」
「マリア、女には譲れない物があるの!行くわよ!」
私はスペクターの前に行き、思いきり息を吸い始める。
皆と考えたスペクターを倒す方法。
それは私の中にコイツを取り込み、魂毎消滅させる。
リリノアールの洗脳などを得て、私の魂はかなり丈夫になってるってヴァルカンが言ってた。
その代わり私が支配下に置くまで、スペクターは私の身体を操れるらしい。
「マリア、頼むわよ!」
「わかっていますの!」
私はスペクターの精神と闘わないといけない。
でもマリアにその時の負担を押しつける形になったのは申し訳がないわ。
「ここがスペクターの精神世界・・・」
白い世界。
スペクターらしき人影が見える。
でも私の予想に反して、それは鎖に繋がれていた。
代わりに二つの人影がある。
「ルル」
「え?」
私は自分の目を疑った。
そこには私の大切な幼馴染み、ロアがいた。
そしてその横にはレインがいる。
「どうして二人が?」
「どうやらスペクターを召喚する際に俺達のアンデッドが元になったみたいでな。ワイら少しだけお前の精神に入ることが出来たんや」
「スペクターの作り出した偽物?」
「そうかもしれない。でもそれならそれでスペクターには感謝しないと」
わからない。
彼女がロアなのか、それともスペクターの幻想なのか。
「本当にロアなの?」
「疑り深ぇな!?お前泣いてたやろ。最期に会えた、それじゃダメなん?」
「最期・・・」
「多分、これもきっと残留思念。私は私だけど、多分私じゃないんだと思う」
「それってどういうこと?」
「本当の私はもう死んでいて、今は遺体に残っていた未練みたいな物がスペクター召喚を通して意思疎通ができるようになっただけなんだよ」
わからない。
訳がわからない。
でも死んだはずのロアとここで会えた。
今はそれで良いと思った。
私はロアに抱きついた。
「スペクターを倒すために取り込んだのにどうしてロア達なのよ!」
「ルル。ごめんね。私がもっとしっかり生き残れたら、辛い思いをさせなかったのに」
「私こそ、フランチェスカを逃がしたから・・・」
「ううん。でもルルはこんなところで嘆いてる場合じゃないわ」
「そうやな。どうやらワイらが死んだ後の今の時代は大変な事になっとるみたいやんか」
なんでそんなことがわかるの?
残留思念だと世界の流れがわかるとか?
いや、これは私の都合の良い記憶?
「ルル、なんとなく考えてることはわかるわ。だから一つだけ教えとく」
「教える?」
「ルルはルルのままでいい。誰が何と言おうと」
「どういうこと!?」
「ごめん。多分、これを教えると可能性の一つが消えるの。だから自分でたどり着いてなんとかして」
「可能性?一体何の話をしているの?」
「ワイらが外の世界について教えてくれた奴がおる。そいつをどうにか助けてやれっちゅー話や」
「それって・・・」
「ルル、最期になるから伝えておくわ。私はルルのおかげで死ぬまで幸せだった。仇討ちなんて気張らなくて良い。ルルはルルのしたいように生きてよ」
「ワイもや。ワイの死はリリノアールの所為や。ルルはワイを殺すことを最期まで躊躇っていた。その気持ちを忘れんな」
「レイン・・・」
私は涙を拭った。
こんなところで泣いている場合じゃない。
「ルル、スペクターはワイらに任せとけ」
「その代わりモモやあの子を救って」
「ロア、レイン。私!」
「言いたいことは言ったで」
「ルルは弱くない。優しさは弱く見えるけど誰よりも強いのよ。会えて良かった」
「ほな。またあの世でな。しわくちゃになった自分らをワイはみたいから長生きせえよ」
「うん!ありがとう」
そして二人はその場から消える。
白い光に包まれ、私もそれに飲み込まれていった。
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