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ヲホド王来襲
回顧Ⅷ主との約束後(杖刀人磐井)
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「なぜそれを!」
「姉上を託そうと言うのだ。調べない訳が無いだろう?」
大王は薄く笑ったが、磐井は蒼ざめた。
筑紫国造※である磐井の家には、言い伝えがある。
かつて大和から西海道(九州のこと)を征伐に来た大王と大后が居た。
大王は戦陣に没したにも関わらず、残された大后は戦を続けたと言う。敵方であったはずの磐井の先祖とその大后がどのようにして出逢い、情を交わしたのかは今となっては明らかではない。
ただ、大后は身籠った。身籠ってなお戦い、西海道を征服し終えた大后は磐井の祖の懇願を振り切って、そのまま大和の軍勢と共に新羅に出征してしまう。
縁は切れたはずであった。
しかし、新羅に大勝して戻って来た大后は筑紫で子を産む。男児の双子であった。すると、大后はそのうち一人を磐井の祖に預けたのだと言う。
これ等は貴方と私の子。一人は私が連れ帰り大和で王となす。一人はどうか貴方が育てて欲しいと。
磐井の祖は子供を受け取って育てた。
一方大后は大和へ帰ると、宣言通り先の大王の遺児を打ち負かし自らの子を大王となす。その後二度と筑紫に来ることは無かった。
大后の名を息長帯比売命(神功皇后)、大王となった子を品陀和氣命(応神天皇)と言う。
「品陀和氣命(応神天皇)は余の五世の祖。つまり、お前とは微かながら血がつながっている。もし、大和以外の地で他に大王家の血脈が見つかろうとも、血の薄さはお前とそう変わらんだろう。微かな血を頼りに見ず知らずの者に姉上は託せない。」
息を継がないと話せないのか、大王は言葉を切った。磐井は大王の背をさすり、枕元の土器の水を飲ませる。一息ついた大王は再び口を開いた。
「ならば、小さき頃より知悉したるお前に託した方が良い・・・口惜しいが、姉上もそれをお望みになるだろう・・・」
俯いて黙り込んだ大王の薄い背を見つめながら、磐井は衝撃を受けていた。
手白香様が、自分を望まれる?
暫くして、顔を上げた大王は、驚いている磐井の顔を見ると、皮肉気に笑った。
「なんだ、まさかお前は気付いて無かったのか?童の昔から、姉上はお前のことを見ていると言うのに?」
「それは・・・まことですか?」
訊ねた声がかすれている。大王はフイッとそっぽを向いた。
「そうでなければ、如何に血がつながろうと知悉した者であろうと姉上を託すものか・・・余がどれほどの思いでこの話をしているのか、分からぬとは言わせぬぞ。」
それは、分かりすぎるほど分かっているつもりだ。
だから、答えは一つしかない。
「有難うございます。身命に代えましても手白香皇女様をお守り致します。」
平伏すると、、、ややあって再び声がした。
「金村にはこのことを話しておく。あれは如才ない男だ。上手くやってくれるだろう・・・口惜しいが、頼んだぞ・・・義兄上。」
※の解説
国造 古代、大和の王権に服属した地方首長の身分の称。地方統治にあたらせ、大和政権は国造制のもとに地方支配体制をかためた(大辞林より)
「姉上を託そうと言うのだ。調べない訳が無いだろう?」
大王は薄く笑ったが、磐井は蒼ざめた。
筑紫国造※である磐井の家には、言い伝えがある。
かつて大和から西海道(九州のこと)を征伐に来た大王と大后が居た。
大王は戦陣に没したにも関わらず、残された大后は戦を続けたと言う。敵方であったはずの磐井の先祖とその大后がどのようにして出逢い、情を交わしたのかは今となっては明らかではない。
ただ、大后は身籠った。身籠ってなお戦い、西海道を征服し終えた大后は磐井の祖の懇願を振り切って、そのまま大和の軍勢と共に新羅に出征してしまう。
縁は切れたはずであった。
しかし、新羅に大勝して戻って来た大后は筑紫で子を産む。男児の双子であった。すると、大后はそのうち一人を磐井の祖に預けたのだと言う。
これ等は貴方と私の子。一人は私が連れ帰り大和で王となす。一人はどうか貴方が育てて欲しいと。
磐井の祖は子供を受け取って育てた。
一方大后は大和へ帰ると、宣言通り先の大王の遺児を打ち負かし自らの子を大王となす。その後二度と筑紫に来ることは無かった。
大后の名を息長帯比売命(神功皇后)、大王となった子を品陀和氣命(応神天皇)と言う。
「品陀和氣命(応神天皇)は余の五世の祖。つまり、お前とは微かながら血がつながっている。もし、大和以外の地で他に大王家の血脈が見つかろうとも、血の薄さはお前とそう変わらんだろう。微かな血を頼りに見ず知らずの者に姉上は託せない。」
息を継がないと話せないのか、大王は言葉を切った。磐井は大王の背をさすり、枕元の土器の水を飲ませる。一息ついた大王は再び口を開いた。
「ならば、小さき頃より知悉したるお前に託した方が良い・・・口惜しいが、姉上もそれをお望みになるだろう・・・」
俯いて黙り込んだ大王の薄い背を見つめながら、磐井は衝撃を受けていた。
手白香様が、自分を望まれる?
暫くして、顔を上げた大王は、驚いている磐井の顔を見ると、皮肉気に笑った。
「なんだ、まさかお前は気付いて無かったのか?童の昔から、姉上はお前のことを見ていると言うのに?」
「それは・・・まことですか?」
訊ねた声がかすれている。大王はフイッとそっぽを向いた。
「そうでなければ、如何に血がつながろうと知悉した者であろうと姉上を託すものか・・・余がどれほどの思いでこの話をしているのか、分からぬとは言わせぬぞ。」
それは、分かりすぎるほど分かっているつもりだ。
だから、答えは一つしかない。
「有難うございます。身命に代えましても手白香皇女様をお守り致します。」
平伏すると、、、ややあって再び声がした。
「金村にはこのことを話しておく。あれは如才ない男だ。上手くやってくれるだろう・・・口惜しいが、頼んだぞ・・・義兄上。」
※の解説
国造 古代、大和の王権に服属した地方首長の身分の称。地方統治にあたらせ、大和政権は国造制のもとに地方支配体制をかためた(大辞林より)
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