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バーベンベルク城にて
幼馴染(子ども)でも知ってる、軽めの『父さま、愛の劇場』
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「汚いなあ、お嬢。ほら、こっち向いて。」
昔から世話焼きのライは、ささっと私の口元を持っていたハンカチで拭うと、紅茶と一緒に持ってきた布巾で、あっという間に自分や周りを綺麗にし、もう一度紅茶を淹れ直してくれた。
温かく綺麗な紅い液体が、真っ白いカップを満たしていく。
うん、ライ、流石執事の家系だけはあるね。所作も完璧。、、、ついでに、主の好奇心も満たしてもらおうか。
母さまから「(アンナからは)聞いても良いと言われた、」と言いくるめて聞き出した、ライ曰く『父さま、愛の劇場』話は充分衝撃的だった。
其の一、執務室でお茶を頼んだ時、新米の侍女が少し猫舌の母さまに熱々のお茶を出してしまい、母さまが、「熱っ」と言ったとたん父さまが現れた。
父さまは黙って母さまにキスして(回復魔法を使ったみたい)、抱きしめて母さまの視界を閉ざすと、侍女を一瞥。その瞬間侍女は魔法の炎に包まれ、周囲の人は絶叫。急いで母さまが父さまに注意して炎を消した。
魔法の炎は幻影であり、消えると実害は無かったが、侍女は恐怖のあまり白髪に。
父さま曰く母さまの熱さを味わえば良いとやったけど、実害は無いのだから、いい懲らしめになったと。以降、母さまの飲むものは、どの茶器で何を淹れても、どんな熱いお湯を使っても、一定の温度になるらしい。
其の二、城下で評判の町娘が、からまれているところを辺境伯騎士団の一人に助けられた。
熱を上げた町娘は騎士団詰所に通い詰めたが、肝心の騎士は閣下の信望者で、まったく取り合わなかったところ、町娘は切れて閣下を『男女」呼ばわりした。
その瞬間父さまが現れ、町娘は口がきけなくなった。駆け付けた母さまがとりなして口はきけるようになったが、鴉のようなしわがれ声になってしまった。しかも、母さまの悪口を言おうとすると、胸をかきむしるほどの呼吸困難に陥るとか。
父さま曰く「心映えが声に現れるようにしただけ」とかで、母さまが何を言っても元には戻さなかったらしい。
其の三、皇城の舞踏会で父さまが皇帝陛下に声をかけられ、一瞬母さまから離れたスキに、酔っ払った貴族の若者が突然母さまの腕を取って口説こうとした。
その瞬間父さまが現れ母さまを抱きしめ、一言呟くと、その若者はヒキガエルになり、ゲコゲコ鳴きながら広間を出て逃げていった。
次の朝、彼は城の排水溝の中に汚泥にまみれた姿で座り込んでいるところを見つかったが、委細を話さず、以来母さまに不埒に近づく男は絶えたとか。
其の四、、、
「もうお腹一杯よ、ライ」
私はぐったりしてソファに寄りかかりつつライを止めた。正餐を一度に三種類食べさせられた気分。も、いろんな意味で吐きそう。
「えーっもう良いの?まだまだ色々あるけど~。しかも、俺の知ってるのなんて、子どもにでも話せる重たくないバージョンらしいよ。それでも、一つ一つにちゃんと、旦那様がいかに閣下を愛していて、大事にしていて、出来れば誰の眼にも触れさせたくないっていう語りが入るんだけど。」
「聞きたい?」とニヤニヤされてブンブン首を振る。勘弁してよ~。
食事だけじゃなかった!毎回お菓子付きだったわ!
昔から世話焼きのライは、ささっと私の口元を持っていたハンカチで拭うと、紅茶と一緒に持ってきた布巾で、あっという間に自分や周りを綺麗にし、もう一度紅茶を淹れ直してくれた。
温かく綺麗な紅い液体が、真っ白いカップを満たしていく。
うん、ライ、流石執事の家系だけはあるね。所作も完璧。、、、ついでに、主の好奇心も満たしてもらおうか。
母さまから「(アンナからは)聞いても良いと言われた、」と言いくるめて聞き出した、ライ曰く『父さま、愛の劇場』話は充分衝撃的だった。
其の一、執務室でお茶を頼んだ時、新米の侍女が少し猫舌の母さまに熱々のお茶を出してしまい、母さまが、「熱っ」と言ったとたん父さまが現れた。
父さまは黙って母さまにキスして(回復魔法を使ったみたい)、抱きしめて母さまの視界を閉ざすと、侍女を一瞥。その瞬間侍女は魔法の炎に包まれ、周囲の人は絶叫。急いで母さまが父さまに注意して炎を消した。
魔法の炎は幻影であり、消えると実害は無かったが、侍女は恐怖のあまり白髪に。
父さま曰く母さまの熱さを味わえば良いとやったけど、実害は無いのだから、いい懲らしめになったと。以降、母さまの飲むものは、どの茶器で何を淹れても、どんな熱いお湯を使っても、一定の温度になるらしい。
其の二、城下で評判の町娘が、からまれているところを辺境伯騎士団の一人に助けられた。
熱を上げた町娘は騎士団詰所に通い詰めたが、肝心の騎士は閣下の信望者で、まったく取り合わなかったところ、町娘は切れて閣下を『男女」呼ばわりした。
その瞬間父さまが現れ、町娘は口がきけなくなった。駆け付けた母さまがとりなして口はきけるようになったが、鴉のようなしわがれ声になってしまった。しかも、母さまの悪口を言おうとすると、胸をかきむしるほどの呼吸困難に陥るとか。
父さま曰く「心映えが声に現れるようにしただけ」とかで、母さまが何を言っても元には戻さなかったらしい。
其の三、皇城の舞踏会で父さまが皇帝陛下に声をかけられ、一瞬母さまから離れたスキに、酔っ払った貴族の若者が突然母さまの腕を取って口説こうとした。
その瞬間父さまが現れ母さまを抱きしめ、一言呟くと、その若者はヒキガエルになり、ゲコゲコ鳴きながら広間を出て逃げていった。
次の朝、彼は城の排水溝の中に汚泥にまみれた姿で座り込んでいるところを見つかったが、委細を話さず、以来母さまに不埒に近づく男は絶えたとか。
其の四、、、
「もうお腹一杯よ、ライ」
私はぐったりしてソファに寄りかかりつつライを止めた。正餐を一度に三種類食べさせられた気分。も、いろんな意味で吐きそう。
「えーっもう良いの?まだまだ色々あるけど~。しかも、俺の知ってるのなんて、子どもにでも話せる重たくないバージョンらしいよ。それでも、一つ一つにちゃんと、旦那様がいかに閣下を愛していて、大事にしていて、出来れば誰の眼にも触れさせたくないっていう語りが入るんだけど。」
「聞きたい?」とニヤニヤされてブンブン首を振る。勘弁してよ~。
食事だけじゃなかった!毎回お菓子付きだったわ!
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