81 / 241
皇宮での邂逅
ディアナVSアルフレート 攻防中なのです(Ⅳ)
しおりを挟む
急ぎ足で歩きながら、チラッと横顔を見る。
そんなに知ってる訳じゃないけど、ちょっとやつれた気がする。
やっぱり父さまのせいで眠れないのかな。でも、そんなこと知ってるなんて言えないし、、、。
うだうだ考えていると、ジキスムント君もこっちを見た。目が合う。
「歩きながら話せと言われたな。今話しても構わないか?」
うん、言ったね。軽く頷く。
「と言って、何から話せばいいのか・・・あ、まずは、この機会を作ってくれて有難う。」
彼は律儀にペコリと頭を下げた。
「あれから毎日来ていたが、身分を出そうと、頭を下げようと、門番殿は団長の意向と言って、絶対に入れてくれなかったんだ。」
一度、無理やり入ろうとしたら、強制的に転移させられて、気付いたら城門の脇に転がってたよ。言いながら苦笑いしている。
「それは・・・」
絶句してしまうが、おかしな事でもない。
魔導師団の門番は上級魔導師以上が一月交代で勤めていて、地位も高ければ、手当もよい。
時には狼藉者を成敗という名目で好きな魔術を掛けられることから、密かな人気職で、あ、と驚く人が務めていたりする。
魔導師団に入団当初の父さまもよく務めてたというからね、、、。
「締め出して当然だ。あんな事の後だからな。自分の侍従を傷付けられて、団長殿はお怒りだったのだろう。もちろん君も。」
「冷静に考えて、俺だって君の立場なら腹が立って会いたくないと思った。友人になろうと言われた奴に、いきなり剣を向けられるんだからな。」
俺はお前の信頼を裏切ったんだよな。
苦い表情で言う。
「確かに、もう、友人になる資格は無いと思った。でも、せめて直接謝りたいと思って来ていて、拒否されて。ここ数日は、これも自己満足なのかも知れないと悩んでいた。」
「今日は予定を理由に来るのを止めて、でもそんな心弱い自分を責めて。馬車の中でボーッと窓の外を眺めてグルグル考えていたら、一瞬君の顔が見えたんだ。」
あんなに悩んでいたのに、あ、と思ったら夢中で、馬車を止めさせて飛び出してしまったよ。
苦笑している。
「でも、せっかく君が振り向いてくれたのに、通用口が閉まって、、、だけど、諦めきれなくて。」
「そしたら、君が出て来て、君の味方の大人たちに歯向かってまで、こうやって話す機会をくれた。」
ジキスムント君が立ち止まり、私も思わず止まる。
「やっぱり、ライムンド、君はいい漢だ。他人の気持ちを理解出来る。他人の為に、自分の利益を犠牲に出来る、貴重な人間だ。」
「君の信頼を裏切った事を本当に後悔している。済まなかった。許してくれとは言わないが、せめて謝罪を受け入れてくれると、有難い。」
深く頭を垂れるジキスムント君。
本当に反省しているんだろうな。
でも。
ちょっと違うというか、納得出来ないところがあるんだよね。
慎重に言葉を紡ぐ。
「君の言いたいことは分かった。そこまで買ってくれる程、僕は立派じゃないけど、そう思ってくれることは嬉しい。」
ジキスムント君はぱっと顔を上げた。顔が明るい。
「なら、謝罪を受け入れてくれるのか?」
いや、でもね。
「君は、皇家の盾なんじゃなかったのか?どんな理由があれ、皇太子に剣を向ける者は見過ごせないんだろう?信念があるなら、友人にだって謝るべきじゃない。」
切れ長の蒼い目が、わずかに動揺した。
やっぱり。
「ねえ、君。」
確信はないんだけど。
「あの後、初めて来た時も、僕に会ったら謝る気だった?自分の役割をもっと説明して、僕に理解を求め、もう一度友人として考えて、と言うつもりだったんじゃないの?」
目を見据えると、驚いたように見開いてから、サッと逸らされた。
けっこう当たってそう。
「あんな出来ごとくらいで信念を変える人は、僕は逆に信用出来ないな。変えたのは、なんで?」
「そ、それは・・・」
もう一歩踏み込むと、ジキスムントくんは目を逸らしたまま、口籠った。
しばらく待つも、口を開く様子はない。
まあ、そんな内面、話せって言われてすぐ話せるものじゃないよね。
時間も無いし、、、謝罪だけ受け取って、終わりにしよう。
「ごめんね、厳しいこと言って。君の謝罪は受け入れるよ。」
私がニッコリ言うと、ハッとこちらを見返した。蒼い目に喜色が浮かぶ。
「では、友人として・・・」
言いかけるのを手で制す。
「今ね、団長が張っている君を排除する結界の中に、もう一つ結界を張って移動してるんだ。気付かれる前に君を出したいから、話がそれだけなら、急ごう。」
「排除する結界・・・」
ジキスムント君の顔が歪む。そりゃ、恐ろしいよね。
私は笑顔を深めた。
「大丈夫。話が出来て、僕も良かった。君のことはなんとしても守って、皇太子宮に連れて行くから。」
夢のことは、話してもらえない以上、助けてあげられないけど。
行こう!
強く言って、再び早足で歩き始めると。
「お願いだ、もう一つ、聞いてくれ!」
ジキスムント君は同じく早足で歩きながら、思い切ったような顔で言い出した。
そんなに知ってる訳じゃないけど、ちょっとやつれた気がする。
やっぱり父さまのせいで眠れないのかな。でも、そんなこと知ってるなんて言えないし、、、。
うだうだ考えていると、ジキスムント君もこっちを見た。目が合う。
「歩きながら話せと言われたな。今話しても構わないか?」
うん、言ったね。軽く頷く。
「と言って、何から話せばいいのか・・・あ、まずは、この機会を作ってくれて有難う。」
彼は律儀にペコリと頭を下げた。
「あれから毎日来ていたが、身分を出そうと、頭を下げようと、門番殿は団長の意向と言って、絶対に入れてくれなかったんだ。」
一度、無理やり入ろうとしたら、強制的に転移させられて、気付いたら城門の脇に転がってたよ。言いながら苦笑いしている。
「それは・・・」
絶句してしまうが、おかしな事でもない。
魔導師団の門番は上級魔導師以上が一月交代で勤めていて、地位も高ければ、手当もよい。
時には狼藉者を成敗という名目で好きな魔術を掛けられることから、密かな人気職で、あ、と驚く人が務めていたりする。
魔導師団に入団当初の父さまもよく務めてたというからね、、、。
「締め出して当然だ。あんな事の後だからな。自分の侍従を傷付けられて、団長殿はお怒りだったのだろう。もちろん君も。」
「冷静に考えて、俺だって君の立場なら腹が立って会いたくないと思った。友人になろうと言われた奴に、いきなり剣を向けられるんだからな。」
俺はお前の信頼を裏切ったんだよな。
苦い表情で言う。
「確かに、もう、友人になる資格は無いと思った。でも、せめて直接謝りたいと思って来ていて、拒否されて。ここ数日は、これも自己満足なのかも知れないと悩んでいた。」
「今日は予定を理由に来るのを止めて、でもそんな心弱い自分を責めて。馬車の中でボーッと窓の外を眺めてグルグル考えていたら、一瞬君の顔が見えたんだ。」
あんなに悩んでいたのに、あ、と思ったら夢中で、馬車を止めさせて飛び出してしまったよ。
苦笑している。
「でも、せっかく君が振り向いてくれたのに、通用口が閉まって、、、だけど、諦めきれなくて。」
「そしたら、君が出て来て、君の味方の大人たちに歯向かってまで、こうやって話す機会をくれた。」
ジキスムント君が立ち止まり、私も思わず止まる。
「やっぱり、ライムンド、君はいい漢だ。他人の気持ちを理解出来る。他人の為に、自分の利益を犠牲に出来る、貴重な人間だ。」
「君の信頼を裏切った事を本当に後悔している。済まなかった。許してくれとは言わないが、せめて謝罪を受け入れてくれると、有難い。」
深く頭を垂れるジキスムント君。
本当に反省しているんだろうな。
でも。
ちょっと違うというか、納得出来ないところがあるんだよね。
慎重に言葉を紡ぐ。
「君の言いたいことは分かった。そこまで買ってくれる程、僕は立派じゃないけど、そう思ってくれることは嬉しい。」
ジキスムント君はぱっと顔を上げた。顔が明るい。
「なら、謝罪を受け入れてくれるのか?」
いや、でもね。
「君は、皇家の盾なんじゃなかったのか?どんな理由があれ、皇太子に剣を向ける者は見過ごせないんだろう?信念があるなら、友人にだって謝るべきじゃない。」
切れ長の蒼い目が、わずかに動揺した。
やっぱり。
「ねえ、君。」
確信はないんだけど。
「あの後、初めて来た時も、僕に会ったら謝る気だった?自分の役割をもっと説明して、僕に理解を求め、もう一度友人として考えて、と言うつもりだったんじゃないの?」
目を見据えると、驚いたように見開いてから、サッと逸らされた。
けっこう当たってそう。
「あんな出来ごとくらいで信念を変える人は、僕は逆に信用出来ないな。変えたのは、なんで?」
「そ、それは・・・」
もう一歩踏み込むと、ジキスムントくんは目を逸らしたまま、口籠った。
しばらく待つも、口を開く様子はない。
まあ、そんな内面、話せって言われてすぐ話せるものじゃないよね。
時間も無いし、、、謝罪だけ受け取って、終わりにしよう。
「ごめんね、厳しいこと言って。君の謝罪は受け入れるよ。」
私がニッコリ言うと、ハッとこちらを見返した。蒼い目に喜色が浮かぶ。
「では、友人として・・・」
言いかけるのを手で制す。
「今ね、団長が張っている君を排除する結界の中に、もう一つ結界を張って移動してるんだ。気付かれる前に君を出したいから、話がそれだけなら、急ごう。」
「排除する結界・・・」
ジキスムント君の顔が歪む。そりゃ、恐ろしいよね。
私は笑顔を深めた。
「大丈夫。話が出来て、僕も良かった。君のことはなんとしても守って、皇太子宮に連れて行くから。」
夢のことは、話してもらえない以上、助けてあげられないけど。
行こう!
強く言って、再び早足で歩き始めると。
「お願いだ、もう一つ、聞いてくれ!」
ジキスムント君は同じく早足で歩きながら、思い切ったような顔で言い出した。
10
あなたにおすすめの小説
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる