帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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バーベンベルク城にて

ルー兄さまは母さまと交代です

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ぐうの音も出ない。

私はベッドから降りるとまっすぐに扉に向かった。
ちょっと照れくさくて、静かに開ける。

兄さまは腰に手を当て、仁王立ちして、扉を睨むようにして、待っていてくれた。

「情けないところをお見せして申し訳ありません。そしてありがとうございます。ルーファス・テオドール・グンダハール兄さま。」
感謝の気持ちを込めてカーテシーをする。
「あの時、握ってもらった手のひらのぬくもり、思い出しました。・・・とっても気持ちよかったよ。」
ニコッとすると、フイッと横を向いてしまった。
「俺は忘れたけどな。」
憎まれ口を叩くけど、耳まで真っ赤だよ。

照れくさそうにする兄さまは、最近めっきり見なくなった、小さいときのやんちゃ顔だった。



「心配することも無かったな。」
朗らかな声が聞こえて、私とルー兄さまはパッと振り向いた。
「母さま・・・。」
窓から差し込む夕日に紅色の髪をキラキラさせた母さまは、窓枠に軽く寄りかかって腕を組んでいた。
「いつからそこに・・・母上・・・」
ルー兄さまのうめき声がする。母さまに似て照れ屋の兄さまは、こういうのが苦手なのだ。
にやにや観察していると。
「では、俺は勉強があるので・・・」

案の定、兄さまはさっさと自室へ戻ろうとした。その腕を、いい笑顔で掴む母さま。
「まあ、そう逃げるな、ルー。たまには親子でゆっくりお茶でも飲まないか?」
父上もそのうち来るから、ルーの評価を直接聞いたら喜ぶぞ。
にっこり。母さまは冗談半分本気半分ってところかもしれないけれど。
たぶん兄さまにしてみればたまったもんじゃないと思う。

すごい勢いで腕を引き抜くと、だだっと自室に駆け込もうとする。
「ルー、おい、ちょっと待て。」母さまが呼び止めても、ほんとに扉を開けかけたまま立ち止まるだけだ。

「今のは冗談だ。だから・・・」
ちょっと真面目な表情になる母さま。

「後で呼んだら、必ず来て欲しい。家族会議をするから。」
「・・・」
「君たちの父上が、さっき拗ねてしまってね。二人に助けて欲しいんだ。」
助けて欲しいなんて言う割に、にこにこしている母さま。
「?・・・分かりました。」
でも、真面目な兄さまは一礼して部屋に戻る。気づくとその後ろ姿は細いながらすっと背筋も伸び、遊んでた頃とは違う。
でも、いつまでも私の兄さまなんだな、なんて眺めていると。

「ディーは嫌がらずに母さまと話してくれるか?」
母さまがやさしく目を覗き込んでくれる。、、、ここにも、いつも頼りになる人がいた。
「・・・ちょっと聞きたいことは、あるかな。」
「そうか。じゃあ、女同士の語らいだな。」
ハハっと笑って肩を抱かれ、私はさっきとは全く違うほっこりした気分で自室の扉をくぐった。
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