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皇宮での邂逅
マイナスから浮上する為に最も必要な事は(フェリクス視点)
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「お前の知恵を借りたい。」
お茶の片付けは侍従にまかせると、俺はマルティンを残して人払いをした。
無理やりソファに座らせて、相談する体勢を作る。
短期間で失点を回復し加点を得なければならないのだ。
この場合、俺の味方で、信頼出来て伝手が多く、女性の気持ちを、、、取り敢えず人の気持ちをよく推し量れる助っ人がどうしても必要だろう。
そんな都合のいい人材、そうそういない。
長く皇太子の執事として勤め、各所に顔が効き、父上や宰相との話を知るこの老執事に断られたら、もうほとんど勝算は無いと思うべきだ。
「私でお役に立ちますことならば。」
静かに答えたマルティンに。
「お前だけが頼りだ。まずは現状を認識して欲しい。情けないことも含め、最近の事を全て話すから、どうか知恵を貸して欲しい。」
俺は洗いざらい話し始めた。
今回マルティンもいる場所で話した『あの時』の衝撃が大きく、皇帝、皇太子と言う存在が、白々しいと思っていたこと。そのため、どうしても帝王学に身が入らなかったこと。
そのくせプライドだけはどんどん高くなって行ったこと。
気づくと好きだった剣も大して腕が上がらず、学園への入学を前に、最近鬱屈が溜まっていたこと。
そんな中、近衛騎士団の敷地最奥と言う、部外者が来るとは思えないところに、見かけない少年が現れたこと。
魔導師団の侍従無習いに過ぎない少年が、気付くと自分の一番心を許せると思っていた友人と仲良くなっていたこと。
「俺にとって本当に貴重な友人をあっさりかすめ取って行かれそうで、本当に腹が立って、、、嫉妬だったと思う。」
次に会った時に無理やり試合に持ち込んだら、戦う前にあっさりやられたこと。悔しくて、、、。
「そうしたら、ジキスムントは俺に加勢してくれたんだ。」
少年の剣を弾き、皇太子への態度を諭したジキスムント。
嬉しくて、このままやっつけてやれ、と調子に乗り、模擬剣で丸腰、無抵抗の相手を突いた事、、、。
こうやって振り返ると、俺は、権力をかさに着て弱い者いじめをする最低な皇子だな。
でも、心からの協力を求めてる以上、マルティンには言い訳や隠し事はしない。
「その少年が、さっき宰相の言っていた、ディアナ嬢の幼馴染の少年だ。そいつはケガをしても実に敏捷に逃げ、もう二度とここには来ないと言ったよ。」
「おやおや。」
マルティンが苦笑いをしている。そりゃ、笑うしかないよな。
そう言えば。
あの夜からだ。悪夢が始まったのは、、、。
「悪夢、ですか?」
俺がどう説明したものかと言いよどむと、珍しくマルティンが、話の途中に口をはさんできた。
「そう、としか言いようがないんだ。」
俺は、どう説明したらいいか考え考え話す。
始まってからは毎晩見ること。
城を抜け出したら下町の破落戸に絡まれ殴られたうえ売り飛ばされそうになったり、何かの式典の途中に暗殺者に囲まれたり。友人だと思っていた相手から手ひどい裏切りを受けたり。
「一度見るとその晩は二度は見ないんだけど、リアルで、すっかり眠気が覚めてしまうんだ。だから、ついつい何が問題だったのか、どうすればいいのか、明け方まで考え続けてしまう・・・」
それに。
「初日の夢で、一人取り残されてすぐにやられてしまったのは、本当にショックだった。さっきのように、ああやって父上を不甲斐ないと小さい頃から軽蔑していたけれど、結局俺も一人では何も出来ないとしみじみ思った。だから、、、」
「だから、朝の鍛練を始められたのですね。」
マルティンが頷きながら言う。
俺も頷いた。
「近衛騎士を信頼してない訳じゃない。でも、何かあった時、やっぱり自分で自分の身が守れないと、としみじみ思ったんだ。」
それに。
「裏切られた夢を見た後考えたんだが・・・いい加減に生きてきたせいか、俺には本当に信頼できる人間が少ない。特に大人は、マルティン、お前くらいしかいなんだ。」
苦く笑うと、老執事は驚いたように目を見張った。珍しい。
「殿下、そのようなことは・・・」
口ごもるのも初めて聞いた。
「本当のことだ。だからこそ今も、頼っているしな。」
そう言ってから、俺は真剣に老執事に向かい合った。
「さあ、洗いざらい吐いたぞ。つまり、俺は、彼女の目として動いていた幼馴染のそば仕えを、権力をかさにいじめた最低な男として、ディアナ嬢の前に現れることになる。」
「しかも、今いくら努力していようと、まだあの侍従見習いにも負ける剣の腕前だ。魔力は彼女に比べれば塵のようなものだろう。」
言えば言うほど良い点が無いな、、、。
「宰相は俺の顔の事を言っていたが、正直そこは考えていない。コンラート一門は美形で有名だからな。」
さて。
「この状態で、俺に起死回生の策はあるか?」
俺の必死の問いかけに。
マルティンの表情は変わらなかった。
むしろ少し微笑んでいるようにも感じる。
「殿下がそこまで私を買って下さるなら、その信頼にお答えしない訳にはいきません。
不利な状態から勝ちに行くには何よりもまずは正確な現状分析です。そこを殿下は理解していらっしゃる。」
こんな話をしても、俺を責めたりはしないんだな。
そういう些細なことが、今は本当にありがたい。
「ただ、殿下が重要視されなかった部分で、私にとっては大事な部分もありそうです。
少しご質問致しますがよろしいですか?そのうえで、私なりの策をお伝えしたいと思います。」
ああ、こんな状態でも策があるという。可能性があるのなら、少なくとも努力は出来る。
俺はそのことにホッとして、思わずソファに身体を沈ませた。
お茶の片付けは侍従にまかせると、俺はマルティンを残して人払いをした。
無理やりソファに座らせて、相談する体勢を作る。
短期間で失点を回復し加点を得なければならないのだ。
この場合、俺の味方で、信頼出来て伝手が多く、女性の気持ちを、、、取り敢えず人の気持ちをよく推し量れる助っ人がどうしても必要だろう。
そんな都合のいい人材、そうそういない。
長く皇太子の執事として勤め、各所に顔が効き、父上や宰相との話を知るこの老執事に断られたら、もうほとんど勝算は無いと思うべきだ。
「私でお役に立ちますことならば。」
静かに答えたマルティンに。
「お前だけが頼りだ。まずは現状を認識して欲しい。情けないことも含め、最近の事を全て話すから、どうか知恵を貸して欲しい。」
俺は洗いざらい話し始めた。
今回マルティンもいる場所で話した『あの時』の衝撃が大きく、皇帝、皇太子と言う存在が、白々しいと思っていたこと。そのため、どうしても帝王学に身が入らなかったこと。
そのくせプライドだけはどんどん高くなって行ったこと。
気づくと好きだった剣も大して腕が上がらず、学園への入学を前に、最近鬱屈が溜まっていたこと。
そんな中、近衛騎士団の敷地最奥と言う、部外者が来るとは思えないところに、見かけない少年が現れたこと。
魔導師団の侍従無習いに過ぎない少年が、気付くと自分の一番心を許せると思っていた友人と仲良くなっていたこと。
「俺にとって本当に貴重な友人をあっさりかすめ取って行かれそうで、本当に腹が立って、、、嫉妬だったと思う。」
次に会った時に無理やり試合に持ち込んだら、戦う前にあっさりやられたこと。悔しくて、、、。
「そうしたら、ジキスムントは俺に加勢してくれたんだ。」
少年の剣を弾き、皇太子への態度を諭したジキスムント。
嬉しくて、このままやっつけてやれ、と調子に乗り、模擬剣で丸腰、無抵抗の相手を突いた事、、、。
こうやって振り返ると、俺は、権力をかさに着て弱い者いじめをする最低な皇子だな。
でも、心からの協力を求めてる以上、マルティンには言い訳や隠し事はしない。
「その少年が、さっき宰相の言っていた、ディアナ嬢の幼馴染の少年だ。そいつはケガをしても実に敏捷に逃げ、もう二度とここには来ないと言ったよ。」
「おやおや。」
マルティンが苦笑いをしている。そりゃ、笑うしかないよな。
そう言えば。
あの夜からだ。悪夢が始まったのは、、、。
「悪夢、ですか?」
俺がどう説明したものかと言いよどむと、珍しくマルティンが、話の途中に口をはさんできた。
「そう、としか言いようがないんだ。」
俺は、どう説明したらいいか考え考え話す。
始まってからは毎晩見ること。
城を抜け出したら下町の破落戸に絡まれ殴られたうえ売り飛ばされそうになったり、何かの式典の途中に暗殺者に囲まれたり。友人だと思っていた相手から手ひどい裏切りを受けたり。
「一度見るとその晩は二度は見ないんだけど、リアルで、すっかり眠気が覚めてしまうんだ。だから、ついつい何が問題だったのか、どうすればいいのか、明け方まで考え続けてしまう・・・」
それに。
「初日の夢で、一人取り残されてすぐにやられてしまったのは、本当にショックだった。さっきのように、ああやって父上を不甲斐ないと小さい頃から軽蔑していたけれど、結局俺も一人では何も出来ないとしみじみ思った。だから、、、」
「だから、朝の鍛練を始められたのですね。」
マルティンが頷きながら言う。
俺も頷いた。
「近衛騎士を信頼してない訳じゃない。でも、何かあった時、やっぱり自分で自分の身が守れないと、としみじみ思ったんだ。」
それに。
「裏切られた夢を見た後考えたんだが・・・いい加減に生きてきたせいか、俺には本当に信頼できる人間が少ない。特に大人は、マルティン、お前くらいしかいなんだ。」
苦く笑うと、老執事は驚いたように目を見張った。珍しい。
「殿下、そのようなことは・・・」
口ごもるのも初めて聞いた。
「本当のことだ。だからこそ今も、頼っているしな。」
そう言ってから、俺は真剣に老執事に向かい合った。
「さあ、洗いざらい吐いたぞ。つまり、俺は、彼女の目として動いていた幼馴染のそば仕えを、権力をかさにいじめた最低な男として、ディアナ嬢の前に現れることになる。」
「しかも、今いくら努力していようと、まだあの侍従見習いにも負ける剣の腕前だ。魔力は彼女に比べれば塵のようなものだろう。」
言えば言うほど良い点が無いな、、、。
「宰相は俺の顔の事を言っていたが、正直そこは考えていない。コンラート一門は美形で有名だからな。」
さて。
「この状態で、俺に起死回生の策はあるか?」
俺の必死の問いかけに。
マルティンの表情は変わらなかった。
むしろ少し微笑んでいるようにも感じる。
「殿下がそこまで私を買って下さるなら、その信頼にお答えしない訳にはいきません。
不利な状態から勝ちに行くには何よりもまずは正確な現状分析です。そこを殿下は理解していらっしゃる。」
こんな話をしても、俺を責めたりはしないんだな。
そういう些細なことが、今は本当にありがたい。
「ただ、殿下が重要視されなかった部分で、私にとっては大事な部分もありそうです。
少しご質問致しますがよろしいですか?そのうえで、私なりの策をお伝えしたいと思います。」
ああ、こんな状態でも策があるという。可能性があるのなら、少なくとも努力は出来る。
俺はそのことにホッとして、思わずソファに身体を沈ませた。
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