帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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皇宮での邂逅

この世界の秀才が集う処(前)(フィン視点)

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「やあ、エルンスト・・・昨日の今日で、この状況は何かな?」
「分かるでしょう、フィン様。昨日と今日の間には、長~い一日があったんですよ。」

ディーを迎えに行ったが、何かおかしい。
書類に埋もれたまま、ピクリとも動かない父上と、副官権限で出来ることをしているエルンスト、そんな状態なのに、ソファで使い魔とおしゃべりしながらゴロゴロしているディー、、、うん、これは関わらないのがベストなやつだ。

「さっさと連れてった方が良さそうだな?エルンスト。」
「そうして下さると有難いですね~。出来れば何日かお預かり頂いても・・・」
「それはダメだ!・・・帰って来なさい、ディー・・・」
父上がバッとこっちを見たが、、、ディーと目が合った瞬間、言葉が尻すぼみになった。
ツーン、としたディー。珍しいな、この子は筋金入りの父上好きなんだが。

もちろん僕は、仲裁なんかしない。

「じゃあ、今夜は君を返さない・・・冗談だよ、父上、エルンストも。」
ガバッと立ち上がった二人に、優越感に浸りながら笑みを向ける。

「落ち着いた頃にディーは返すから、ちゃんと仕事しろよ、ポンコツ親父。」
あ、あとで使い魔送って。
エルンストに頼むと、僕はディーに手を差し伸べた。
「行こうか、ライムンド君。」
彼女はぴょんと立ち上がると、ニッコリ笑顔で僕の手を握った。
「よろしく、フィンさま。」

ディーからの「フィンさま」は格別だな!

取り敢えずカフェテリアの近くの庭園に転移する。
お昼前で、まだお腹は空いてないかもしれないけど、混んでるカフェテリアで知人に絡まれるのは嫌だから、先にお昼を済ませてしまおう。

「ディー。先にお昼食べちゃおうか?」
言いながら手を取って歩き出す。
ディーも素直について来た。
「ここはどこ?もう大学なの?」
キョロキョロしている。
緑濃い庭園の小径だからな。分からないよな。
「もう大学の敷地内だよ。これからカフェテリアに行こう?好きなものを選べるから、食べたいものを選んでね。」
「嬉しい!お腹空いてたんだ。何食べようかな~。」
話しながら小径を曲がると、カフェテリアが見えて来た。
まだ人影もまだらだ。良かった、早めに来て。

入り口から遠く、目立たない隅に席を取るとディーと二人でトレイを手にしワイワイ選ぶ。
ああ、楽しいな!
デザートばかり取りたいのを我慢して、あれこれ悩んでは選んでるディーを見ているだけでほっこりしてしまう。
すると、先に行ったディーが急ぎ足で戻って来た。
「兄さ、フィンさま、お会計、僕お金持ってない!」
ああ、そっか。

慌てるディーを宥めてから、学生証を出す。
付いている魔石に予めお金を入れているから、魔道具で二人分引き落として貰えば終わり。
すぐ食べられる、なんて油断していたら、、、。
「お姉さん、会計は二人分じゃなくて三人分ね!」
気さくな?軽い?声がして、会計の魔道具を持ったおばさんの前に、トレイがもう一つ出された。

このやろ、相変わらず調子いいな!
振り返りもせず三つ目のトレイをどかす。

「お前に払う金なんて無い!」
「まあまあ、そう言わずにさ。他の奴らには黙って来たんだから。」
ジロッと睨むと、薄茶の髪に榛色の眼を面白そうに輝かせた悪友が、ニヤニヤしていた。
「お昼一回分で手を打とうじゃない、フィン君?」

仕方ない。
後から大勢連れてこられても厄介だ。

おばちゃんに三人分、と言って学生証をかざす。
「(余計なことは喋らず)黙って食ってさっさと行けよ!」
「ラジャー!」

言いながら、付いて来たよ、こいつ。
ライムンドのディーを興味津々で見てる。
「君、フィンの弟?」
「・・・いえ、違います。」
「じゃあ、フィンの何なの?あ、俺はステファン。学園に入った時からの親友さ。」
よろしくね、と軽くウインクしている!僕のディーに!
「誰が親友だ!いつも調子いい事言いやがって!」

「フィン・・・さまの親友?」
ディーが僕をチラッと見てきた。
まずい、興味を持ったみたいだ。追い払えないじゃないか!

これは紹介しないといけないのか?
あ、こいつ、僕たちのテーブルに、当たり前のようにトレイを置いたぞ!



『二人でお昼』を邪魔されるのは確実だ。
それで済めば良いくらいだ。
何てこった!
僕は盛大なる溜め息をついた。
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