帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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バーベンベルク城にて

母さまは父さまの後始末に慣れてました

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母さまは私をバルコニーの陰に素早く隠すと、すぐに護衛騎士達を迎え入れた。でも、爆発音には一切触れずにしらを切りとおし、ただ、アランとブラントを医務室に運ぶよう指示を出す。

「ちょっと具合が悪くなって、寝かせてる。医務室で午後一杯休ませてやってくれ。」
一切の疑問を受け付けない断固とした指示だけど無理すぎる。人払いした執務室の方から爆発音。駆け付けたら執政と将軍が床に倒れてるなんて。

騎士のみんなは納得するのかなと子供ながらに心配したけれど。
騎士達も室内をサッと見まわして何もないこと確認すると、それ以上は追及しないで、さっさと指示に従った。
これは、、、。どうも大人たちの間では父さまのことは暗黙の了解事項となっているみたい。

ただ、筆頭護衛騎士であるクラークが最後に扉の前で一礼して一言、
「いつもの、と考えてよろしいので?閣下」
と母さまに確認した。クラークは融通が利かない真面目が売りの騎士だからね。でも、母さまは平然と、
「まあ、そういうことだな。あ、扉の護衛、もう付けていいぞ。」
と言って終わらせた。さすが女辺境伯、微塵も揺るがない。
感心していたら、母さまは、ああ、そうだ。とクラークを呼び止めた。
「アンナを呼んでくれ。ちょっと話があるんだ。」

扉が閉まり、室内が静かになると、母さまがふぅっとため息をついたのが分かった。私は、開きっぱなしの窓からそろそろと顔を出す。
「母さま、もう良い?」
母さまはこっちを見るとやさしく笑んだ。
「ああ、悪かったね、疲れてるのに我慢させて。こっちに来てお座り。ちょっと休もう。」
部屋の中央にある打ち合わせ用のソファを示すと、その対面に自分もゆったりと座る。
「アンナが来るまでにこれからの事を少し相談しないとね。」
私がちょこんと座るのを穏やかに見ながら、母さまは少し思案するように顎に指先を当てる。そしてゆっくりと話し始めた。

「君には色々黙っていたことが多くてね。まあ、さっきはどこから見聞きしていたのか知らないけれど、きっと驚いただろうね・・・実を言うと、私もとても驚いた。この私が、一瞬頭の中が真っ白になったよ。」
少しきまり悪げに笑ったあと、母さまはスッと目を細めた。美人が凄むと怖いです。

「ほんとは、おいたをした君の話をじっくり聞きたいところだ。この時間、うちのお嬢さんはダンスのレッスンをしてるんじゃないの?なんでここで隠れて盗み聞きをしていたのかな?」
ヤバい。母さま、私の授業予定も把握してるんだ。
でも、私の顔が引きつると、表情を少し和らげた。

「後から必ず詳しく聞くし、見合う罰も考えるよ。自由には責任が伴うからね。でも、今は君と父さまの関係を何とかする方が大事だからね。」
さっきの態度の事を言ってるんだって分かったけど、どうしていいかは分からない。
私がうつむくと、母さまは手を伸ばして頭をなでてくれた。

「君が見た父さまは、今まで知らなかった姿だけど、彼の一部に過ぎないんだよ。もちろん、いきなりで受け入れられないことも多いだろうし、混乱しても仕方ない。たぶん色々誤解していることも多いだろうから、本当は私が一からきちんと説明をしたいんだけど。」
ここで、もう一度ため息をつく。

「残念なことに、私はとして君の父さまを探さなきゃならない。彼は時間が経つほど思考の迷路の奥に入り込んで、ロクでもないことを考え出すからね。」
ロクでもないことって、、、。
「・・・たぶん帝都の執務室に籠もっていると思うんだが・・・いや、天究の塔の天辺かな・・・ヴァイハイト頂上の一枚岩だと時間がかかるな・・・いや、世界の天辺に飛ばれてると厄介だな・・・」
話しながら思案に沈んでいく母さま。父さまはショックを受けると高いところに籠もるの?ヴァイハイトって世界で一番高い雪と氷しかないっていう山よね。誰も頂上まで登ったことが無いんじゃ??ていうか、世界の天辺ってどこ?母さま。
私はどうしていいか分からず、とりあえず話の先を待つ。

「あぁ、済まない。話が逸れたね。そんな訳で、とりあえずアンナが来たら、部屋に帰って休んでなさい。君が逃げ出した授業は今日はもう受けなくていいから。私がアンナに謝っておこう。」
やったね!とちょっと気分が浮き立つ。母さまはそんな私をたしなめるように見つめた。

「喜ぶのは早いよ、ディー。代わりにこれから、父さまのことで頑張ってもらわないといけない。とりあえず、アンナから、父さまの話を聞きなさい。アンナには一般的なところを話しても構わないと言っておくから。」
一般的な父さまの話って、、、特別編が別にあるの?いや、たくさんありそうだけどさ。聞きたいような、お腹一杯なような、、、。

「父さまに連絡が着いたら、私も君の部屋に行くから、その後、君の質問や何かに答えよう。話せる限りは誠実に話すよ。だから」
母さまは真剣な目をして私を見つめた。
「どうか、君の父さまを、アルフレートを嫌ったり怖がったりしないで欲しい。せめて、彼の言葉をきちんと聞いてから判断して欲しいんだ。彼にとって君に嫌われるのは、たぶん帝国魔術師団が総出で大騒ぎすることになるくらい、大変なことだからね。」

「・・・」
そんな風には、とても思わないんだけどな。特にさっきの光景を見てしまうと。
話そうにも言葉は出ず、でも私の思いは顔に出ていたみたいで、母さまはフッと笑った。
「信じてないね、お嬢さん。でも嘘じゃないよ。今話す時間が無いのが惜しいけど、まあ、却っていいのかも。本当はアルから話すべきことだしね。さあ、さっさと連絡をつけて君の父さまを呼びもどして話し合おうか。」

いいタイミングで扉をノックする音が聞こえる。
「お嬢さま。アンナです。きっとディアナお嬢さまもいらっしゃいますね。」
母さまを未だにお嬢様と呼ぶのはアンナだけだ。うー、あの声、結構怒ってるかも。私が首をすくめながら立ち上がると、母さまも立ち上がって、いたずらっぽくウインクした。
「私の協力者への支援は惜しまないよ。アンナの機嫌は任せなさい。伊達に付き合いが長いわけじゃない。」

結局アンナは母さまの部屋に残り、私は一緒に来たライムンドと部屋に戻った。
アンナの顔、怖かったな、、、。母さま、ほんとによろしく頼みます。
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