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バーベンベルク城にて
父さまの噂話を幼馴染みが知ってました
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「ふーっ。ライに後を託してダンスの授業から逃げ出したのが、わずか二時間前なんてね。」
自分の部屋に戻り、ソファに寝そべってお気に入りのクッションを抱えてうだうだしていると、ライ、、、私はライムンドをこう呼んでいる、、、が目の前に温かい紅茶を置いてくれた。
お礼を言って一口含む。ライの淹れる紅茶は絶品だ。あ~生きかえるわ。もう今日は何も考えたくない。このまま夕寝でも出来たらもっと元気になるんだけどな。
「一体何があったんです?お嬢。」
そのまま下がらず、ライは私の後ろに立って興味深げに聞いてきた。母さまはライを見るとすぐに私を出して、アンナだけを部屋に入れたから、逃げ出した私の身に起こった出来事を、ライは知らないのだ。
「うーん」
話すかどうか、少し悩む。ライは侍従見習いだけど、ルー兄さまと三人で遊んだ小さい頃からの気安い仲間だ。大人がいないと私を今でも『お嬢』と呼ぶのはその名残りで。今までは隠し事なんてしたこと無いし、むしろ巻き込めば頼れる分、ルー兄さまより近しい存在なんだけど。
「大変だったんですよ、あれから。お嬢を探しているうちに、上の方でいきなり爆発音のような音がして。騎士は騒ぎ出すし、ばあ様(アンナの事よ)はもっと騒ぎ出すし。まあ、俺は大方旦那様がまた・・・っと。いやいや。とにかく無事を確認しなきゃって走り回っていたら、今度はいきなり閣下に呼ばれて。」
ふぅっとわざとらしくため息をつく。
「いないのがばれてたらどうしようってばあ様に慌ててついていったら、閣下の執務室の扉から、ひょっこりお嬢が顔を出すんだから・・・もう拍子抜けですよ。」
どや顔で恩着せがましく言って来るけど、、、いやいや、なんか大事なこと、ごまかしたよね!?
「ライ、今なんて言ったの?」
私はがばっと顔をライの方に向けて問い詰めた。ライはウッとなったが、すぐにわざとらしくすまし顔になる。
「ですから、お嬢様がいない間、あちらこちらを心配して探し回ったという話ですよ。」
ライの言葉が急に丁寧になる時は、必ず何か都合の悪いことをごまかすときだ。さあ、どうやって吐かせようか。
私はしゅんとしてみせた。
「いつもごめんね。ライ。」
「いいんですよ。今回はお咎めも無かったし。」
上手くごまかせたとホッと笑うライ。うん、素直でよろしい。
「騎士のみんなにも心配をかけたかな?怒られる前に謝った方が良いと思う?」
「うーん、大丈夫だと思うけど。俺やばあ様がウロウロしてても、最近じゃ、「またかよ、大変だな」て感じだし、今日は爆発音があったのが閣下の部屋の方だったから、みんなそっちに走り出して。」
「騎士のみんなも旦那様がやらかした、って言ってた?」
「直接は言わないけど、目を見交わして、「あーまた」とか「今日の犠牲者は」とか言ってたから、たぶん思って、は・・・」
やったね。ほんとに昔からライは単純なのよね。
言葉を止めてだんだん青ざめるライに、私はニヤリと笑いかけた。
「引っかかったね、ライ。」
結局ライは、父さまが度々うちに帰って来てはやらかしているのを知っていると白状した。それも、随分小さい頃から知っていたらしい。別に秘密でもなく、なんとルー兄さまも知ってると。大人の会話には普通に出て来たし、アンナが話してくれたエピソードもいくつかあるらしい。
ただ、どんな時も、誰に聞いても、これはディアナ様には絶対に内緒だよ、という枕言葉が必ず付くのだそうだ。
「え?私だけ仲間外れってこと?」それもショックだな、、、。
「仲間外れってことは無いと思うけど。むしろ、絶対にお嬢に聞かれたくなくて、箝口令を引ける人がいるってことでしょ。」
誰だか分かりますよね。まずいな、バラしたのが俺だって分かったらどうなっちゃうのかな、やっぱり氷漬け、、、とおびえるライを、私はクッションでパシパシ叩いた。
「だらしないわね。大丈夫よ。私、今日見たもの。ライがばらしたなんて言わないわ。」
「はぁ、良かった!って、お嬢、見たんですか?なまで!?」
現金に回復したライに、ぐいぐい聞かれて引いてしまう。
「なまで?」見たって、まあ、見たけど。結構ショック受けてるけど。なんでこんなに興味津々なの?だって、私なんかよりよっぽど知ってるんでしょ、色々。
冷めた紅茶に口をつけながら首をかしげる私に、ライは目をキラキラさせて爆弾を落とした。
「とにかくすごいって、みんな言うんだよ。話だけでも俺なんか砂糖を吐きそうになるんだけど、一たびその場に居合わせると、全然違うって。誰でも言うんだよ、その場の状況はそれぞれ違うのに、最後は同じ。旦那様が周囲を一切顧みず、甘くて重くてどろどろした空気の中、妄執のような愛を実力行使付きで訴えるから、甘いわとばっちりが怖いわで震えが止まらなくなるって。それなのに閣下はそれを受け止めつつもさらりとかわして、いつの間にか旦那様をさくっと仕事に戻してしまう。見事の一言に尽きるって。」
ブッと吹いてしまった私は、悪くないと思うの。
自分の部屋に戻り、ソファに寝そべってお気に入りのクッションを抱えてうだうだしていると、ライ、、、私はライムンドをこう呼んでいる、、、が目の前に温かい紅茶を置いてくれた。
お礼を言って一口含む。ライの淹れる紅茶は絶品だ。あ~生きかえるわ。もう今日は何も考えたくない。このまま夕寝でも出来たらもっと元気になるんだけどな。
「一体何があったんです?お嬢。」
そのまま下がらず、ライは私の後ろに立って興味深げに聞いてきた。母さまはライを見るとすぐに私を出して、アンナだけを部屋に入れたから、逃げ出した私の身に起こった出来事を、ライは知らないのだ。
「うーん」
話すかどうか、少し悩む。ライは侍従見習いだけど、ルー兄さまと三人で遊んだ小さい頃からの気安い仲間だ。大人がいないと私を今でも『お嬢』と呼ぶのはその名残りで。今までは隠し事なんてしたこと無いし、むしろ巻き込めば頼れる分、ルー兄さまより近しい存在なんだけど。
「大変だったんですよ、あれから。お嬢を探しているうちに、上の方でいきなり爆発音のような音がして。騎士は騒ぎ出すし、ばあ様(アンナの事よ)はもっと騒ぎ出すし。まあ、俺は大方旦那様がまた・・・っと。いやいや。とにかく無事を確認しなきゃって走り回っていたら、今度はいきなり閣下に呼ばれて。」
ふぅっとわざとらしくため息をつく。
「いないのがばれてたらどうしようってばあ様に慌ててついていったら、閣下の執務室の扉から、ひょっこりお嬢が顔を出すんだから・・・もう拍子抜けですよ。」
どや顔で恩着せがましく言って来るけど、、、いやいや、なんか大事なこと、ごまかしたよね!?
「ライ、今なんて言ったの?」
私はがばっと顔をライの方に向けて問い詰めた。ライはウッとなったが、すぐにわざとらしくすまし顔になる。
「ですから、お嬢様がいない間、あちらこちらを心配して探し回ったという話ですよ。」
ライの言葉が急に丁寧になる時は、必ず何か都合の悪いことをごまかすときだ。さあ、どうやって吐かせようか。
私はしゅんとしてみせた。
「いつもごめんね。ライ。」
「いいんですよ。今回はお咎めも無かったし。」
上手くごまかせたとホッと笑うライ。うん、素直でよろしい。
「騎士のみんなにも心配をかけたかな?怒られる前に謝った方が良いと思う?」
「うーん、大丈夫だと思うけど。俺やばあ様がウロウロしてても、最近じゃ、「またかよ、大変だな」て感じだし、今日は爆発音があったのが閣下の部屋の方だったから、みんなそっちに走り出して。」
「騎士のみんなも旦那様がやらかした、って言ってた?」
「直接は言わないけど、目を見交わして、「あーまた」とか「今日の犠牲者は」とか言ってたから、たぶん思って、は・・・」
やったね。ほんとに昔からライは単純なのよね。
言葉を止めてだんだん青ざめるライに、私はニヤリと笑いかけた。
「引っかかったね、ライ。」
結局ライは、父さまが度々うちに帰って来てはやらかしているのを知っていると白状した。それも、随分小さい頃から知っていたらしい。別に秘密でもなく、なんとルー兄さまも知ってると。大人の会話には普通に出て来たし、アンナが話してくれたエピソードもいくつかあるらしい。
ただ、どんな時も、誰に聞いても、これはディアナ様には絶対に内緒だよ、という枕言葉が必ず付くのだそうだ。
「え?私だけ仲間外れってこと?」それもショックだな、、、。
「仲間外れってことは無いと思うけど。むしろ、絶対にお嬢に聞かれたくなくて、箝口令を引ける人がいるってことでしょ。」
誰だか分かりますよね。まずいな、バラしたのが俺だって分かったらどうなっちゃうのかな、やっぱり氷漬け、、、とおびえるライを、私はクッションでパシパシ叩いた。
「だらしないわね。大丈夫よ。私、今日見たもの。ライがばらしたなんて言わないわ。」
「はぁ、良かった!って、お嬢、見たんですか?なまで!?」
現金に回復したライに、ぐいぐい聞かれて引いてしまう。
「なまで?」見たって、まあ、見たけど。結構ショック受けてるけど。なんでこんなに興味津々なの?だって、私なんかよりよっぽど知ってるんでしょ、色々。
冷めた紅茶に口をつけながら首をかしげる私に、ライは目をキラキラさせて爆弾を落とした。
「とにかくすごいって、みんな言うんだよ。話だけでも俺なんか砂糖を吐きそうになるんだけど、一たびその場に居合わせると、全然違うって。誰でも言うんだよ、その場の状況はそれぞれ違うのに、最後は同じ。旦那様が周囲を一切顧みず、甘くて重くてどろどろした空気の中、妄執のような愛を実力行使付きで訴えるから、甘いわとばっちりが怖いわで震えが止まらなくなるって。それなのに閣下はそれを受け止めつつもさらりとかわして、いつの間にか旦那様をさくっと仕事に戻してしまう。見事の一言に尽きるって。」
ブッと吹いてしまった私は、悪くないと思うの。
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