帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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皇宮での邂逅

腹黒宰相にはMI(ミッションインポッシブル)は無い、、、?

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宰相閣下、、、もとい伯父さまの騒ぎっぷりを見て、私はオリヴィエ兄さまを睨む。

「なんて言ったんです、オリヴィエ兄さま。」
「いや、何にも。ディーちゃんが怪我しちゃったけど、治癒魔法使うの叔父さんにバレたくないって相談された、とだけ。」

えー、ほんと?
疑わしい、、、。なおも見つめていると、私をソファに寝かしつけた伯父さまが、仁王立ちし、腕組みの上、ふんっと鼻息も荒く言い出した。
「ディーちゃん、私が何年皇宮魔窟で宰相やってると思ってるんだい。一昨日のディーちゃんの友人発言には驚いたけど、その後は情報収集済みさ。」

実は、訓練場の四人、つまり、
皇太子フェリクス殿下。
ロイス侯爵嫡男ジキスムント。
伯父さまのすぐ下の弟、カレンブルク侯爵エリオットさまの双子、カーティスとヘイリー(あ、つまり私の従兄弟!)

彼らは、皇太子殿下と同じ年のご学友らしい。
陛下の依頼により、宰相閣下自ら選んで引き合わせてるから、その後も侍従や当直騎士から情報収集していて、力関係や性格は分かってるんだって。

「大方、小さい頃から我儘で勝ち気で、やりたい放題だった殿下が、真面目で堅物で、あの中で一番信頼を寄せていたジキスムントを取られると思って、やらかしたんだろう?」

本人が直接手を下したか、子分扱いの双子にやらせたか、若しくは不審者からの護衛を口実にジキスムントにやらせたか、、、。
「そこまでは読めなかったけどね。」
と、最後はちょっと悔しそうに仰るが。

うーん。
これは、出会いそのものが仕組まれてるな。そうとしか思えない。
そう言えば、やたらと探検を勧められたし、一昨日も色々聞かれたし、他にも、、、。
でも。
今は。
痛いし、何より父さま魔王降臨を防ぐために共闘しなくちゃ。
問い詰めて、なんで会わせようとしたかを聞くのはその後よ!



「よいですかの?」
そこへ。
穏やかながら断固とした声がした。

「まずは、この子の怪我をなんとかせねば。痛いのを我慢しとるのが、分かりませんかの?」
ラーナさんが伯父さまに話しかける。

「!そうだった。済まない、ラーナ。」
「謝罪はこの子にせねば。のう?」
私を穏やかに見遣るラーナさん。
伯父さまがバツの悪そうな顔するなんて、ラーナさんて、ただの公爵家付き魔導師じゃなさそうね。


咳払いを一つ。
それで伯父さまは場の雰囲気をさっと変えた。
「要はだな、アルフの怒りを逸らせばいいんだろう。」
直ぐに要点を詰めてくる。
流石は宰相さまだわ。
「どうすればいいかは分かってるんだ。後は、我々の腕と協力次第だな。」

え、なんだか自信満々なんだけど。

私の視線は疑わしげだったのだろう。
伯父さまが片眉を吊り上げた。

「ディーちゃん、エレオノーレ殿はアルフの扱いが上手いだろう?」

それは、もちろん。私は、今回も最後は母さまに泣きつくしかないと思っている。

「あの子に、対アルフ戦術を教えた・・・と言うか、やらせたのは、私なんだよ。」
えっへん。
咳払いでも聞こえてきそうな勢いで、大変偉そうに仰いますが、、、ほんとなの?

「ほんとほんと。大丈夫。ラーナの治癒、、、まあここは心配してないんだけど。あと、ディーちゃんの演技がきちんと出来ればね。」

「アルフが切れるのは、怒る時では無く、傷つく時なんだ。あの子を人に留めている存在から否定されたと感じる時、あの子が愛してやまない存在を傷付けられ、守れない無力感に苛まれる時。」
「だから、今回はディーちゃんが、傷付いてないってことをちゃんと示せば良いんだよ!」
簡単簡単。伯父さまはいい黒い笑顔でウインクした。

か、軽い、、、。そう言えば、初めてお会いした時もお茶目さんだと思ったんだ、、、。確かにこの人は、オリヴィエ兄さまの父上なんだわ。



宰相閣下演出による魔王降臨阻止作戦はこんな感じ。

先ず、ラーナさんが私に治癒魔法を掛け、一瞬で治す。
「一瞬、ここ大事ね。まあ、ラーナは経験あるから大丈夫だな?」

「御意。」
ラーナさんの穏やかな短い答えには、安心感がある。

次に、父さまが治癒魔法に気付いて転移で来た瞬間、私が父さまに抱きつく。出来れば嬉しそうに声を掛けて。
「ここが、エレオノーレ殿は本当に苦手でね。一瞬のためらいが結果を分ける。ここで失敗して、何度アルフが切れて、後始末が大変だった事か。」
伯父さまは噛みしめるように言った。
「いいかい!?会えて嬉しい!何の疾しいこともないの、という感じで抱きつく!ここ、本当に大事だからね。帝都を崩壊から救えるかどうかはこの台詞に掛かってるから。」
「は、ハイッ。」
私は思わず姿勢を正す。
伯父さまは、満足そうに頷くと続けた。

「そうすると、アルフは大体一瞬戸惑う。そこで、私が、何気なくどうしたんだ?と問いかけよう。」

「おそらくアルフは戸惑ったまま、でも、ディーが怪我をした筈だ、と説明してくるはずだ。
そこで、ふたたびディーちゃん!」
伯父さまの目がキラッと光った。

アルフの心配が吹き飛ぶような一言を言うんだ。

え、そこ、いきなりアドリブ?

「さあ、言ってみて!アルフを心配や無力感から解き放ち、有頂天にさせる一言!」

因みに、ここもエレオノーレ殿は下手くそだったから、取り敢えず、愛してる、と言うように指導していたよ。

得意げな伯父さまに、さあさあ、と詰め寄られ。

私は、ええと、と口を開いた。
「ちょっと怪我しただけなんだけど、父さまを心配させたくなくて。えと、父さまが大事で、好きだから、優しい父さまが、私のために怒ったことで、後から傷つくのは見たくないの・・・」
これは、ほんとのこと。

「・・・素晴らしい!」
伯父さまは目を見開いて拍手をした。
「よし、この調子なら、この作戦も、成功間違いない!」

なあ、オリヴィエ、お前もそう思うだろう?
伯父さまが振り返ると。

「お、お、」
顔面蒼白でガタガタ震える兄さまが居た。
ラーナさんは、、、?目をつぶってる?

「?」
そう言えば、なんだかちょっと変な感じ。やけに静かで、え、ちょっと、寒い、、、?
私と伯父さまが目を見合わせた時。



「楽しそうですね。ディー、兄上・・・なんの作戦か、お聞きしても?」

いつの間に居たのか。
風はそよとも吹いていないのに、父さま魔王がいたの。

その瞳は、、、黄金と紫が混じり合っていて。


イヤな汗が背中を伝う、、、。帝都、崩壊しちゃう?

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