帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

文字の大きさ
47 / 241
皇宮での邂逅

伯父さまはダンディでお茶目な紳士でした。

しおりを挟む
「さあ、急いで行こうか。」
身分証をポケットに入れると、オリヴィエ兄さまに促された。
「あの人は待たされるのに慣れてないからね。」
ほんとは転移したいくらいだけど、君に触れることは出来ないし、色々案内しろって言われてるし。
「?」
「いやいや、こっちの話し。さあ、行こうか。邪魔したね!あ、それとテレーゼ、この子は同好会で使っちゃダメだからね!」
「オリヴィエ様に言われたら仕方ありません。ライムンド君、頑張ってね。」
テレーゼさんに手を振られて、部屋を出た。


オリヴィエ兄さまの後ろを歩きながら、魔導師団の大まかなつくりを教えてもらう。
詳しいと自分でいうだけあって、ほんとにどの部屋のことを聞いても知ってる。
でも、私はそんなに一度に覚えられないよ。そう思っていると。
「ふふ、目が虚ろになってきたね、一度には無理かな、ディーちゃん」
からかうように笑われてしまった。
あら、愛称使われちゃった。
ちょっと上目遣いに睨むと、「仕草は女の子だね。可愛いな。」と目を細められる。
頭に手が伸びてきて、あ、撫でられる、と肩を竦めたら。
小鳥がチッと言って飛び上がり、その手を突いた。
「あ、ダメ。」
止めたけど間に合わない。
「ごめんなさい。」
謝ると小鳥からなんと父さまの声がした。
「魔術で弾かれるよりいいだろう、オリヴィエ。」
「父さま」「叔父さん」二人で思わず顔を見合わせる。
父さま、この小鳥とも同期してるんだ、、、。
「本当に心狭いなぁ。」
オリヴィエ兄さまは感心したように呟いた。

結局。取り敢えず。
色々な建物があるけれど、一番大きな建物の一番上に団長執務室があるから、迷ったら外に出て確認すればいいと言われた。
うん、そう言う説明が欲しかったのよ。
「了解でーす。」
ビシッと敬礼すると、お互いにニコッと笑い合う。
うん、だんだんこの人も掴めてきた気がするわ。


「近道するよ。」
下まで降り切ると人通りの多い方へ向かわず、建物の端から外へ出る。
明るい日差しの中には、いつ手入れをしたのか、小さな花が自然に咲き乱れる裏庭?があった。道とも言えない小道が向こうの建物に続いている。
「あそこが僕の普段居るところ、政務宮だよ。この道が魔導師団には一番近いから覚えておいて。」
まあ、裏道だけどね。笑いながら付け加え、歩き始める。
「因みに、建物の反対側にも、道があって、そっちは騎士団に続いてるよ。」
そっちも僕は御用達でね。君もよかったら使ってみて。
軽く言いながら長い足でさっさと歩くから、付いていくのが大変。
「そして、やっぱり、政務宮も、一番上が君の伯父さんの居る場所だからね。迷ったら上に上がるんだよ。」


政務宮も大きく、人通りも多かったけど、オリヴィエ兄さまはほんとに急いでいるのか、黙ってツカツカ歩いていく。私も黙って早足でついていったので、直ぐに一番上の大きな扉の前に着いた。

「さあ、覚悟はいいね。」扉の前に立つ騎士に軽く頷いたオリヴィエ兄さまは、突然振り返って屈むと囁いてきた。

「?」
覚悟も何も、言われるまま付いてきただけなんだけど。
取り敢えず頷いた。
「よし、行こうか。・・・オリヴィエ、戻りました。」
ノックの後一声掛け、そのまま待つ。
あら、珍しい、待つんだ?そう思っていると。
扉の向こうで物音と早足で近づく足音がして。
「よく来たねっ!!」
バーンッという勢いで扉が開き。
端正な姿のステキな男の人が、私を見るなり、いきなり抱きしめてきた。

うん、確かに覚悟しておいてよかったかも。



その方は、私をギュウギュウ抱きしめながらオリヴィエ兄さまを軽く睨む。
「何処に寄り道していたんだ!全然帰ってこないから、午前の執務が終わってしまったではないか。」
補佐官は早々に追い出してしまったし、ヒマでヒマで、お前の仕事の粗探しをしてしまったよ。と少し意地悪く笑う。
振り返ると、扉を閉めていたオリヴィエ兄さまの笑顔が引きつってた。ここは私が助けるべき?
「コンラート公爵閣下?」多分そうだよね?
「私、ほんとうにさっき来たばかりで。オリヴィエ兄さまは私の手続きを父さまの代わりにして下さいました。」
お待たせして申し訳ありませんと続けると。
その方は、ハッと目を見開き、「オリヴィエ兄さまだと!?」
と叫んだ。

注目するのそこなの?


「父上。ディーちゃんがビックリしてますよ。まずは自己紹介しないと。」
言いながらオリヴィエ兄さまが部屋の中央にあるソファに促してくれる。
「ディーちゃん!お前、やっぱり先に仲良くなりおって・・・いや、挨拶は大事だな。そうだ、アルフの時もそうだった・・・さあ、こっちへおいでディアナ嬢。」

一転。完璧なエスコートで私をソファへ導いてから、その方は自己紹介してくれた。
やっぱりコンラート公爵で、私の伯父さまだった。なんと宰相さまでもあるらしい。

確かに、綺麗な白金の髪はルー兄さまと一緒だし、黄金の瞳は父さまや私と一緒だ。
さっき、端正な顔立ちに皮肉げに唇を歪めたところなんか、顔立ちは違うのにルー兄さまとそっくり。
今年五十歳と伺ったけど、立ち姿も美しくて、とてもそんな風に見えない。
感想を正直に伝えると、とっても優しく目を細められた。
「そうかそうか、デイーちゃんは・・・もちろんこう呼んで構わないだろう?・・・優しいいい子だな。」
「早く君の本当の姿を見たいよ。私は娘が欲しくてね。アルフに娘が出来たと聞いた時から、早く会わせろと言ってきたんだ。せっつきすぎて警戒されて、今まで殆ど会わせてもらえなかったんだけどね。」アハハと明るく笑う。
笑い皺が目尻に出来て、一層優しげだ。と、思っていると。
「ところで、ディーちゃんは私を伯父さまと呼んでくれるのかな?」
と言い出した。
「もちろんです。伯父さま。お会いできてとてもうれしいです。」ニコッとしてからそう答えると。
「なんなら、お父さまでもいいんだよ。このままうちに連れて帰ってうちの子にしちゃおうか?」
困ってしまうような冗談を言われてしまう。
笑って誤魔化そうとすると、すかさずオリヴィエ兄さまのつっこみが入った。
「ダメですよ、父上。何言ってるんですか。見てください、もうこの子には使い魔が付いてるんですから。さっきも叔父上はその鳥を通して声を掛けて来たんです。」

「さすがアルフだな。」伯父さまは泰然と言葉を受け止め、なお微笑んだ。
「では、うちの子に貰うのはやめにするけど。これから皇宮滞在中は毎日お昼を一緒にどうだい?」

「それはひどすぎる!せめて三日に一度にして下さい!」
小鳥の嘴から、なんとも切羽詰まった父さまの声が聞こえて。私たちは三人で思わず顔を見合わせて笑ってしまったの。

しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

処理中です...