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皇宮での邂逅

ディアナVSアルフレート 攻防中なのです(I)

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父さまと喧嘩して六日目。
正直、どうして良いか分からず困っている。

次の日はフィン兄さまとお出掛けして、疲れて寝てしまって、気付いたら朝だったから良いとして。
三日目からが大変だった。
昼間は良いのよ。
お仕事貰って、お昼は魔導師団の食堂で魔導師の皆さんと食べて。
そこでまたお仕事貰ったりして、夕方までは割とすぐに過ぎた。

夕食。
ここがまず辛い。

初日に黙って二人で食べたのが、余程こたえたみたい。
父さまは、食堂、、、二十四時間開いている、、、にエルンストさんが食事を取りに行ってくれるタイミングで執務室から消えてしまった。
一人なら、昼みたいに食べに行けば良いと思うんだけど。
夕食は遅い時間だから、私は食堂に行ってはいけないと、父さまが言ったみたい。
代わりにエルンストさんが一緒に食べてくれるんだけど。
窓を埋め尽くす使い魔の監視付きで食事って、本当に食べ辛いわ。
エルンストさんに謝ったら、わずか三日でどす黒い隈をつけたエルンストさんにジト目で睨まれた。
「これを謝るくらいなら、早く団長と仲直りして下さ」
「それはイヤ!」
食い気味に返答してしまった。まだその時は怒っていたからね。

父さまが拗ねると、結局みんなワタワタしていうことを聞いてしまう。
そういうの、良くないと思う。

私が主張すると、エルンストさんは苦笑いして、どっちが親なんだか、、、と言っていた。そうなの、父さま、ちょっと子どもっぽいよね!
食事を終えるとエルンストさんは帰って行った。悩んでも仕方ないから今日は寝るそうだ。
でも、父さまは戻って来なかった。
取り敢えず、寝支度を整えて、寝室に行く。
父さまが帰って来る前に寝てしまおうかな、どうしようかなと思っていると。
ローちゃんが話しかけてきた。
『主。』
『うん、ローちゃんなに?』
手のひらに乗せて、目を合わせる。
『あの方から伝言。早く寝なさいって。』
『・・・そっか。分かった。』
私のこと大事にしてくれてるのは、本当に分かってるんだけど、なぁ。


明け方。
ふと、意識が眠りの中から浮上した、気がする。
でも、体は動かないから、夢なのかもしれないけど。
ぼそぼそとした声が、耳に流れ込んでくる。

「一回ディーの目に拒否を見てしまったので、もうあの子の顔が、まともに見られないんです!」
「アル・・・済まない。そんなことになっていたとは。」

父さまと母さまの声?

「君のことが心配だ。なるべく早く向かうが、まだ旅程は六日あるし・・・。義兄上の方針を拒否しても、ディーに全てを話しても良い。とにかく君が苦しまないようにして欲しい。」
「・・・エレオノーレ・・・ごめんなさい、不甲斐なくて。」
「不甲斐なくない。落ち込まないで、アル。こんな大事なことを君一人に任せたんだ。頑張ってくれてありがとう。夢の件は、嫌なら・・・」
「それは・・・兄上の言うことは正しかったのは確かなんです。ジークムントの子は確かに変わってきていて。夢で立ち向かうだけじゃなく、日中の態度も違うらしいので。」
「ロイス侯爵のところは、ちょっと悩んでるみたいですが・・・あれはあれで大事なことだと思う。絶対だった価値観が崩れたわけですし。あれくらい悩まないと、次に進めないでしょう。義父上の推薦も間違っては無かったと分かります。」
「双子の甥も始めてみたんです。・・・私とエリオット兄は疎遠だったから・・・向こうにも色々な思いがあったのだと分かって・・・」
「そうか。」
「でも、何のためにしているのかと思うと!そもそもなんでジークムントの要請を拒否出来ないのか!どうしても納得がいかなくて。私と貴女の子なのに!」
「独りで辛い思いをさせてるな。我がままな妻で申し訳ないな・・・」
「そんな、エレオノーレ。ただ、貴女に会いたいです。」
「うん、私もだ。こんなに会わないことは、結婚以来一度もなかったから、ひどく戸惑っているよ。」
「でも、我慢します。ディーに子供っぽいと言われてしまったから・・・」
「そうか・・・ふふっ。ディーが君にそんな事を言うとはね・・・。」
「あ、あの子の意識が浮上しかけてます。もう行かないと。」
「知らないふりして抱きしめてあげたら、機嫌が直るかもしれないよ。」
「貴女にもそうですが・・・機嫌の悪いディーに触れるなんて、私にはとても出来ない。しばらく距離を置こうと思ってます。」
「そうか・・・無理しないで。私も何とか旅程を一日早められないか、努力する。」
「もう一度くらい、連絡しても?」
「おバカなアル。何度でも連絡しておいで・・・明日の夜、晩餐の後なら、私からもフギンに声を掛けてみる・・・いざと言う時は家族で他国に行って、のんびり暮らそう?」
「バーベンベルクは貴女の一部でしょう?それは出来ない。」
「それでもだ。私は、君とディーが笑ってくれるなら、いつでもバーベンベルク故郷を捨てられる。息子たちには申し訳ないけれど、事情を話せば、きっと分かってくれる。コンラートの義兄上も力になって下さるだろう・・・そうすれば、彼らはこの世界で生きていけるから。」
「・・・エレオノーレ・・・!もうディーが起きそうだ。部屋を出ます・・・愛しています。」
「私もだ、アルフレート。無理しないで。」

そして、静寂。

今頃になって身体が動いて、私は飛び起きた。
辺りを見回しても、父さまの気配はない。
ローちゃん、、、眠ってる?
夢、かな、、、?でも、父さまの声、悲しそうだった。母さまは心配そうだった。
私、ちょっと困らせすぎ?
明日の朝、父さまにお早う、て声を掛けてみようか、、、

そう思って、眠ったんだけど。

次の朝からもう三日。父さまは執務室に現れないの。
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