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皇宮での邂逅
魔導師団長と宰相、究極の選択
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痛い。
一歩踏み出すごとに痛みが脳天に響く。
模擬剣で刃は削ってあるから、ザックリ切られてはいないけど、利き手の肩を思い切り突かれたから、打ち身がキツい。このままじゃ日常生活に支障が出る。第一、父さまにバレた瞬間、自惚れじゃなく皇宮が、ううん、帝都が崩壊する自信がある。
『ローちゃん、絶対、絶対父さまには内緒ね。』
念押しをすると、
『我は賛成しかねる。主に対する行い、許し難い。』
初めて反対されてしまった。
必死で頼む。
『ダメダメ。ローちゃん。父さまにバレたら、帝都が崩壊しちゃう。ローちゃんだって困るでしょう?』
『我は主が無事なら困らない。』
『有難う、ローちゃん。でも、私が困るの!』
『主が困るのか。なら、黙っている。』
『ローちゃん、有難う!!』
肩を気遣って利き手の反対の腕に乗ってるローちゃんの額にキスをする。
私からの感謝とローちゃんからの気遣いがお互いに流れるのが分かって、温かい気持ちになった。
さて、この傷をどうするか。
私は立ち止まって考える。
誰か、治癒能力を持つ魔導師さんに頼めると一番良いんだけど。
魔導師団内だと絶対父さまにバレるから、それ以外で。
うーん、あの人に頼むしか、ないよね。
「ローちゃん、私のお願いを届けてくれる?」
目を覗き込んで尋ねると、ローちゃんはチッと鳴いて、すぐに飛び立った。
「頼みって何?僕を頼ってくれて嬉しいよ。」
オリヴィエ兄さまは、すぐに来てくれた。
にこにこしている。内容は知らせずに、と、ローちゃんに頼んで良かった!
「補佐官のお仕事があるのに、申し訳ないです。」
ぺこりと頭を下げかけて、思わず痛みで顔をしかめて肩を押さえた。
オリヴィエ兄さまがギョッとする。
「あれ、ディーちゃん、怪我してる!?」
近寄ってくるので、片手を上げて制止する。
「ちょっと、肩を・・・出来れば、二六歳以上で、魔導師団員ではない、治癒能力のある方に見て頂きたいんですが、どなたかご紹介頂けませんか?」
「・・・」
ちょっと沈黙したけど、大体は理解したようだ。
「ヤバイね、これは。ちょっと待ってて。僕じゃ転移もさせてあげられない。取り敢えずコンラート公爵家付きの魔導師を呼んでくるから。
治癒魔法が使えるおばあさんだからね。」
オリヴィエ兄さま、話が早いです。
転移で飛んで、見つけるなり連れて来たのだろう。
オリヴィエ兄さまは、本当に直ぐに戻ってきた。
小柄な黒装束の人が一緒だ。
フードからこぼれる髪は真っ白で、小さな顔や差し伸べられた手は皺だらけ。
「ディーちゃんお待たせ!ラーナ、この子だ、治せる?」
「おやおや、どうした?・・・この魔力。もしやアルフレート坊っちゃまの?」
「そう、でも、そんな事は後で!とにかく叔父さんにバレる前に治さなきゃ!」
オリヴィエ兄さまが叫ぶ。そう、そこ、とっても大事だから、おばあさん!
「魔導師さん、お願いできますか?」
私も、痛みを堪えて頭を下げる。顔を上げると、茶色の穏やかな瞳が優しく笑んだ。
「いい子に育っておるのう。流石アルフレート坊っちゃまとエレオノーレ様のお子じゃ。」
「しかしのう。」
魔導師さん、、、ラーナさんは首を傾げる。
「この子にはとんでもない量と種類の魔術が掛かっておる。」
見えないものには分からんだろうが、見えるものには、まるで檻のようじゃ。
お、檻?なんか大げさじゃない?
私は笑ってやり過ごそうとしたが、オリヴィエ兄さまは溜め息をついた。
「やっぱりそうなんだ。もしかしてラーナの魔術でも、掛けたらバレる?」
「バレるの。傷の状態を見るために、服を脱がせた時点でダメじゃのう。」
「服を着たまま、取り敢えず治癒魔法を掛けるのは?」
諦めきれない私が聞くと。
ラーナさんは気の毒そうに私を見た。
「どんな些細なモノでも、癒やし系の術は全て筒抜けになるの。アルフレート坊っちゃまは、貴女が傷つくのは我慢ならんようじゃ。」
万事休す。
私はガックリと膝をつく。
「帝都の皆さんに避難指示を出して頂いた方が良いんでしょうか・・・。」
ヤケクソになって言うと、まあまあ、とラーナさんの声がした。
「坊っちゃまを押さえられる人間が此処にも一名おるじゃろう?」
え?母さまを呼ぶってこと?そりゃ、父さまを止められるとは思うけど、その後の騒動を考えると、なるべくなら最終手段に取っておきたい。
私が説明しようと顔を上げると、オリヴィエ兄さまが疑わしげに言った。
「もしや、父上ってことは・・・」
「さよう、宰相閣下じゃ。あの方ならば、アルフレート坊っちゃまを小さい頃からよくご存知じゃ。上手く怒りをそらせるやも知れぬ。」
とにかく、早く処置をせねば可哀想じゃ。
ラーナさんに言われ、オリヴィエ兄さまがハッとしたようにうなずいた。
転移は、皇宮内ならばラーナさんに連れて行ってもらっても大丈夫らしい。伯父さまの執務室に行くことになった。
ラーナさんの指示に従い、先ずはオリヴィエ兄さまが、人払いの為に転移した。
少し遅れて私もラーナさんに連れて行ってもらう。
私としては、伯父さまに知られるのも、実はちょっと危ないと思ってるんだけど、、、。
でも、父さまの方が関係ない人やモノに与える影響が大きい。どう考えても大きいだろう。
この前、興味本位で力試しをしたら、山が半分飛んだって言ってたよね、、、。
ブルブル、考えない考えない。
痛い上に、とんでもない悩みごとまで背負わせて!
本当にあのキラキラ金髪殿下、ちょっとは懲らしめてやりたいよ。
若ハゲとかね、、、。
痛いし疲れたし。明後日の方向に思考を飛ばした私の手を優しく握り、ラーナさんが連れて行ってくれた先には、、、。
「ディーちゃん!誰にやられた!伯父さんが仇を取ってやるぞ!!廃嫡か、左遷か、なんなら暗殺でも!!」
素敵ダンディ紳士の伯父さまが、凄い勢いで近付いてきたと思ったら、私を姫抱きしながら叫んだ。
誰もやられたなんて言ってないのに。
やっぱりこっちもヤバかった。
もう母さま呼ぶしか無いんだろうか、、、。
一歩踏み出すごとに痛みが脳天に響く。
模擬剣で刃は削ってあるから、ザックリ切られてはいないけど、利き手の肩を思い切り突かれたから、打ち身がキツい。このままじゃ日常生活に支障が出る。第一、父さまにバレた瞬間、自惚れじゃなく皇宮が、ううん、帝都が崩壊する自信がある。
『ローちゃん、絶対、絶対父さまには内緒ね。』
念押しをすると、
『我は賛成しかねる。主に対する行い、許し難い。』
初めて反対されてしまった。
必死で頼む。
『ダメダメ。ローちゃん。父さまにバレたら、帝都が崩壊しちゃう。ローちゃんだって困るでしょう?』
『我は主が無事なら困らない。』
『有難う、ローちゃん。でも、私が困るの!』
『主が困るのか。なら、黙っている。』
『ローちゃん、有難う!!』
肩を気遣って利き手の反対の腕に乗ってるローちゃんの額にキスをする。
私からの感謝とローちゃんからの気遣いがお互いに流れるのが分かって、温かい気持ちになった。
さて、この傷をどうするか。
私は立ち止まって考える。
誰か、治癒能力を持つ魔導師さんに頼めると一番良いんだけど。
魔導師団内だと絶対父さまにバレるから、それ以外で。
うーん、あの人に頼むしか、ないよね。
「ローちゃん、私のお願いを届けてくれる?」
目を覗き込んで尋ねると、ローちゃんはチッと鳴いて、すぐに飛び立った。
「頼みって何?僕を頼ってくれて嬉しいよ。」
オリヴィエ兄さまは、すぐに来てくれた。
にこにこしている。内容は知らせずに、と、ローちゃんに頼んで良かった!
「補佐官のお仕事があるのに、申し訳ないです。」
ぺこりと頭を下げかけて、思わず痛みで顔をしかめて肩を押さえた。
オリヴィエ兄さまがギョッとする。
「あれ、ディーちゃん、怪我してる!?」
近寄ってくるので、片手を上げて制止する。
「ちょっと、肩を・・・出来れば、二六歳以上で、魔導師団員ではない、治癒能力のある方に見て頂きたいんですが、どなたかご紹介頂けませんか?」
「・・・」
ちょっと沈黙したけど、大体は理解したようだ。
「ヤバイね、これは。ちょっと待ってて。僕じゃ転移もさせてあげられない。取り敢えずコンラート公爵家付きの魔導師を呼んでくるから。
治癒魔法が使えるおばあさんだからね。」
オリヴィエ兄さま、話が早いです。
転移で飛んで、見つけるなり連れて来たのだろう。
オリヴィエ兄さまは、本当に直ぐに戻ってきた。
小柄な黒装束の人が一緒だ。
フードからこぼれる髪は真っ白で、小さな顔や差し伸べられた手は皺だらけ。
「ディーちゃんお待たせ!ラーナ、この子だ、治せる?」
「おやおや、どうした?・・・この魔力。もしやアルフレート坊っちゃまの?」
「そう、でも、そんな事は後で!とにかく叔父さんにバレる前に治さなきゃ!」
オリヴィエ兄さまが叫ぶ。そう、そこ、とっても大事だから、おばあさん!
「魔導師さん、お願いできますか?」
私も、痛みを堪えて頭を下げる。顔を上げると、茶色の穏やかな瞳が優しく笑んだ。
「いい子に育っておるのう。流石アルフレート坊っちゃまとエレオノーレ様のお子じゃ。」
「しかしのう。」
魔導師さん、、、ラーナさんは首を傾げる。
「この子にはとんでもない量と種類の魔術が掛かっておる。」
見えないものには分からんだろうが、見えるものには、まるで檻のようじゃ。
お、檻?なんか大げさじゃない?
私は笑ってやり過ごそうとしたが、オリヴィエ兄さまは溜め息をついた。
「やっぱりそうなんだ。もしかしてラーナの魔術でも、掛けたらバレる?」
「バレるの。傷の状態を見るために、服を脱がせた時点でダメじゃのう。」
「服を着たまま、取り敢えず治癒魔法を掛けるのは?」
諦めきれない私が聞くと。
ラーナさんは気の毒そうに私を見た。
「どんな些細なモノでも、癒やし系の術は全て筒抜けになるの。アルフレート坊っちゃまは、貴女が傷つくのは我慢ならんようじゃ。」
万事休す。
私はガックリと膝をつく。
「帝都の皆さんに避難指示を出して頂いた方が良いんでしょうか・・・。」
ヤケクソになって言うと、まあまあ、とラーナさんの声がした。
「坊っちゃまを押さえられる人間が此処にも一名おるじゃろう?」
え?母さまを呼ぶってこと?そりゃ、父さまを止められるとは思うけど、その後の騒動を考えると、なるべくなら最終手段に取っておきたい。
私が説明しようと顔を上げると、オリヴィエ兄さまが疑わしげに言った。
「もしや、父上ってことは・・・」
「さよう、宰相閣下じゃ。あの方ならば、アルフレート坊っちゃまを小さい頃からよくご存知じゃ。上手く怒りをそらせるやも知れぬ。」
とにかく、早く処置をせねば可哀想じゃ。
ラーナさんに言われ、オリヴィエ兄さまがハッとしたようにうなずいた。
転移は、皇宮内ならばラーナさんに連れて行ってもらっても大丈夫らしい。伯父さまの執務室に行くことになった。
ラーナさんの指示に従い、先ずはオリヴィエ兄さまが、人払いの為に転移した。
少し遅れて私もラーナさんに連れて行ってもらう。
私としては、伯父さまに知られるのも、実はちょっと危ないと思ってるんだけど、、、。
でも、父さまの方が関係ない人やモノに与える影響が大きい。どう考えても大きいだろう。
この前、興味本位で力試しをしたら、山が半分飛んだって言ってたよね、、、。
ブルブル、考えない考えない。
痛い上に、とんでもない悩みごとまで背負わせて!
本当にあのキラキラ金髪殿下、ちょっとは懲らしめてやりたいよ。
若ハゲとかね、、、。
痛いし疲れたし。明後日の方向に思考を飛ばした私の手を優しく握り、ラーナさんが連れて行ってくれた先には、、、。
「ディーちゃん!誰にやられた!伯父さんが仇を取ってやるぞ!!廃嫡か、左遷か、なんなら暗殺でも!!」
素敵ダンディ紳士の伯父さまが、凄い勢いで近付いてきたと思ったら、私を姫抱きしながら叫んだ。
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やっぱりこっちもヤバかった。
もう母さま呼ぶしか無いんだろうか、、、。
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